森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。前回は、私の新刊『ASEAN6における販売チャネル戦略』の発売のご案内をさせていただきましたけど、その前まではね、基準値のお話をずっとやってきていて。
基準値を持つことは非常に重要ですよと。基準値がないと、自分たちの目標を達成するための基準値は何なんですか、もしくは自分たちが競合に勝るための基準値は何なんですかという、この基準値が本当に重要だよという話をして、多くの日本企業はこの基準値を持っていないよねと。一方でシェアが高い企業というのは必ずこの基準値を持っていて、自分たちがシェア20%を獲るためにはどういう基準値が必要なのかと、競合に勝つためにはどういう基準値が必要なのか。競合の基準値を100とした場合に自分たちの基準値というのは今現状80なのか、70なのか、はたまた40なのか、30なのか、この差異を埋めていくということが前に進むということなので、基準値をちゃんと持たないと駄目ですよというふうなお話をして。何を基準値に設定すべきかみたいなお話をしていて。特に基準値を持つためには競合を可視化しましょうねと。競合のチャネル戦略を可視化して、組織体制を可視化して、マネジメント体制を可視化してと、この競合の3つを可視化しましょうねという話をずっとやってきていて。
実際にそれが可視化できると、基準値が手に入るわけですよね。自分たちが競合に近付くためには、つまりはシェアを上げるためには、多くの日本の消費財メーカーは、競合よりもシェアが低いというケースがアジア、グローバルサウス、新興国市場においてはそういう状況が今現状かと思いますので、先進グローバル企業と対等に戦えている企業、日本の消費財メーカーというのは数えるほどしかないので、基本的には遅れているという認識が前提です。そうなってきたときに、彼らに追いつくための基準値というのは何なんですか、彼らを飛び越える、彼らに勝っていくための基準値というのは何なんですか。すぐに勝つことはなかなか現実的ではないので、基本的にはどうやって追いついていくかということを設定していくわけですけども、その基準値を手に入れるために競合を可視化しますよと。
基準値が手に入ると、アクションが具体的になるんですよね。結局、アプトプットなんていくらしても意味がなくて、アウトカムまで持っていかないといけない、成果まで持っていかないといけないと。そうすると、どういう成果を出せばいいのか、その成果を出すためには、どういう基準値がないと駄目なのかということが手に入るので、本当にアクションが具体的になる。多くの日系企業、消費財メーカーは、対前年比何%プラスやるみたいな、チャレンジ何%みたいな、そういう設定の仕方で、去年の自分と戦うみたいなね。基本的にはそうではなくて、新興国市場は競争環境が非常に激化しているので、去年の自分となんか戦っていても永遠に競合には追い付かないし、ある一定のところまでいってしまうとやっぱり市場から淘汰されてしまうので、いかに競合と戦うかという認識をつけないといけなくて。これはB2Cだけではなくて、B2Bもそうなのかもしれないですけど、欧米の先進的なグローバル企業は大き過ぎるから、強過ぎるから、競合ではないですと。中国をはじめとしたアジアのローカル企業というのは品質が悪いから、これも競合ではないですと。私たちは自分の独自路線、高品質で頑張っているので、そこの市場なんですと。これはまさにガラパゴスそのものではないですかみたいな話なので、競合を意識するということは日本企業はすごく重要で、市場に出るということは、市場環境と競争環境のこの2つの中での戦いで、市場環境にばっかり目を向けて、消費者がああだこうだということももちろん大切なんだけども、いかに競合に打ち勝つかと。自分たちのシェアが5%上がるということは、競合のシェアを5%取っているということですから、基本的には競合を意識するということは絶対重要。だから、競合の可視化はすごく重要だよという話をして。
そういうことを諸々終わったら、基準値が手に入って、これでやっと自分たちには何が足りていて、何が足りていないのかということが具体的に整理できるようになるわけですよね。例えば、自分たちはディストリビューターのまず数と質で全然負けているじゃないと。つまりは数も少ないし、大した理由なく1カ国1ディストリビューター制、1カ国1代理店制とかって、まあまあ、代理店ではないですけどね、販売店なんですけど、1カ国1ディストリビューター制ということをやっている企業が多くて、もちろん1カ国1ディストリビューター制のほうがいいケースも、特にB2Bなんかはいいケースもあるんですけど、B2Cの場合は絶対に1ディストリビューターではうまくいかないので、輸出の場合はその限りではありませんけども。そうすると、やっぱり数でも足りてないし、深く開いていくと質でも足りていなかったよねみたいな話になってしまうわけですよね。契約条件でもやっぱり劣っていた。契約締結後の育成、ディストリビューター管理とか育成でもやっぱり劣っていたよねみたいな話になってくるので、その辺の話を次回以降しっかりやっていきたいなというふうに思っております。
今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。