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【対談】グローバルの流儀

グローバルの流儀 フジサンケイビジネスアイ紙 特別対談シリーズ『グローバルの流儀』は、弊社代表の森辺がグローバルで活躍する企業の経営トップにインタビューし、その企業のグローバル市場における成功の原動力がどこにあるのか、主要な成功要因(KSF)は何かなど、その企業の魅力に迫る企画です。本企画は2015年にスタートし、今年で6年目を迎えます。インタビュー記事は、新聞及び、ネットに掲載されています。


Vol.1 日本企業はチャネル構築を強化せよ

明治大学 経営学部 教授 大石芳裕 氏

グローバル・マーケティングこそ日本企業の課題

森辺: グローバル・マーケティングとはどういうことですか?

大石: まず国際マーケティングとグローバル・マーケティングを区別するところから入るとわかりやすいと思います。

国際マーケティングの「国際」とはインターナショナルですから、国際マーケティングというのは国境を超えたマーケティングの事ですね。 ただし、国際マーケティングという言葉がつくられたのは国内から初めて海外に出て行くときで、「マーケティングの国内から海外へ」ということを意味していました。 今でもこういう狭い認識(狭義)で使う人がいます。

対談風景

本当は国境を越えて色々な国を跨いでやるマーケティングが国際マーケティングです。こちらが広義になります。

グローバル・マーケティングというのは広義の国際マーケティングの現代的な姿です。 国際マーケティングの中でもグローバルな規模で実施されるようなマーケティング、 例えば少なくとも日米欧の3地域でやっているとか本当に地球規模でやっているマーケティングがグローバル・マーケティングですね。

国際マーケティングを考える場合、1つの誤解があります。 「国内マーケティングだって東京と大阪でやり方が違うではないか、広告のやり方も違うし営業のやり方も違う。 国際マーケティングといっても中国とインドネシアの違いは東京と大阪の違いに過ぎない」というものです。

国境を超えるというのはそういう事ではありません。 国際マーケティングが国内マーケティングと決定的に違うのは、「国を越える」ということです。 国によって制度も違えば文化も違うし、商習慣も違う、消費者のメンタリティーや行動パターンも違う。 国内にはない為替相場という問題もあるし、移転価格の問題もあります。 つまり、そこには新しい領域の問題点が出てくるのです。

実務的な問題でいうと国内で優れたマーケティングをやっている企業でさえ、 グローバルに出て行くと上手くいかないという事が多々あって、ここがいまの日本企業の課題であると思う訳です。

去年、経産省の方々が今年の『通商白書』にグローバル・マーケティングを強調したいのでお話を伺いたいという事でおいでになりました。 これはすごくいいことだと思いました。 経産省は今までメーカーのものづくりを中心にやってきましたが、それがグローバル・マーケティングの弱さに気づいたというのは、 そしてこれを何とかしなくてはいけないと考えたことはすごい前進です。

そこで日頃私が考えていることをお話ししました。 実際、今年6月に発行された『通商白書』はグローバル・マーケティングの重要性を強調したものになっています。

グローバル・マーケティングの4Pは「Place(流通、つまりチャネル)」から始まる

大石: これはある意味日本企業の現実を示しています。 ものづくりは大事なので今後も強化していかなければなりませんが、一方でグローバル・マーケティングを強化しなくてはいけません。

具体的にはマーケティングと言えば4Pと言われるように製品、価格、流通、プロモーションの4つがあります。 国内マーケティングの場合は4Pといえば最初に「product 製品」がきますね。 しかし、グローバル・マーケティングの場合は最初に「Place 流通」、つまりチャネルが最初にきます。 ここが決定的に違います。 国内マーケティングで育った人はどうしても製品が前に来てしまいます。

対談風景

森辺: 大石先生、それすごく分かりやすいです(笑) そうですね、グローバル・マーケティングで最初に来るのはチャネルですね。

最近、弊社では「ものづくりからチャネルづくり」というメッセージを出しているのですが、こちらの表現の仕方の方が伝わりやすいですね。

大石: グローバル・マーケティングとは国際マーケティングの定義からして国境を越えてやるものだけれども、 国境を越える時に、多くの企業が最初は母国(日本)で持っている製品を持っていくわけですね。製品は既にある。

それでは何が一番肝心かというとチャネルづくりです。 チャネルづくりを上手くやれるかどうか、ここが勝負です。 国内マーケティングとグローバル・マーケティングでは似たところもたくさんありますが、決定的に違うところもあります。 グローバル・マーケティングの初期では、まずチャネルづくりを徹底的に強化しなさいという事です。 これがグローバル・マーケティングにおける第1のメッセージです。

森辺: ここが一番重要だという認識がありましたが、この表現方法はお見事です。 では、この模倣困難性が高いチャネルづくりにおいて3つ重要なことを挙げるとしたらどんな事でしょうか?

