森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日は余計な話はせずに、本題にスパッと行きたいと思います。
チャネルですと。チャネルを、基準値が分かったので、自分たちがどういうふうなチャネルをつくっていかなきゃいけないのか。多くはもうすでにチャネルがあるので、その既存チャネルを使いながら新たなチャネルを模索していく、そして、どう既存チャネルと融合させながら最適化していくかみたいなことをやっていくわけなんですけど。その場合に重要なこと、チャネルをもう1回リビルドしていく、新規でチャネルをつくるという依頼と、今現状のチャネルを生かしつつ、販売チャネルをリビルドする、もしくは現状のチャネルを一旦切りつつ、もしくはいつ切ってもいいように新たな強固なチャネルをつくっていくという仕事のほうが私は多くてね、たぶん95%以上そっちなんですよね。新規でチャネルをつくるというのは本当に5%ぐらいで、ASEANとかではほぼなくて、インドとかアフリカ、こういう地域がやっぱり多いので、グローバルサウスの中でも非常にまだまだ発展途上の、これから新興国にどんどん、どんどん、なっていくような、インドはもうすでに新興国ですけど、都市によっては全然格差があるので、そういう市場が多いと。
チャネルの再構築をしていくときに重要なのって、チャネル構築でもいいですけど、販売チャネルで重要なのって3つあって。まず、いかに良い、良いというのは最適な、自分たちに合ったディストリビューターを発掘選定するかということと、それから、そのディストリビューターとどういう条件で、もしくはどういう戦略のすり合わせで、どういうKPIの設定で契約交渉するかということと、それから、契約締結後に彼らをどういうふうに管理育成するかという、この3つが大変重要になってくるんですよね。
最初のこの発掘選定を間違えるとね、僕ね、もうもう成功と失敗の可能性、成功の5割ぐらいを削がれると思ったほうがよくて、逆に言うと成功の5割はそこで決まるというね、誰とやるか、誰と組むかと。往々にして日本企業があるのは、これはパートナーも、とにかく優秀なパートナー、実績のあるパートナー、人もとにかく優秀な人、実績があって日本語がしゃべれる人みたいな、とにかく優秀優秀という、企業はパートナーや人、社員を選びたがるんだけど、そうじゃないよねと。パートナーを選ぶときというのは、今の自分のステージを理解しながら、今の自分たちの状況と少し先の近未来に最適なパートナーって誰なんですかということをベースに選ばないといけないし、人を採用するときも、優秀な人が必ずしも必要とは限らなくて、例えば伝統小売に配荷をするのに優秀な人が必要かと言うと、そうではなくて、いかにその仕事を、同じことに飽きずに繰り返し毎日やり続けることができるか、そういう能力に長けた人、むしろそのジョブディスクリプションに適した人を採用しなきゃいけないんだけども、なんか漠然とね、優秀な人、優秀なパートナーみたいなね、だから、結果として大手のディストリビューターとか財閥系みたいな、そこと組めばいいみたいなね、一時期確かにありましたよ。1980年代、90年代、外資規制がまだまだあったので、結局、地場の財閥系の企業と組まなきゃいけない。組まないと事業ができないという、そういう時代がありました。ただ、今はそんな時代ではないし、先進グローバル企業でそんな事業展開をASEANで、特にね、やっている、外資規制がないところでやっている企業なんてないので、基本的には100%買い切るか、もしくは完全に自前でやるかというトレンドのほうが今は主流なのではないかなというふうに思いますけどもね。
