森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。まだまだ暑い日が続きますが、皆さんいかがお過ごしでしょうかということで、この番組が放送される頃には少し涼しくなっているのかなというふうに思います。今ちょうどお盆のど真ん中で、私、軽井沢から東京に一旦戻ってまいりまして、東京の会社で収録をしております。今日は何を話そうかなということで、いろいろ考えて絞り出していたんですが、以前も少しお話したかもしれないですけど、今回もまたそういうシーンに遭遇したので、そうだそうだと思って、このことについてお話をしようかなというふうに思ったのですが…。
高速道路の合流の話。高速道路の合流で、その国の国民性って非常によく分かるなというふうに感じていて。日本の高速道路の合流って非常に、僕、特殊で、すごくイライラというか、うーんと思うことがよくあって。どういうことかと言うと、本線に合流するときに、合流する側が入ってくるわけですけど、本線に沿って合流する道路がずっと続いているんですけど、当然、合流する側の道路って、前が空いているわけですよね。一番前まで、道路が切れるところまで行って入ると非常にスムーズに行くわけですよね。合流する側の道路も混まずに最も効率的に合流できると。もちろんそのために道路は設計されているので、基本的には本線とつながる先端まで車を走らせて、そこで合流していくっていうね。それで、まあまあ暗黙の了解知で、1台行ったら1台行って、1台合流したらまた1台本線の車が行ってという、こういうことを繰り返せば一番渋滞せずに行くんですけど、いつも毎回、日本の高速道路の合流って、一番先端まで行かない人がいるんですよね。前空いているんだから一番前まで行っちゃえばいいのにと、追い抜いてビューッと行っちゃえばいいのにっていうことなんですけど、結局どういうことかと言うと、本線がこれだけ渋滞していて、自分は本線に合流をさせてもらうのに、あと数10メーター、30メーター、40メーター、下手したら50メーター、100メーターぐらい先まで行けちゃうわけですよね。そんなにスイスイ行くのはなんか申し訳ないという心理が働いて、手前で合流すると。結果どうなるかと言うと、合流する側の道路は当然混むわけですよね。
こういうシーンって、なかなか僕、ほかの海外、海外と言っても僕の行くようなところっていうのは新興国ばっかりですけど、見たことがなくて。これって、ある意味、日本の企業のマーケティングのいろんな部分で出ていて、こうしたほうが圧倒的に効率的なのに、「いや、そうは言っても、そうは言ってもこうだから、こうしよう」みたいなね。この美徳は、僕もすごくよく分かるし、いいことだなとは思うんだけども、ことビジネスに持ち込むと、完全に効率が悪くなるし、道路の合流に際してもね、非常によろしくない状況を招いていて。何なんだろうな、すごくよく分かるんですけど、この…。いい人ですよね、日本人って。僕、中国に住んでいたときなんかは、絶対に120%一番前まで行くし、何ならもっと前まで行こうとするっていうね、もう、割り込む割り込むみたいな時代が20年ぐらい前なんかはものすごくて。高速道路のいわゆる料金所の入り方が、普通並びますよね。並ぶんだけども、並べなくて、待ちきれなくて、並んでいる列からはみ出して、そこからまた前に行って、左右からガンガン入ってくるっていう。これを見たときにすごいなと思って。20年前なので、まさに「われが、われが」っていうときの中国だったので、今はさすがにそれはないですけどね。ああいう時代とか。新興国に行ったら、それこそそうで、国のこの、何だろうな、発展の度合いって、クラクションの量で、結構、民度が分かるっていうふうに僕は思っていて、やっぱりまだまだ民度の低い国っていうのはクラクションを鳴らしまくるんですよね。それが高まってくると、クラクションって鳴らさないし、譲り合いが発生するしみたいな、そういう違いもあったりするんですけど。車の運転1つとってもね、先進国と新興国では全然違うので。
ただ、この高速の合流はね、先進国とか新興国ということではなくて、日本人のこの、「いや、こうしてもいいんだけども、こうするほうが圧倒的に効率的なんだけども」ということは1つ分かっていて、「なんだけども」っていうね、この「そうなんだけど、そうは言っても」のところがね、やっぱりなかなか日本人って捨てきれないですよね。なので、僕は前まで行きますけど、それでもやっぱり、「ああ、申し訳ないな」と、「すみません、すみません…」って口ずさみながら前まで行っちゃうのでね。でも、そもそも考えたら、すみませんじゃないんだと、一番前まで行って合流するのが一番効率的だし、道路はそもそもそういうふうに設計されているということなので。なんかね、これが僕、仕事をしていてもね、日本企業の支援をしていても、マーケティング戦略の節々にこれを感じるんですよ。「こうしたほうが効率的なんだけども、いやいや、そうは言ってもこうだよね」というね、この「そうは言ってもこうだよね」がもし取り除くことができれば、日本企業のマーケティング戦略っていうのはまだまだ良いものになるんじゃないかなというふうに日々思っております。
すみません、今日はこんなお話で。以上になります。また次回お会いいたしましょう。