チャネル構築の3つのポイント
「良いパートナー」
「営業とチャネルの違いを理解する」
「資金回収の仕組みづくり」

大石: グローバル・マーケティングで重要なことの3つは「スピード」、「現地適合化」、「チャネル」とあちこちで言ってきましたが、ここではチャネルに特化してお答えします。

まず、チャネルというのは標準化/適合化の理論でも極めて標準化しにくいものだと言われてきました。 そして、そういう実証データもたくさんあります。 外国人が現地に行ってチャネルをつくるという事は極めて難しい事です。 いかに国内でチャネルをつくった経験があっても、条件が違うところでチャネルをつくることは非常に難しい。 ですから、良いパートナーを探すという事が1つ目です。

日本企業に「途上国で何が困っていますか?」、「何が重要ですか?」と聞くと、 中国でもアジアでも「良いパートナーを見つけること」という回答が一番多いですね。 チャネルづくりのために良いパートナーは極めて重要だからです。

そもそもどうしてチャネルをつくらないといけないのか?を考えると良く分かります。 チャネルをつくらなければ、製品を消費者に届けることができません。 つまりチャネルなしには価値の実現ができないということです。

また、小売店に製品が並んでいないときに広告を打っても意味がないということがあります。 さらに、チャネルの看板やPOPは途上国では最強の広告にもなるということもあります。 ですから、流通業に強いとか財閥系であるとかは別にして、パートナーにはモノを流してもらうチャネルの構築をやってもらう必要があるのです。

経験を積んだ企業、例えば味の素とかは自前でチャネルを構築出来るようになります。 さらにタイでの成功事例をインドネシアに持っていくというような事もできるようになります。

しかし、多くの企業は海外進出当初、チャネルつくりで一番苦労するわけです。 パートナーがそれを助けてくれるなら、良いパートナーを探しましょう。

だから見た目である生態的にきったときにどちらがいいかはなかなか分からないのだけども、 要するにチャネルづくりに良いパートナーか自社の力量があるかどうかが大事です。

日本企業は営業とチャネルを混同してしまう

大石: 2つ目は普段見落としがちですが、営業とチャネルの違いがわかっていないという事です。

営業というのはマーケティングの4Pでいうと、チャネルではなくプロモーションに入ります。 プロモーションの中の広告や狭義の販売促進、つまり見本市やPOPと並ぶ「人的販売」が営業です。

営業とは「取引の締結」が仕事と考えられていますので不思議に思われるでしょうが、マーケティング的には「情報の流通」の一つと考えられています。 つまり情報をマスメディアを通して流すと広告と言われ、人を通して流すと人的販売、すなわち営業と言われる訳です。

実は情報を流す媒体が、マスメディアなのか、人なのかによって分かれているだけです。 ところが日本の場合はマーケティングに対して営業の位置づけが高く、販売すなわちモノを売ることが非常に重視されます。 営業は人が介在しますので「モノを売るより人を売れ」とか、「死ぬ気で頑張れ」とかいう人間論・精神論が幅をきかすわけですね。

もちろん海外でも営業は大切ですが、マーケティングにおけるチャネルの重要性は国内同様、軽視されてしまいがちです。 営業とチャネルを混同してしまう訳です。

森辺:だから海外に行くとチャネルづくりが上手くいかない訳ですか?

チャネルづくりは「アーキテクチャ」である

大石: そう、いかない。 チャネルづくりというのは1つのアーキテクチャなのです。

どういう販路をつくりあげて、どういうディストリビューターからリテーラーまで持っていくのか 都市部から流していくのか、農村部から流していくのか?

