(東さん)
こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
(森辺さん)
こんにちは。森辺一樹です。
(東さん)
具体的にディストリビューターとの契約前にどんな交渉をしたらいいの?と言う問いに、ディストリビューターと一緒に事業計画を立てようというのが、聞いている方には一番分かり易い回答でした。
リスナーの方には日本企業のメーカーさんが多いと思いますので、アジアにディストリビューターを見つけに行く方が多いと思います。
そこでどういうことを知っておけばディストリビューターと対等に話をする事ができますか?
(森辺さん)
ポイントはマージンには小売のマージンとディストリビューターのマージンの2つがあります。
そして小売には、そのマージンの他にリスティングフィーというものが必ず掛かります。
まず「マージン」とは流通額に応じて払うもので、「リスティングフィー」とは、商品をバーコード登録するための登録料です。
それ以外に店代を取る所もありますし、プロモーションフィーが当然出てきて、年に何回セールスプロモーションをやってください、何%OFFキャンペーンをやってください。などです。
(東さん)
リスティングフィーと店代が一緒で、プロモーションフィーが別に掛かる可能性があるということですね。
(森辺さん)
はい。
1SKU当たりいくらと言う感じで、リスティングフィーと棚代は一緒です。
そしてディストリビューターも、マージンとプロモーションの2つに分かれています。
そこでややこしいのはプロモーションです。
小売の流通マージンは商品によって多少のブレはありますが、ドラッグストアの場合はこれ位、スーパーはこれ位、と大体決まっています。
そしてディストリビューターのマージンも大体決まっていて、デリバリーだけやるマージンやセールスまでやるマージンなどありますが、基本的には決まっています。
問題は小売りのプロモーションやディストリビューターがセールスを上げるためにやろうとしているプロモーションフィーを基本的にはメーカーが出しますが、それをマージン込みで出す場合もあれば別にして出す場合もあります。
そしてディストリビューターが100社あると100社違うことを言ってきます
「この小売りはこれ位掛かる」「初年度は2,000万位投資しなければいけない」と言う所もあれば、「200万位で良い」と言う所もありますし、一体何が本当なのか分からりません。
なぜ100社が100社違う事を言うかと言うと、そのディストリビューターが小売と、どこまで強い関係性を握れているかが違うからです。
(東さん)
小売りとどこまで握れるかということは、具体的にイメージし易い言葉で言うと、どういうことですか?
(森辺さん)
例えば仲が良いバイヤーさんであれば、新しい商品を入れる時に本来掛かるべきフィーをこれ位にしてほしい、これ位は頑張って売るし、我々もこれ位のプロモーションをするのでここの費用は少し協力してほしいということが言えます。
しかしメーカーが何も知らない素人だと思えば、当然ディストリビューターは定価を払わせてその交渉を小売として余った分を利益にする事ができます。
そのため、小売によって全く言う事が変わります。
「○○を知っている○○も知っている」と小売の名前を沢山挙げて、皆口を揃えて関係が強いと言いますが、その関係が果たしてどれだけ強いのかは彼等が言ってくる小売マージンやプロモーションマージンの額で「その小売でその額なら関係が弱い」などと分かります。
そう言う事が分からないと向こうが言うままになってしまいますよね。
そしてそれが一番怖いです。
ディストリビューターとの契約は更新の際、変えられる可能性があるので、ディストリビューターが自分達でリスクを取って、メーカーのブランディングを作っていった場合、ディストリビューションの契約を変えられたら、ブランドは持っていかれ、今まで自分たちが投資していたブランドがなくなってしまいます。
ブランド認知のためにプロモーションをするので基本的にメーカーがプロモーションフィーを出します。
メーカーがよく分かっていなければ、取れるだけ取って最低限だけプロモーションに使って残りは自分達の利益にしたいと思うのは当然の事なので、そこを全て明らかにしていくということです。
(東さん)
ディストリビューターの小売りへの交渉力や影響力を測るために、森辺さんはよく「相対比較をしてなさい」と言われるのですね。
(森辺さん)
はい。
それを比べないと、どこが本当にSMと強いのか、どこが本当にピュアゴールドと強いのかが分かりません。
(東さん)
単純にイメージだけ言うと、どのディストリビューターも一緒ではないかと思ってしまう人もいると思いますが、全く違うものなのですね。
(森辺さん)
全く違います。
100億を目指すためのディストリビューターと、5億を目指すためのディストリビューターは違いますし、目指す金額が小さければ小さいほど、スキルセットよりもマインドセットの方が重要だと私は思います。
しかし、マインドセットは必ず重要ですが、目指す金額が大きくなれば大きくなるほど、スキルセットがなければ物理的に無理なので、マインドセットはマストで、あとは売り上げに応じてスキルセットの度合いが変わってくるという話です。
(東さん)
そのディストリビューターのマインドセットというのは具体的にどういった事でしょうか。
(森辺さん)
ディストリビューターは大きくても数百億円なので必ずオーナー社長と話さなければいけません。
そのオーナー社長が、どれだけこの商品を売ろうとしているか、彼の商売の考え方や、やり方などが、マインドセットの部分です。
ここが悪いと、どれだけやってもやる気がないので伸びるわけがありません。
(東さん)
ではもう一つのディストリビューターのスキルセットとは具体的にどう言う事ですか?
(森辺さん)
スキルセットとは先程話したような、小売との関係性がどれ位あるのか、セールスが何人いて、MTとGTとTTにどれだけ強いのか、いわゆる物理的な企業の強さです。
オーナーのマインドとは全く別のスキルの部分を私はスキルセットと呼んでいます・
(東さん)
分かりました。
今日は時間が来ましたのでここまでにしたいと思います。
またもう少し続きを聞き達と思います。
森辺さんありがとうございました。
(森辺さん)
ありがとうございました。
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それではまた次回お目に掛かりましょう。
「森辺一樹のグローバルマーケティング」この番組はspyderグループよりお送り致しました。