森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日は、「マーケティング力とは一体なんなのか」ということと、「マーケティング力とは一体どうすれば磨かれるのか」ということの2点についてお話をしていきたいなというふうに思います。あくまで僕がどう考えているかというお話なので、必ずしも正解ということではないかもしれませんが、そんなお話を今日はできればなというふうに思っています。なんでこんなお話をしたいのかと言うと、最近、何人かの方とお話をする中で、この2つの問いをいただいて、最近に限らずよくそういうお話はいただくので、そのときに僕が毎回答えるお話ではあるんですけど。
マーケティング力ってどういう能力なの?ということなんですけど、僕はこれはバランスとセンスだと思っていて。マーケティングって何かと言ったら、定義はいろいろあるものの、シンプルにお話をすると、誰に何をどう売るかということがマーケティングだし、売れる仕組みをつくることがマーケティングであるというふうに僕は考えていて、ほぼいずれの定義もそういうことだと思うんですよね。売ることではなくて、売れる仕組みを考えることがマーケティングだし、誰に何をどう売るかということがマーケティングだし。フィリップ・コトラーは、この「モノ」を発明して、そして企画して、生産して、販売して、在庫して、アフターサービスして、この一連の流れをマーケティングというふうに定義をしているし、まあまあ、若干の違いはあれど、マーケティングというのはそういうことで。そのマーケティング力と、いわゆるマーケティングを推し進める上で非常に重要となる力とはなんなのかと、つまりはマーケティング力とはなんなのかという問いに対しては、僕はバランスとセンスだというふうに思うんですよね。ちょっとどちらを先に言うかって、センスとバランスかもしれないですけども。この2つが非常に重要で。
バランスって何かって、マーケティングって本当にバランスだと思っていて。例えば、フレームワークに当てはめてマーケティングを考えると、ターゲットに対してどういう4Pとか4Cを組み上げるかということだと思うんですよね。なんですけど、このときにやっぱり組み立てる4Pのバランスが悪いと、これはマーケティングとしてはあまりうまく成立がしないので、やっぱりどこかが1つ良いというだけじゃダメなんですよね。バランスがやっぱり非常に重要で、プロダクトだけが非常に良くても、結局プライスがそれに伴っていないといけないし、プレイスとなる流通チャネルがしっかりしていないとダメだし、プロモーションをしっかりしないと結局誰も知らないので買われないしと、ターゲットにはリーチしないし、ということなので、この4Pとか4Cのバランスが非常に重要ですよという意味で、バランスが非常に重要ですと。
あと、このセンスというのは、この今のこの状況、もしくはこの時代、このインダストリー、このターゲットと考えたときに、何を求められていて、自分たちは今何をしなきゃいけないのかということを繊細に感じるセンスなんですよね。ここって非常にこれは難しいんですけど、先に言った、そのバランスって、なんとなく物理的な話なので、ある程度客観視すれば誰でもできちゃうもの。でも、一方でこのセンスというのは感じ取るものなので、どれだけ感じられるかということはすごく重要で。感じられなければ、今、どういうものが求められているのかという、時代の流れを読み間違えるわけだし、顧客の要望も読み間違えるわけだし。このセンスというのは非常に重要で、どちらが欠けてもダメなんだけども、どちらかと言うと、センスのほうが非常に難しいものなんだろうなというふうに思っています。
じゃあ、どうやってこのバランスとかセンスを磨けばいいのかということなんだけども、バランスに関しては、客観視をしっかりしていくということを訓練である程度上げられると思うんですよね、レベルを。なので、常にバランスを見るという訓練をするということがすごく重要。センスのほうは、やっぱりこれは常にアンテナを張り巡らせるということがすごく重要で、少しでも休むと、やっぱりセンスの力って鈍るんですよね。僕もちょっと疲れたから、しばらくちょっと中国いいわ…とかってやっていると、やっぱり中国の市場に対するセンスというのは鈍ってくるので、これはやっぱり休みなくアンテナを広げ続けて、情報を頭に体に入れ続けるということが僕はすごく重要だなと、それによって磨かれる。そこの磨かれ方に差があるのかと言うと、なかなかちょっと難しいところではあるんですけど。でも、基本的には、それである程度高いレベルのグループには属せるはずなので、その高いグループの中で、またもともと持っている素養とかで差が出たりとかっていうことはあるのかもしれないですけども。でも、やっぱりそうやってセンスは鍛えられていくし、バランスも意識付けで訓練でそうやって磨かれていくと思うので、そんなことだと思っているんですよね。だから、マーケティング力というのは、センスとバランスであると。バランスは訓練だし、センスは常にインプットを入れ続けることであると、それによって磨かれるんじゃないかなというふうに思っています。
今日はちょっと長くなってしまいましたね。これぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。