販路の全体像の構築し、維持・発展させることがチャネル戦略です。 チャネルを構築することと、つくったチャネルを管理することの2つの課題が有る訳です。

ここを明確に区別すれば営業ももちろん大事なのだけども、 チャネルの構築や維持にはまた別な能力が必要であることが分かって頂けると思います。

ところが営業とチャネルを混同している人は営業のセンスで日本から人を派遣して「お前死ぬ気で頑張れ」、 「とにかくどうにかして売ってこい」みたいなかたちでやる訳ですね。これが限界なのです。

森辺: 本当にそうです。 僕は大石先生が言っていることは100%アグリーです。

資金回収の仕組みづくりを忘れないこと

大石: 3つ目は、結局資金の回収です。

チャネルを通してモノを流しても、資金回収をうまくできなければお金は回らなくなります。 チャネルをつくることは建築と同じですから、すごく手間暇がかかってお金がかかることです。 そこにきちんと日銭が入ってこないとそれを維持できない。 だから現金販売にするとか、前受金にするとか、 コマツのようにコムトラックスをつかってローンを払わない人の機械を止めてしまうとか、何か仕組みをつくらないといけません。

チャネルというのは販路を構築して単なる形をつくるだけではなく、その中でモノを流し、情報を流し、お金を流すトンネルです。 チャネルづくりとはトンネルづくりと考えるべきです。

森辺: 最初のパートナーの部分ですが、例えば製造業が同じ業界の製造業とパートナーを組むというパートナーモデルがあったと思います。

日本企業の目的としては現地の企業が持つチャネルが欲しいという事で現地企業と合弁会社をつくるのですがコンフリクトがおこる。

なぜ、コンフリクトが起こるか? 現地企業が欲しいのは日本企業の技術だし、日本企業の欲しいのは現地企業のチャネルである。 このコンフリクトがなかなか解消しないので合弁が上手くいかないケースは結構多いのではないかと思う。 気づいている企業はもう気づいていると思います。

製造業だけども現地のチャネルを爆発的に増加させる為に現地のチャネルを買収するみたいなそういうケースが増えてきている。 ソフトバンクのブライトスターの買収とかはまさにこのケースですね。

孫さんは自分だけ手に入れたドリームプロダクトであるiphoneをauもドコモも手に入れた。 次の一手はなんだと考えた時にチャネルの買収という答えに行き着いたのではないか?

こういう動きを見ているとこれからのチャネル戦略は同業種同士のパートナーではなく同業種ならM&A、提携であれば欲しいもの、 チャネルだったらチャネルと提携をするという事ではないかなと思っています。

大石先生はどうお考えですか?

戦略的にパートナー選びをすることが重要

大石: 正しいと思います。 例えば、アジアでFMCG事業を営む場合、 ローカル企業と提携をするときに相手が同業ないしそれに近いとローカル企業はしたたかですから そのノウハウを吸収したら提携関係をパッサリ切って自分でやってしまいます。

コンビニや外食なんかもそうですが、敵に塩を送っているようなものですね。 それであれば買収して自分の手にしておけば、情報の流出もなくなる。

そうでなければ、ショッピングセンターを持っているけれど、具体的な小売りはやらないショッピングセンターに強いデベロッパーと組むといい。 そうするとデベロッパーがつくったところに小売りをもっていける、もしくは外食を出していける訳です。 そうするとWIN-WIN関係になれます。

こういうパートナーの選び方をやらないと敵に塩を送ることになって長続きしません。

森辺: 意外に上場企業のIRなにかを見ていると海外に進出する時は日経新聞とかに大きくでるのですけど、撤退の時はIRの関係で目立たないようにでる。 パートナーとの関係悪化によりとか3行くらいでおわってしまう。

結局僕もずっと撤退情報を見ていると、パートナー戦略を間違えてとにかく分からないから現地の人に頼らないといけないと思い込んでしまう。 そう思い現地の人に飛びつく日本企業は非常に多いのですが、そこに提携戦略がないのです。

そうなるとやっぱりコンフリクトが起きるので、そこまでを見据えたパートナー戦略を考えるべきだと私は思っています。

大石: 個別名を出す訳にはいきませんが、大手コンビニの海外事業担当責任者によれば、パートナー選びには何度も失敗したそうです。 契約書も提携解消の詳細を記載することもなかったので、当初は10ページくらいだったそうです。 でも経験を積み重ねていくうちにやっぱり色々な問題があるからと段々とページ数が増えて、現在では100ページくらいになっているそうです。

つまり、「こうなったらこうするよ」とか「売上がこれだけ下がったら撤退するよ」とか 「これくらいの利益が維持できれば頑張る」とか「○○の場合、生産はどうする」とか、 こういう事を事細かに詰めていくと100ページくらいのボリュームになる訳です。 契約書を曖昧に締結してしまうとパートナーは契約書の隙を見つけて、「この事は書いてないからやっていいじゃないか」ということになってしまう。

森辺: 現地企業にとったは契約書に書いてないから何が悪いの?と思っていて全く悪気はないですよね。 性善説で契約書をつくられると10ページですけど、欧米企業の凄さって考えられる可能性が契約する前から契約書に盛り込まれて、 こういうことが起きたらこうする、という事が全て決まっている。

