(1:05)
東:こんにちは。ナビゲーターの東忠雄です。
(1:07)
森辺:こんにちは。森辺一樹です。
(1:09)
東:じゃ、森辺さん。前回、「時間の価値」ということで、いろいろお話しいただいたんですけども、今回はどういったお話を。
(1:18)
森辺:今回はね、コミュニケーション。日本人の、コミュニケーションについてお話ししたいなというふうに思います。
(1:34)
東:コミュニケーションってのは、結構、幅広いと思うんですけど、例えば具体的にどういったコミュニケーションのことを森辺さんは言われてるのか教えていただきたいんですが。
(1:45)
森辺:言語によるコミュニケーションではなくて、呼吸、よくあうんの呼吸とかさ、「みなまで言わずとも理解し合える」とかっていう。で、僕たち日本人って、なんか感覚一緒じゃない。「あ、多分、彼はこう思ってるだろうな」とか、「ああ、多分これはもう嫌だろうな」とか、「あ、今のは、社交辞令だろうな」とかっていう、言葉にして言っていないにも関わらず、相手の真意を読みまくれるっていう、それが、すごく自然体の中で、日々できてるじゃない?これって、僕は人類としては、もう、日本人は最も近代的なコミュニケーションツールを使う人類だなっていう。だって、言語以外の目に見えないもので、空気を読むわけでしょ。それでコミュニケーションとってるわけだから、すごく素晴らしいと。で、日本人といると楽じゃない。たとえ英語ができても中国語ができても、やっぱ日本人といると楽なんだよね。なんで楽かと言うと、日本語ができるから、じゃなくて、呼吸が合うからなんだよね。言わなくてもわかりあえるからなんだよね。なので、すごく精神的なね、人類なんだけども、これが海外に行くと、ビジネスでは非常に邪魔になるというお話なんですよ、今日は。どういうことかというと、海外で代理店契約をしますと。大手の企業の代理店契約なんかを見せてもらうと、「これじゃあうまくいかないね」っていうような内容だったりするんですよ。基本的に法律的な事は全部クリアしていると。契約書って守りの面と、攻めの面があって、守りの面は完璧ですよ、当然。先進国である日本のね、大手の企業の本部を通過している契約書ですから、法的に見た時には非常にすばらしい契約書であると。じゃあ実際に売り上げを伸ばすうえで、本当にその国のことをわかった契約書になっているかっていうと、なかなかそうじゃなかったりするし、契約書じゃなくてもね、代理店契約っていうコントラクトっていう中で言ってもね、やっぱそこって、なかなかそうなってなくて。どういうことかと言うと、「もう、代理店契約してるんだから、目標数値ある程度決めたら、あとはもう黙っててもやるでしょ」みたいな。「もう、そんな言わなくてもいいんじゃない?」とかね。あと、自分たちの現地の部下に指揮を出す時も「こんなことは言わなくてもわかってるでしょう」と。だから、指示の内容が非常にこうざっくりしてたりとかね。日本だと、そりゃそうだよね。コイツ、部下ね「コイツ、ここまで言ったらわかるだろう」と。当然部下もわかるわけで、「上司は多分、ここまでやってくれと思ってるんだろうな」と。「よしわかった、やろう。言われなくてもやろう」みたいな話で、あうんの呼吸で進むんだけど、海外に行くと、なかなかそうはならないというところを注意しなきゃいけなくて、多くの日本企業は、なんとなく頭ではわかってるんだけど、それが一体なんなのか、「なんでこんなことを言わなきゃいけないんだろう。」ってよく言うじゃない。「ホントに馬鹿だ、現地の奴らは。」みたいなね。「ここまで言わないとわからない」とかね。で、そういうことって、まさに日本人の間でしか通用しない呼吸的なもの、あうんの呼吸とか、「みなまで言わなくても理解し合える」って、こういうものが働いているんですよ。僕もこれは、海外でビジネスする中で、さんざん経験をしてきていることで、「うーん。」って、ずーっと悩んでた時期もあったしね。でも、「そういう大きな違いがあるっていうことを今、思ってます。」と。そんな話をこの間ね、連載で書いてたらね、明治大学の大石先生がね、コメントくれてね、「これはロー・コンテクスト型とハイ・コンテクスト型と学者の世界では言うんですよ」と。「なるほどー!」って思ったんだけど。
(6:18)
東:何がロー・コンテクスト。
(6:20)
森辺:ロー・コンテクストっていうのは、いわゆる言語依存型のコミュニケーションをとる人たち。その代表格が、アメリカとかドイツとか、オランダなんかまさにそうで、基本的には言語ベース。だから、契約書にあること以外は無いと一緒、口に出さなかったら、無いと一緒みたいな。言わなかったことで、存在してることはないじゃない、基本的にね。一方で日本なんかはハイ・コンテクスト型で、非言語的なコミュニケーションで会話をする。言語以外のもので会話をするんだよね。これって面白くて、アフリカとか、東南アジアとかは、結構ハイ・コンテクスト型で、近代国家でこのハイ・コンテクストな国って、実は結構珍しくて。で、そういう違いがありますよと。じゃあ、ハイ・コンテクスト型のアフリカと、日本と、通じ合うかというと、それはそうでもないんだけどね。日本は日本の社会の中でのハイ・コンテクスト、アフリカはアフリカの社会の中でのコンテクストなので。だから、感性が豊かなのかもしれないですよね、もしかするとね。ただ、やっぱりグローバル・ビジネスをするうえでは言わないと駄目だし、書かないと駄目。わかってくれてるってのは通用しない、わかっていないっていうことは、日々ビジネスをするうえで、すごく重要なので。日本でそんだけ言ったら「うるさいよ」と言われてしまうかもしれないですけど、海外では言わないとダメということでございます。
(8:14)
東:わかりました。じゃあ、森辺さん、今日はありがとうございました。
(8:18)
森辺:はい、ありがとうございました。
(8:22)
ナレーション:本日のPodcastはいかがでしたか?番組では森辺一樹への質問をお待ちしております。ご質問はPodcast@spydergrp.comまでお申し込み下さい。たくさんのご質問をお待ちしております。それではまた次回、お目にかかりましょう。
『森辺一樹のグローバルマーケティング』。この番組はspyder groupの提供によりお送りしました