(1:05)
東:こんにちは。ナビゲーターの東忠雄です。
(1:07)
森辺:こんにちは。森辺一樹です。
(1:09)
東:今日は森辺さん、どんな話を。
(1:12)
森辺:そうですね。先日、とある企業の社長連中を連れてタイに行きましてですね、その時に感じたことを話しましょうか。
(1:32)
東:どうぞ。
(1:33)
森辺:えっとね、タイは先進ASEANですよね。SMTのTになりますけども、タイランドは。先進ASEANで、われわれが専門としているチャネル構築なんかでもSMTのタイと、VIPとは別個で考えますね、というのが一つあって、タイは近代小売も非常に発展してるし、消費財メーカーの参入戦略を考える時には、VIPとは戦略が大きく変わりますよ、ということで一つあると。ただ、そのタイですら、やっぱり個人のキャッシュ・フローを非常に気にしたビジネスモデルを組まないと、まだまだ厳しいな、というのを実体験で経験したという話なんですけど。
(2:30)
東:どんなところで。
(2:32)
森辺:アジア新興国で、消費財メーカーさんがビジネスをする時に、個人のキャッシュフローを考えなさいと。なぜ先進グローバル企業は、商品のグラム数を減らしたり、パッケージを小分けにしたり、その時だけ使えるように工夫をするのか、っていうお話なんですけどね、それをね、地下鉄に乗った時に感じたんですよ。で、タイって、ちょっと話変わりますけども、今インドネシアより渋滞は圧倒的に上ですね。もう、まったく動かないっていうか。インドネシア、ちょろちょろ動くじゃない、ジャカルタなんかは。けど、バンコクはもう、まったく動かなくて。社長さん3人と僕と、ある企業の商談に行く途中で、もう、ホントにまったく動かなくて、20分、30分くらいかな、車が1ミリも動かないと。「これマズイ」って言って、ハイヤーがあって、それ乗ってたんだけども、「降りましょう」って言って、地下鉄に乗ったんですよ。地下鉄がね、切符売り場がメチャメチャ長蛇の列なんですよ。別に雨降ってるんじゃないですよ。晴れてるし、なんか特別な日でもないし、スゴイ並んでいると。「あ、もう、これ遅刻だな」と思って。でもね、「なんで並んでるのかな?」と。日本で今、切符売り場に並んでるの見ます?
(4:02)
東:見ませんよね。
(4:03)
森辺:見ないですよね。なぜならば、PASMOとかICOCAとか、ああいうプリペイドのやつがあるし、定期があるわけで、切符を買うなんてのは、多分地方から出てきたりとか、都心の人が地方に行った時に、使えないから切符を買うと。今、全国で連携もし始めてるじゃない?当然、タイ・バンコクの地下鉄もプリペイドカードは売っていて、みんなカードは持っていますと。ただね、注意深く見てると、日本の一般的な平均所得の人たちがPASMOにあらかじめ入れておく金額と、バンコクの一般的な人たちが、PASMOに入れておく金額に、まだまだ大きな差があって。どういうことかというと、日本だと5千円、1万円入れときます。そうすると、10回に1回それをチャージすればいい。けど、それが5回分しか入れてなかったら5回に1回になっちゃいますよね。その分、長蛇の列ができるということになるわけじゃないですか。だから結局、乗るっていうことはわかってるんだけども、日本人だったら10回分くらい買っとこうかと。だいたい、チケットも10枚セットとかで売ってるじゃないですか。
(5:26)
東:そうですね。
(5:27)
森辺:なんですけど、バンコクですら3回分しかチャージしないとか。いっても5回分しかチャージしないみたいなのがあって、結局それだけ切符売り場の前、チャージで並ぶ回数が多くなるので、必然的に、相対的に、切符売り場が混んでいるということに気づいてね。あまりにも面白いから、僕、社長さんに切符買うのを並ばせて、一番前のチャージの所に行って、見てたのね、ずーっと。したらみんなやっぱり、切符を買ってるんじゃなくてチャージしてるのね。で、そのチャージが5回分ぐらいなんですよ。地下鉄5回分ぐらい。だから、「あーやっぱ、そうなんだなー」と思って、改めて、先進ASEANのタイ・バンコクですら、それだけ個人のキャッシュ・フローが重要ですよと。つまりは、日本の消費財メーカーが、バンコクで消費者相手に商売する時には、まだまだ個人のキャッシュ・フローを考えないといけないよねと。確かにタイには金持ちはたくさんいます。けど、金持ちを狙うビジネスじゃなくて、中間層以下のマス・マーケットのボリューム・ゾーンをとるんであれば、個人のキャッシュ・フローをやっぱり甘く見ちゃ駄目ですよ、っていうことを改めて気づいたと。そんなお話でございます。
(6:48)
東:なるほど。それってビジネスに具体的にどう影響してくるのかっていうのは、ちょっと森辺さんなりに、そういう現象からアドバイスというか、どうしたらいいっていうのは。
(7:03)
森辺:例えばシャンプーを売るメーカーさんだったら、日本で売っているような大きいボトルよりも、少しでも小さなボトルにしてあげて、トラベル用まではいかなくてもいいけど、通常われわれのバスルームに置いてあるシャンプーの大きさと、トラベル用の大きさの半分ぐらい。それでコストがどこまで下げられるのかっていうことを考えるし、10個入りのチョコレートだったら5個入りにするとか。そんなことを、やっぱり考えていく必要があるんじゃないかなと思いますけどもね。
(7:40)
東:なるほど。そうすることで個人が買いやすくなると。
(7:44)
森辺:そうですね。確かにたくさんの量、一気に買ったほうが楽なんですよ。まあ、言ったら、コストコ的な考え方。買いだめ!みたいな。なんだけど、やっぱり買いだめっていうことは個人のキャッシュ・フローを悪くするので。日本で個人のキャッシュ・フローなんて考えないよね。
(8:08)
東:まあ、そうですね。
(8:08)
森辺:基本、貯金あるもんね。貯金ない人ってそうそういないでしょ?
(8:11)
東:そうですよね。
(8:12)
森辺:そうするとやっぱり、いかに安く買うかっていうことが重要なので、たくさん買ったほうがお得なんだったら、お得じゃない。コンビニ行ったらさ、20パーセント増量とかって書いてある。そういうのがお得なんでね。アジア行って増量とかないから、むしろ小っちゃくなってるっていう世界なので、やっぱそこはすごく重要だとは思いますけどね。
(8:41)
東:わかりました。じゃあ森辺さん、今日は時間が来たのでここまでにしたいと思います。森辺さんありがとうございました。
(8:48)
森辺:はい、ありがとうございました。
(8:52)
ナレーション:本日のPodcastはいかがでしたか?番組では森辺一樹への質問をお待ちしております。ご質問はPodcast@spydergrp.comまでお申し込み下さい。たくさんのご質問をお待ちしております。それではまた次回、お目にかかりましょう。
『森辺一樹のグローバルマーケティング』。この番組はspyder groupの提供によりお送りしました