東:こんにちは。ナビゲーターの東忠雄です。
(0:07)
森辺:こんにちは。森辺一樹です。
(0:08)
東:今日は、ちょっと時間がないので、変な所からお送りしてますので、雑音が入ることをお許しください。
(0:19)
森辺:リスナーの皆さん、森辺です。ちょっと、今日の本題に入る前に聞いてください。今日、私、北九州に昨日おりましてですね。福岡を5時に東に起こされまして、その新幹線で関西に移動しました。そこで打ち合わせに出させられて、彼は今日から海外出張らしくて、Podcastの収録が間に合わないとかって言うんで、今、実は、大阪ヒルトンのラウンジで公開収録をさせられております。ホントにヒドイ男です。じゃ、本題に入ります。
(1:03)
東:終了で(笑)。
(1:07)
森辺:早く質問してよ。
(1:08)
東:今日は森辺さん、森辺さんが日頃、Podcastのネタが尽きてきたということで、日頃考えていることをちょっとお聞きしたいんですけど、日本製の製品開発にもつながると思うんですけど、スーツに関してよく言われるじゃないですか。ちょっとそのへんを、お話しいただければと思うんですけど。
(1:29)
森辺:最近、夏も近づいてきて、だいぶあったかくなってきていて、街を歩いているとすごく思うんですけど、たまに、スカスカなスーツを着ている方がいらっしゃると。スカスカというのはどういうことかというと、中のワイシャツが透けてるぐらいに、スーツのジャケットが薄い。これはどういう目的で作られたかっていうと、ご存知のとおり涼しいと。いかに涼しくジャケットを着れるかっていう、こういう目的で。そういうスカスカな涼しいスーツでありながら、型崩れを起こさない。非常に高度な技術が、そこにはあるわけなんですけれども、世界には暑い国って、東南アジアを中心にたくさんあるわけですよね。南米もそうですし。けど、これだけ高度な技術を駆使して作った涼しいスーツが、海外ではまったくウケないこの現実に、僕はものすごい虚しさを感じるんですよね。日本ではいかに、スーツを着ている人を涼しくするかっていうことで、技術革新をして、涼しいスーツが生まれるんだけども、海外に行くと、「そんなに暑いならジャケット着なきゃいいじゃん。」って、こういう発想になってしまうわけですよね。そうすると、せっかくこの日本が生んだ、この高度な技術を駆使したスーツも、海外ではまったく売れない。いわゆるガラパゴスみたいな状態になってしまう。これって、最近では丸洗いできるスーツとかって、そんなのも出てますけど、スーツを自宅で、洗濯機で丸洗いするって、スーツってのは本来クラシカルなものなので、「そこまでして、スーツ着なくていいんじゃない?」って、そういう発想に、これもなっちゃうんですよね。だから、スーツが洗えるなんて、革新的なことだと思うんですけど、なんかこの、日本の企業が、日本の国内市場だけを見た、この技術革新が、どうもグローバルに通用しない、この虚しさをね、僕は、何とか世界で生かせないかな、ってのが最近よく考えるんですよね。
(3:51)
東:なるほど。日本の市場は日本の市場で対応しなければいけないから、そういったものを作ってるっていうのは、メーカーの実情だと思うんですけど。じゃ、その技術を違う発想でグローバルに生かせないか、っていうのが森辺さんの発想だということですかね。どうしたらいいですかね。
(4:15)
森辺:この答えはね、僕もなかなか明確に今ないんですよね。このスーツに関してはね。ただ、同じ技術開発とか製品開発をするうえで、一つだけ言えることは、もう、国内市場だけ見てても大した規模にはならない。少なからず、上りのエスカレーターにはならないわけで、その製品開発の段階から、やっぱりグローバルを見た発想で開発をしないと。日本国内だけを見てるから、スカスカのスケスケのスーツになるし、丸洗いできるスーツになってしまうわけで。なんか僕は、そこがすごく重要なんじゃないかなっていう、そんな気がします。
(5:05)
東:なるほど。それは森辺さんの意見としたらわかるんですけど、一方で、メーカーとしては、人口が減っていくってことは市場の牌が減ってきますと。ただ、メーカーの数が、今、極端に減るかっていうと減りませんと。そうすると同じメーカーの、例えば10あるメーカーの中で、今まで10あった市場を5になっても同じ売り上げを保とうとすると、グローバルに出てくっていうのは、一つの手だと思うんですよね。もう一つは、日本の市場を守りたいっていうメーカー側の、なんとなくジレンマがあると思うんですけど、そこがなんか悩ましいところではあると思うんですが。日本の市場とグローバルな市場でまったく、そのガラパゴスの島、してしまってるってのは、日本の市場では受け入れられるけども、基本的にはその技術が、グローバルでは受け入れられないという形の中で、そこのジレンマをどう解消したらいいのかっていうのは、結構、グローバルで営業している人も、そう感じてるでしょうし、メーカー側にとってジレンマだと思うんですけど。そのへん率直に、グローバルのメーカーって同じ悩みあるわけじゃないですか、きっと。そのへんってどうなってるのかなっていうのは、一つ素朴な疑問として上がると思うんですが。
(6:35)
森辺:そもそも今お話ししてる、例えばスーツで言うと、基本的にはイタリアのラグジュアリーブランドっていう人たちか、SPAの人たちかの両極端なので、いずれもスーツそのものの機能に関しては、そんなに力を入れていない。どちらかというとラグジュアリーブランドは、そのブランド力とか、仕立ての良さとか、そういうクラシカルなものを強みとして、押し出すわけですよね。一方で、そのSPAの事業者さんたちは、いかに最先端のデザインを、安く速く出すかっていうことに特化をしますと。一方で日本の企業は、いかに安くは安くなんだけども、高い機能をそこに持たせるかっていう。どうしても、機能・品質っていうところにフォーカスをしてしまいがちなんだけども、この機能とか品質以外の戦い方がプラスされると、僕は、この機能と品質も生きてくるんじゃないかなって気がしていて、そこが一つのポイントなんじゃないかな。例えばスーツで言ったらね。っていう気はします。とまあ、これがスーツの業界じゃなくて、別の業界だったとしても多分そうで。海外の市場は基本的には両極端で、思いっきりハイブランドというか、ラグジュアリー系の高いブランドに振れるか、極端にコモディティーに振れるか、ドリームプロダクトに振るか、コモディティーに振るかっていう話だと思うんだよね。そこで、どっちでもないんだけど、ひたすら「機能と品質はいいです。」みたいなものを、誰も世界は求めていないと。ここをどうクリアしていくかってのは、たぶん、非常に重要なポイントなんじゃないかな、っていうふうに思うんですよね。
(8:39)
東:わかりました。じゃあ森辺さん、今日はちょっとお時間が来たので、ここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
(8:45)
森辺:ありがとうございました。