東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:森辺さん、引き続きヨーロッパから…ヨーロッパじゃない、ニューヨークからなんですけども。前・前々回と2回に渡って、アメリカの市場について話をしてきたんですが、ブローカーって一言で言っても色々あると思うんですけれども、例えば、ある日本の企業が日本から商品もしくは海外商品をアメリカに持って来たいとします。そうすると、どんなブローカーが適しているっていうのは、当然商材によって商品によって違うんでしょうけど、最初に組むべきブローカーっていうのは、どんなところが理想なのかっていうのは、森辺さんなりに色々なブローカーがあるっていうところを踏まえて教えていただきたいと思うんですけど。
森辺:そこの部分ってどの国でも一緒で、前々々回・前々回かもっと前かな?どこかアジアの時に話したと思うんだけど、まず自分達が受け入れられる小売の形態をまず判断しなさいと。スーパーが一番適しているのか、ドラッグなのかコンビニなのか。一気に全部やるっていうのは現実的じゃないので、「うちの商品はドラッグだ」と。
ドラッグだとすると、ドラッグのカテゴリーの中から、どのドラッグストアがいいの?CVSなの?オールグリーンなの?何なの?みたいな。それを選んでいくと。スーパーだったら、ウォールマートなの?ターゲットなの?どこなの?と選んでって。
その次に、エリアだよね。ニューヨークから攻めるんですか?ロス・サンフランから攻めるんですか?いやいや、もっと田舎の方から攻めましょう、なのか。それを判断していくと。そこを判断して初めて、そのエリアでその小売に強いブローカーを探していくという話になる。順序としては。
このブローカーっていうのが、基本的には個人商店なんだよね。おっちゃんとかお兄ちゃんがやってて。もうこれは物凄い数アメリカにあって、「自称ブローカー!俺は強いぞ!ターゲットと凄いコネがある!」って皆な言うわけじゃないですか。けど実際そうじゃないっていうケースも当然あるし、ターゲットのどのカテゴリーの商品のバイヤーさんとやっているのかっていうのにもよるし。食品のバイヤーさんとは仲いいけど、日用品のバイヤーさんと仲良くなかったら全く意味無いし。そのブローカーが今どういう商品をやっているのかっていうことと、過去にどういう商品をやってきたのかっていう実績を見ていく必要が当然あって、そこが一つのキーになるでしょうね。
アメリカの小売のバイヤーさんは、アメリカは凄くて成果主義で、自分の担当している商品のバイイングをするわけだよね。そうすると、その商品が売れるかどうかで、自分の担当しているカテゴリーの売り上げが、彼の評価の全てになるわけだよね。彼の年収がこれで変わってくると。
そうすると、今まで売れている物が売れてたら、それをわざわざ別の商品に切り替えるっていうことは、棚のスペースから今まで売れている物を少し減らして、別の物を突っ込むっていう話になるよね。そうすると、彼にとってはそれがリスクになるわけだよね。今季の目標が100なのに、このままの商品ラインナップで行けば去年同様100行くはずなのに、ここ20減らして新しい商品20入れるとか、10減らして10入れる。そうすると、90までしか95までしか行かないかもしれない。そういう可能性があると。
なので、彼らはマーケティング戦略を求めるわけだよね。「日本の消費材メーカーさん。あんた達はこれ売れるっていうんだけど、じゃあどういう実績が世界であって、どういう理屈でその商品が本当にアメリカで受け入れられるの?その根拠を示せ。ストラテジーを示せ。」と。だからビジョンを聞きたがるし、戦略を聞きたがるし、それを裏付ける調査レポートを欲しがる。そこが凄くプロフェッショナルというか。
で、導入の時期っていうのが年に2回ぐらいしか無いので、その時期の手前でバイヤーさんが「もう数字行く」「もう完全に行っちゃいます」というと、新しい商品にチャレンジしたがる傾向が強い。ただ、「今季ヤバイ」っていうバイヤーさんだと、チャレンジしたがらない。そういうところも見抜いていくっていうのは必要で。
今、質問はブローカーだよね。ブローカーは大なり小なり色々いて、とにかく会うしかないです。会って「こいつだ!」と思う人とやる。基本日本人の感覚で言ったら、アメリカ人超いい加減なので、もう的当なやつばっかりなんですよ、ブローカーってもね。個人商店の。「俺に任しとけ!」みたいな。で、後出しジャンケンみたいなことを、後でいっぱい言ってくるわけなんで。
なので、並行していくつかと付き合いつつ、最後に一個決めるっていう話なんだけど、ここは見極めですよね。「こうだから良い」とか「こうだから悪い」っていうのは、さっき言ったようなことではあるけど、人を見抜くしかないっていうのは、最後大きい要素として残る。稀に、会社規模のしっかりしたところもあるし、僕は実績を見るしかないと思う、ここは。
あと、アメリカ人ははっきり言うよね、何でもね。「これはアメリカ向きじゃない」とか、「アメリカでは受け入れられない」とか、「こうしろ、ああしろ」みたいな。それ1から10まで全部聞いてたら埒開かないこともあるし、その中の3割はしっかり聞かなきゃいけないところもあるし。
後、早い。パンパン行かないといけないから、「持ち帰って部長に相談します」とか、そういう話じゃないよね。ある程度こっちでストラテジー固めて、バンバンこっちからさして行かないと、後手後手になっちゃうっていうのは、一つあるかな。
アジア人とかだと、言っても日本人って特じゃない。対アジアに対しては。言ってる意味分かるでしょう?やっぱり上位にいるんだよね、きっとね。だけど、アメリカっていうのは更にその上位にいる市場で、そこにいる白人連中とやりあうっていうのは、そういう要素は多く含んでいるっていうのは、一つありますよね。
東:森辺さん、今日は時間が来たのでここまでにしたいと思います。ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。