そうすると、でかいところはもちろん力もあるんだけども、じゃあ、その持っている力を自分たちに全部余すことなく投下してくれるかという、そこをやっぱり見切るということは重要で、投下してくれるんだったらでかいところに越したことはないんですよ。ただ、大きなところというのは、当然ながら自分たちより圧倒的に大切なプリンシパル、つまりはメーカー、ブランドを持っているわけですよね。そうすると、トップのセールスマンとかトップのチームは全部そこに行くし、経営資源の大半はそこにつぎ込まれるわけですよ。これから取り組みを始める、なおかつダイナミックな投資はしない、ちょっと駄目だったら尻込みして撤退をしていく日本のメーカーに、どれだけ現地のね、新興国のディストリビューターがかけ切るかと言うと、これはなかなか苦しい。一昔前まではね、日本企業のためだったら何でもやるというディストリビューターはいっぱいいましたけど、今はね、日本企業がいかに様子見して、様子見して、決断しない、遅い、ちょっと駄目だったら引くみたいなね、そして、ダイナミックな投資はしないということはバレているので、そういう状況でバーンと投資をするというのはむしろなくて。ただ、そうは言っても、「日本企業の商品を取り扱っているよ」ということが会社にとってマイナスにはならないと判断すれば、「やる」とは言ってくれるんだけども、じゃあ、本当に投資してくれるか、経営資源を投下するかと言うとそうではないので。僕は必ずしも大きな先でなくてもいいんじゃないかなというふうに思っています。なおかつ、最近ね、断ってきますよね。「いやもう、そういう体制だったら売れない」とか、「どうせ売れないからやりたくない」とか、「あなたたちはそんな投資するつもりないでしょ。様子見でしょ」みたいなね。だから、結構ディストリビューターの選定も、椅子取り合戦になっていて。
僕はね、今のやっぱり状況と、じゃあ、5年先ぐらいまでを見据えたときに、自分たちがどういうステージのディストリビューターと組めばいいのかということから選ぶということはすごく重要で、大き過ぎても駄目だし、小さ過ぎても駄目。だから、まず絶対条件を決めるということはすごく重要で。絶対条件というのは何かと言うと、絶対にこうでないと駄目だという条件ですよね。例えば、自分たちが5年後に10億やりたいのに、今、1億しかないディストリビューターを選んだってね、5年で10億になんか絶対にならないんですよ。ディストリビューターはキャッシュを回す仕事なので、キャッシュが回り切らないと。そうすると、そういう小さ過ぎるディストリビューターは駄目だよねと。5年後に10億しかやらないのに300億のディストリビューターを選ぶって、これもちょっと大き過ぎるのではないの?という話になってしまうので、どうしていくかということだし。
あと、「誰と」売るかよりも、「誰に」売るかということのほうが圧倒的に重要で、日本企業はこの「誰に」売るかということが海外、国境を越えるとぼんやりしてしまって、「誰と」売るか、でかいところと売りたいみたいなところに神経がいってしまうので、この「誰に」売るかということを明確に決めて、そこに売れる相手がやっぱり絶対条件なわけですから、そこを追求し続ける。本当にそこに売れるのか、例えばB2Cだったら、このA、B、Cの小売の、このレーンの、この棚の位置に、3SKU以上並べたいとかね、これぐらい具体的にまで決めていかないといけないので、それができるのは誰?という話ですよね。B2Bだったら、このインダストリーの、このユーザー、もうユーザー名をバイネームで挙げるぐらいの話ですよね、B2Bの場合は。この20社に売れる、つまりは現状取引をしている、そして、その購買をするであろう事業部と取引ができているディストリビューターはどこなんだという、絶対的な条件を入れていく。ここでやっぱり見ていくということはすごい重要で。
また、ディストリビューターにどういう機能を期待するの?と。配送機能、セールス機能、B2Cなんかで言ったらセールス機能を持っていないなんていうディストリビューターだって国によってはいるわけですよね。輸出でやる場合は、輸入のライセンスを持っていないと駄目だし。
結構やっぱり自分たちが欲しいと思うようなディストリビューターというのはもうすでに他社が取っているというケースが多くて、椅子取り合戦がかなり終わっているんですよね。椅子取り合戦が終わってしまっている中で妥協しながら最善のディストリビューターを見つけていかなきゃいけないという状況にもう陥ってしまっているので、やっぱりちょっとこの30年ね、新興国市場をあまりにも軽く見過ぎたというところもちょっとあるのかもしれませんけども、今はそういう状況ですよということでございます。
すみません。今日は9分40秒も話しちゃった。もう、ちょっと一旦これで切りたく思います。今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。