日本の場合、問題が起きたら協議します。協議して何か解決するのか、というと解決しない。 書いてないことは協議と言っても、協議したら結論はでない。

だから、きちんとここまでやらないといけないと考えてしまう。

チャネル構築はプロフェッショナルに任せるべきである

大石: だから、その部分をプロフェッショナルがやればいいと僕は思います。 企業がなかなかできない、或いは高い代償を払って何年もかけてそれを学んでいくくらいだったら、 その部分はプロフェッショナルに任せてしまう方が良いでしょう。

確かにコンサルタントも1つの選択肢ではありますが、コンサルタントは金融に強いとか、自動車に強いとか、 ある産業には特化していますが、チャネル戦略を専門にしている訳ではありません。 それであれば、チャネル構築はチャネル構築のプロに、例えば実際にチャネルづくりをやれる会社に頼み、 契約書は契約書のプロに頼む方が絶対にいいはずです。

つまり、プロフェッショナルに頼む事によって時間や経験をお金で買う訳です。

森辺: 有難うございます。チャネル構築であれば弊社にお任せ下さい。 それぞれのプロフェッショナルに任せればいい訳ですよね?

「三ツ矢サイダーとスプライト」の何が違うのか?

大石: その通りです。 ご承知のように、誰もが知っている日本の大手消費財メーカーの多くが海外でことごとく苦労をしています。 ご承知のように誰もが知っている日本の大手消費財メーカとかは海外でことごとく苦労をしている訳です。 ほとんど数えるくらいしか成功していません。

その要因を分析してみると、ほとんどがチャネルづくりに失敗しています。 少し値段が高いという事はありますが、良い商品は持っているし、世界的に競争できる品質の高さはあります。

しかし、決定的にチャネル構築が弱いですね。 このことは多くの日本企業も分かってはいるのだけれども、分かっていても具体的にどうしたら良いのかが分からないという状態にある訳です。

森辺: 僕は最近よく例に出すのが、三ツ矢サイダーとスプライトです。

よく調べていたら炭酸入り砂糖水をつくったのは三ツ矢サイダーの方がスプライトより先でした。 改めて味を比べてみましたが、スプライトは若干甘いですが、どちらでもいいはずです。

なぜ、スプライトは世界中で飲めるのに、三ツ矢サイダー飲めないのか?

スプライトが世界中で飲めて三ツ矢サイダーが飲めないのは、明らかにチャネル構築の差です。

あと、チョコレートも同じでDOVAっていう海外のチョコレートがありますが、ホテルの冷蔵庫をあけると卵ケースのところに必ずあります。 ガーナチョコでも、明治のミルクチョコでもいいわけです。

アジアの人たちってチョコを口にする機会がまだまだ少ないから、 最初に口にしたチョコレートがチョコの味のデフォルトスタンダードになってしまいます。 外資がばんばん口に突っ込んでいっているから、チョコはこういう味なんだ、ハーシーズのチョコがチョコなんだ、となってしまいます。

この事実がこれからの日本企業の参入の妨げになるのではないかと思ってしまう。 先に彼らの口にチョコを入れないと味覚が出来上がってしまう。

レディーボーデンとハーゲンダッツというアイスがありますが、 ハーゲンダッツって何かヨーロッパのイメージがありますが思いっきりアメリカの会社じゃないですか? なんでレディーボーデンを世界で売らないのだろう、どう考えたってレディーボーデンの方が美味しい。

ポテトチップスはプリングスより日本のポテトチップスの方が美味しい。 美味しい美味しくないは趣味志向味覚の問題ではなくて、おいしいものは美味しい、美味しくないものは美味しくないと僕は思っています。

だから、すごく良いものはたくさんあるのに、 チャネルをつくるって言う事に長けていないからこうなってしまっている現実が残念で悔しくって腹立たしい、とそんな風に思っています。

海外では日本的な営業感覚は全く通用しない

大石: モノづくりをやっている人は、当然のことながらモノをつくるのがうまい。 広告づくりをやっている人は広告をつくるのがうまい。 だから、広告代理店というものがある訳ですね。 同じようにチャネルづくりをやる「チャネル代理店」というのがあってもいいと思います。 これは通常の「販売代理店」ではなく、チャネルというトンネルをつくるプロフェッショナルです。

日本企業は営業とチャネルの違い区別をしないできたから、営業強化ということはずっとやってきましたが海外でチャネルづくりをどうするかについては十分に学んでいません。 海外でも日本と同じように営業が死ぬ気で頑張ればなんとかなるし、顧客に夜一杯飲ましてやれば商売になるだろう、みたいにまだ思っている訳です。 それは完全なる勘違いですよ。

森辺: 営業は強いけど、マーケティングが弱い。 そういう理解でしょうか?

