東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:森辺さん、前回に引き続きニューヨークからお送りしているんですけど、前回アメリカのブローカーの話があったんですけども、アジアとの違いでブローカーとディストリビューターが違います、と。ではもう少し突っ込んで話をして、アメリカのブローカーとかと話す時に、日本とかアジアとどのような違いを感じるかっていうのを、少し教えていただきたいんですけれども。
森辺:最近のアジア…中国でもASEANでも、リテーラー・小売もディストリビューターも、会社概要とか製品概要はいいから、戦略を見せろみたいな話、生意気にするじゃない?その流れってアメリカの流れを汲んでいて、アメリカはもっとそれがキツい。
どちらかというとアジアとかだと、例えばタイでもインドネシアでも、ベトナムでもフィリピンでもどこでもいいんだけど、基本的には日本っていうのは上位にあって、「そこで売られている製品は良い物だ」っていう前提で来るんだよね。ただ、「価格が高いから価格を合わせて」っていう議論にしかならない。価格をどう折り合いつけれますか、っていう議論と、後リスティングフィーこれくらいかかりますよ、さあやりましょう!みたいな。4Pで言うと、プライズのところに話がすごくフォーカスされちゃうんだよね。
プロダクトっていうものは、そもそも日本で売れてるし、日本が上位に位置してるっていう認識を、我々もしてるしアジアの小売もディストリビューターもしてるから、その製品が本当にインドネシアに適しているかとか、タイに適しているかっていうのは、例えば価格を下げるために小分けするとか、価格を下げるために「○○(サジェット?)」(3'03.79)にするとか、そういう議論はなされるけど、そもそもその国に合ってるのかどうかっていう議論は、本当の意味ではされない。
だけどアメリカに来ると、価格云々の話の前に、そもそもお宅の商品は本当にアメリカに受け入れられるの?っていうところの議論からまず始まる。だからよりマーケティング要素が強くて、4Pの4つのPをちゃんと固めていく。まず製品が本当にアメリカ向けなのか。じゃあ、そこで受け入れられる価格帯ってどうなのか。それに対してチャンネルをどうするんだ、プロモーションどうするっていうことを4つ同時に求められるっていうのが、アメリカの市場の印象です。
一方でアジアは、プライスだけ。チャンネルはうちでやろうよ、うちだけで、みたいな。インドネシア全土でできないのに、インドネシア全土独占、みたいな。だけど、こっちのディストリビューターはそんなロジカルじゃないことは言わない。自分達1社じゃできないことは分かってるわけだから、例えばニューヨークは我々にやらせてと。その他どうするの?どことやるの? 何故ならば、相対的にアメリカ全土で売り上げ上がってこないと、ニューヨークだけで売るっていうのも中々難しいから、チャンネルに関してもそうなる。
言うなれば、すごくマーケティングを、4Pを同時並行的に求められるっていうのが、アメリカ市場の印象というか、実態です。
東:そうすると、メーカーでもアメリカに進出していくことはあると思うんですけど、消費材だと森辺さんの印象だとどうですか?
森辺:日本のメーカー?あんまりだよね。そもそも一部の大手消費材メーカーを除いては、アメリカの市場を端から諦めているというか、難しいし大きいし、自分達より上だし、自分達には合わないし、アジアの方が合うんじゃないかっていって、アメリカ市場を検討せずにアジア、みたいなね。グローバルで検討して「どこが一番適しているか?」「アジアだね」っつってアジアに行くんではなくて、そもそもアメリカは端からカウントしてない。なぜなら、「きっと難しいでしょう?受け入れられないよね。じゃあ格下のアジアに持っていこう」みたいな。
そういうのがあるから、目につかないですよね。日系のスーパーとかに行けばあるけど、基本的にメインストリームで「おお、凄いな日本の」っていうのは少ない。
東:参入障壁は、実際高いんでしょうか、それは。
森辺:今の消費材メーカーのスタンスで行ったら、高い。だけど、実は本当に商品を売るということは、マーケティングミックスをしっかり考えていかないと、継続的に売れていかないわけだから、そういう意味では当たり前のことをやるっていうだけなんだけどね。
東:そうすると、なんとなくやっぱり「○○」(6'56.19)からすると敷居が高いっていうのは、正直あるということですね。ウォールマートだったり、「○○」(7'04.64)だったり、それなりの大手の企業「○○」(7'06.95~7'10.02)、参入障壁が高いんだろうなっていうのがあると思うんですけど、それをブローカーを見つけて、ブローカーと共にリテールに参入していくっていうステップを踏むということなんでしょうか?
森辺:ステップっとしては、小売に直接は行けないので、基本的には地域地域でブローカーを見つけて、そのブローカーと共にどう小売に入れていくかっていうマーケティング戦略を一緒に考えていくっていうステップになる。そのためには、色々な準備が必要だし、そのままスッと入るということにはならない。
一方でアジアは、価格の折り合いと敷居の折り合いさえつけば、「とにかく入れましょう」みたいな話になるんだけど、そうは簡単にはならないんだけど、結局消費材メーカーのことを考えると、そこまで最初にしっかりやっておけば、継続的に売れる可能性は一気に高まるわけで。
アメリカの市場で成功すれば、アジアの市場でも充分通用するわけじゃないですか。だから僕はある意味、アジアで成功するためにアメリカを取るっていうのは、戦略としては間違ってないんじゃないかなと思うんですけどね。
東:分かりました。今日は時間が来ましたので、ここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。