森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。前回は基準値のお話をしたと思います。今回もその続きでお話をしていきたいんですけど。日本の企業、ASEAN、インド、グローバルサウスを中心とした新興国市場で戦う際に、競合の可視化ができていないですよと。自分たちが競合に勝つ、もしくはシェアを上げる、目標を達成するための基準値とは何なのかということに対しての認識が非常に薄いと。勝つための目標や目的を達成するために必要となる基準値をしっかり持ちましょうねということをお話したと思うんですけど。
今日は事例のお話をしていきたいなと思うんですけど、例えば競合に勝つというふうに決めたときに、何年かで追いついて追い越していこうということになるわけなんですけど、勝つための基準値って何なんですかということをやっぱり持たないと、ただ闇雲に頑張っていても、これはなかなか効率的に勝ちに到達していかないし、ときには非効率に働くこともあるので、やっぱり基準値を先に掴んじゃうということはすごく重要で。基準値を先に掴めると、「いやいや、競合に勝つなんていうことは無理なので、投資対効果が悪いので、いや、2番でいいんです」という戦略に切り替えられるかもしれないわけですよね。なので、漠然と競合が強いとか、漠然と競合が弱いとかっていうことではなくて、やっぱり競合の基準値、競合に勝つための基準値をしっかり掴むということはすごく重要で。
じゃあ、何を見るの?というところなんですけど、4Pのフレームワークに当てはめて見ていくというのが一番効率的、効果的だと僕は思っていて。ターゲットに対して4Pを当てていくと、最適化した4Pを当てていくというのが各社やっていることだと思うんですけど。製品とプライスみたいなところって、見たら分かるわけですよね。そんなに大差がないと。もちろんローカル企業になってくると、品質は劣るけど価格が安いと。欧米系の先進グローバル企業になると、ここの両立感が抜群にいいということになるわけなので、それに対して自分たち、日本企業の場合は品質もいいけど価格も高いみたいなところでなかなかそれが市場に浸透しないので、ターゲットから見るという。だから,4Pのプロダクト、プライスで考えるんじゃなくて、4Cで考える。カスタマーに対するバリューがどうなのかという、プロダクトじゃなくて、カスタマーバリュー、顧客にとっての価値になっているの?この品質がいい商品はということで見る必要があるし。じゃあ、プライスに関しては、顧客にとっての費用負担がどうなの?という顧客側の観点で見ていったときに、欧米系の先進的なグローバル企業の商品や、ローカル系のアジアのね、中国をはじめとした安い、品質もそこそこの商品がいいのか、ここの観点でまず見るということはすごく重要で。そうすると、ガラパゴスというか、1人よがりのI want youというか、そんなもの求めていないよねと、まだそういう市場じゃないし、永遠にそういう市場は来ないのかもしれないということがこの2つのP、プロダクトとプライスを見るだけで分かってくるので、ここをまず日本企業は考え直すということをしないといけなくて。品質がいいことを戦略の中心に置いた戦略はもうやめましょうというのが非常に重要で。そんなことじゃないんですよね、マーケットって。だから、かつてこれでね、勝利をあげてきたので、なかなかここから抜け出すということが難しいんだけども、ここをまず変えていくということはすごく重要で。
まず、プロダクト、プライスというのはニコイチなのでセットで考えていくということと、あと、プレイスとプロモーション、チャネルとプロモですよね。チャネルとプロモ、これも両輪なので、ニコイチの両輪で考えていく。こうなったときに、私が見るには、チャネルがないのにプロモーションを打っても、これは砂漠に水をまくような話なので、なかなか難しいし。世界標準化の枠組みとか、これってもう組織論に関わってくるんだけども、組織の仕組みというか、構造が世界標準化にまだ追いついていない。例えば、先進グローバル企業だと、スーパーグローバル、スーパーローカルみたいな組織にしっかりなっているのに、いまだに事業部制の横ぐしを刺し終わったぐらいの組織なんですよね、日本の大手の企業は、まだ多くがですね。その中でいきなり先進グローバル企業がやっているような世界を面として獲ったようなプロモーション戦略ってなかなか打ちにくいので、やっぱりプロモーションだけを先に考えるというよりかは、チャネルを考えて、そこにプロモーションを乗っけていくということになると思うんですよね。
一番この4Pの中でも最も足を引っ張っているのは、このプレイスのチャネルのところ、部分で、ここが駄目だから、プロダクトが本当にこんなもの必要とされていないということにも気付けないし、プライスが全然これでは駄目なんだよというところも現実味を帯びて感じられない。プロモーションも投資をしようというふうに思えないという構造になっているので、やっぱりチャネルのところでしっかりとした基準値を持たないといけなくて。競合のチャネルと自分たちのチャネルをしっかり比較して、競合のチャネルを100とした場合に、自分たちのチャネルが一体どれぐらいなんだと。90なの?80なの?はたまた40なの?30なの?みたいな話なんですよね。90、80だったらまだやりようがあるけど、40、30だったら相当やらないと追いつかないし、追い越せないわけなので、ここが明確になると、明日から何をすべきかということが本当に明確になるので、無駄にだらだら弱いチャネルで勝てもしないような戦いをしなくて済むわけですよね。勝つための戦いに切り替えることができる。だから、このプレイス、チャネルをまず可視化するということはすごく重要で。
ちょっと今日は時間が来てしまったので、またこの続きを次回お話したいと思いますけど、そこが非常に重要だということでございます。皆さん、今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。