大石: ドラッカーはマーケティングとは営業を無くすことと言っています。

広告でプルマーケティングを展開して、消費者がその商品を欲しいというから営業はいらないという意味もありますが、それだけではありません。 営業に先立つチャネルづくりが重要だといっている訳です。 もちろん人的販売という営業がなくなるという訳ではありません。 営業は非常に重要で、海外でも重要である事にはかわりありませんが、その構造づくり、トンネルづくり、 つまりチャネル構築をどうやるかという事が先に出来ていないといけない訳です。

例えば、広告1つにしても、お店に商品が陳列されていなければ広告をうってもお客さんは買うことができません。 広告のおかげでグリコのポッキーが欲しいという指名買いになってもお店に行ったらない、なければがっくりきてしまう、 そしてそのお店には行かなくなります。 お店にとっては品切れが一番怖い訳ですが、それが起こってしまいます。

広告をうつ前にチャネルにモノが並んでなければなりません。

だからチャネル構築が重要な訳です。

チャネル構築が最重要である。なぜなら、チャネルが一番の広告だから。

森辺: 家電の場合でいうと、なぜサムソンが広告をうてて日本企業はうてないのか? チャネルがあればうっても響くけど、チャネルがなければうっても響かないということです。 実はチャネルができれば広告代理店も嬉しいはずです。 広告をうってもそれが響くようになりますから、海外での広告宣伝費も多くなるはずです。

そういった意味でもチャネルは非常に重要だと思います。

大石: もう1つチャネルと広告の関係でいうと、実はチャネルが一番の広告になるのです。 お店の上に看板をあげるとか、ポップを置いてもらうとか、チャネルそのものが広告媒体になります。 お店の中に営業がはいって一所懸命そこの店主を口説くと、花王がいいよ、資生堂がいいよ、 マンダムがいいよとか店主がお客に宣伝してくれるのです。

だからチャネルをつくるということは同時に広告をやることにつながります。 でも、広告だけをやったとしてもチャネルをつくることにはなりません。逆は成り立たない訳です。

チャネルとは、そういう複合的な面を持っている訳です。

森辺: グロバール経営でどんなことが重要になりますか?

清水: 経営で重要なことはキャッシュを生み出すことです。 その為にいかにユニークな方法で儲けられるかどうかが大切です。 商品の差別化が難しくなってきたので、結局、チャネル重要性が増してきました。 ユニークな儲け方はやはりチャネル(販売網)が必要ですし、 その中でユニークなポジションを作るために自社の強みを海外におけるチャネルにもってくるべきです。

ゲスト

大石芳裕 (おおいし よしひろ)

明治大学 経営学部 教授

Yoshihiro Oishi, Meiji University

1952年佐賀県生まれ。九州大学経済学部卒、九州大学大学院経済学研究科博士後期課程。グローバル・マーケティングの観点から、日本企業の国際競争力構築を研究・教育している。日本マーケティング協会、日本生産性本部、日経ビジネススクール、日経BP等での講演のほか、いくつかの企業の社内研修も引き受けている。グローバル・マーケティング研究会 代表世話人(http://gumaken.org/ )も務める。

インタビュアー

森辺 一樹

森辺 一樹(もりべ かずき)

スパイダー・イニシアティブ株式会社 代表取締役社長兼CEO
法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント研究科 特任講師

Kazuki Moribe, SPYDER INITIATIVE

1974年生まれ。幼少期をシンガポールで過ごす。アメリカン・スクール卒。帰国後、法政大学経営学部を卒業し、大手医療機器メーカーに入社。2002年、中国・香港にて、新興国に特化した市場調査会社を創業し代表取締役社長に就任。2013年、市場調査会社を売却し、日本企業の海外販路構築を支援するスパイダー・イニシアティブ株式会社を設立。専門はグローバル・マーケティング。海外販路構築を強みとし、市場参入戦略やチャネル構築の支援を得意とする。大手を中心に17年で1,000社以上の新興国展開の支援実績を持つ。著書に、『「アジアで儲かる会社」に変わる30の方法』中経出版[KADOKAWA])、『わかりやすい現地に寄り添うアジアビジネスの教科書』白桃書房)などがある。