森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日は…。今日はというか、今日から何回かに分けて、ASEAN6、SMTとVIP、シンガポール・マレーシア・タイ、SMTと、VIP、ベトナム・インドネシア・フィリピン、先進ASEANと新興ASEAN、この2つのASEANグループ、ASEAN6、6つの国々の小売、特に近代小売、SMTは近代小売中心になると思うんですけど、VIPもね、基本的に近代小売を獲らないと伝統小売は獲れないわけなので、近代小売というのは非常に重要で、その近代小売について紹介と整理を少ししていこうかなというふうに思っています。
今日は1回目の最初のシンガポールなんだけども。シンガポールの小売市場規模ってどれぐらいかって言うと5.8兆円ぐらいなんですね、2022年で。これはユーロモニターのデータをベースにしていて、それからあと各国政府のデータをもとにスパイダー・イニシアティブにて推計をしているデータなので、まあまあそんなに大きくはずれていないと思います。シンガポールは5.8兆円の市場で、ASEANで一番大きいのがインドネシアで41.2兆円なんですよね。だから、それから比べると、非常にシンガポール自体は小さいと、小売市場規模で言うとね。当然ですよね。シンガポールの人口って550万人程度で、一方でインドネシアは3億人に近い人口がいるわけですから。国土も全然違いますよね。シンガポールって東京23区とか淡路島と同じぐらいの広さしかないので、そこに550万人だったかな。定住人口というか、シンガポーリアンという人たちと定住者は400万人強、404万人ぐらいで、総人口は569万人、2020年のデータですよね。そんな国なので、規模的にはそうですよと。ただ、1人あたりの購買力とか1人あたりのGDPとかで見ると、圧倒的に高い。日本より高いので、ASEANでは最も高い国になるので。8.3米ドルですかね、最新のデータで。なので、非常に大きな国ですよと。
このシンガポールなんですけど、市場を分類していくと、近代小売と伝統小売があったときに、完全なる近代小売の市場であるっていうことが市場の1つのポイントですよね。僕が住んでいた1980年代後半とか1990年代というのは、まだ伝統小売も残っていたんですよね。今、VIPにあるような伝統小売というよりかは、日本の駄菓子屋に近いもの、当時、でも、やっぱり小さな国だし、統制をしっかり取っていかないと国が成り立たなかったので、非常にいろんなことが整備されていて、清潔とかクリーンみたいなのは、他のASEANに比べたら非常に進んでいた。日本と比べたらね、まだ汚いみたいな感じでしたけど。
当時、キャンティーンとかホッカセンターと呼ばれる屋台が集まったような大衆食堂みたいのがいっぱいあったんですよね。基本的に家でつくるというよりかは外で食べるという文化なので、中国の文化を引き継いで、華僑文化ですから。2000年代以降から、このキャンティーンとかホッカセンターが、衛生管理がやっぱりシンガポールのほうはさらに進んで、多くはもう本当にクーラーの効いたビルの地下などに、何て言うのかな、フードコートみたいなね、そういう名前で生まれ変わってしまって。ちょうどね、そういうレストランオーナーの世代も変わったし。だから、昔おいしいなと感じたキャンティーンとかホッカセンターの味がね、今行って食べると、うーん、別に大したこと…、大したことないなと言ったらあれだけども、昔のほうがおいしかったなと。これは僕の舌が肥えたのか、それともやっぱり世代でつくり手が変わったのか、いまだに答えが見つからないまま、少し寂しい思いをするんですけど。でも、まあまあ、少し懐かしさを感じながら食べるみたいなね。
ちょっと話が逸れちゃいましたけど、そんな市場ですよというのがシンガポール。1人あたりのGDPが直近で8.3万米ドルなので、めちゃめちゃすごいですよね。円安の影響も受けて、今、日本の1人あたりのGDPは3.4万米ドルなので、3倍近い差が開いてしまっていますよと。まあまあ、これも本当に一部の超富裕層がいるっていうこともあるんだけども、平均してシンガポーリアンはお金持ちで、当時なんかは日本人が一番のお金持ちで、オーチャードロードを肩で風切って歩いていたというのがわれわれのたぶん親父世代の当時のあれで。リゲインの宣伝でね、「24時間働けますか、ジャパニーズビジネスマン」みたいな、そういうCMがバンバン流れていて。今、あんなCMを流したら、リゲイン、第一三共でしたっけ、あれをつくっているのね、即ブラック企業みたいになってしまいますけど。当時それがかっこよくてね、本当に日本人のビジネスマンがかっこよかったっていう。なんで今、こんなにかっこ悪くなってしまったんだろうっていうね、あれですけど、そんな時代でしたよと。
このシンガポールの小売をちょっと紹介していくと、スーパーはいくつかしかなくて、フェアプライスとコールドストレージがやっぱりこれ2強なんですよね。この2つに入ってなかったらないのと一緒みたいな、もうそれぐらいで考えてもらっても構わないのかなと思います。あと、ジャイアントとシェンションなんかがありますけど。あと、日本のドン・キホーテが、何年前だろう、5年ぐらい前かな、入って、どうなんだろうと言われていたけど、もう本当に一気に主要グループの仲間入りをはたして。今、何店舗あるんだろうな、結構たくさん店舗が。7店舗とかあったのかな。ちょっとすみません。正確な数字はあれですけど…。僕が書いた本に書いてあるかな。『ASEAN6における販売チャネル戦略』を見てください。正確な最新の数字が載っていると思います。そんな市場になっていますよと。
あと、近代小売で重要なのってドラッグ系なんですけど、ワトソンズが100店舗ぐらいですかね。ごめんなさい。ドラッグにいく前にコンビニにいこうかね。
コンビニエンスはもうセブンイレブンが圧倒的ですね。ただ、そうは言ってもね、店舗数で言うと…。あった、あった。430店舗なので、大したことないんですよ。あと、チアーズというガソリンスタンドとかに入っているような、そういうコンビニ、そういうのが結構あって。ガソリンスタンドとかね、地下鉄とか、そういうところにばっかり出店しているチアーズとバズというのがあるんですよ。あと、チョイス。チョイス、懐かしいな。うちのね、僕が昔住んでいたコンドミニアムのこの守衛のいるところのちょっと先の左側にもこのチョイスってあってね、ここでお菓子買うのが僕好きだったんだけどね、13歳ぐらいのときですかね。まあまあ、いいや。すみません。昔話についついなってしまいましたけど、そんなものがあるんだけども。でも、チアーズも164店舗だし、バズも50店舗、チョイスも40店舗とかなので、まあまあ、そんなにね…。ごめんなさい。バズが50店舗でしょ。あとね、あれがあるんですよ。チョイスはね、SPCのガソリンスタンドのみに併設されていて、まあまあ、そうだ、40店舗で合っています。昔はガソリンスタンドだけじゃなかったんだけども、いつの間にか戦略変えているんですね。そんなようなのが基本的には近代小売ですと。
あと、ドラッグストアか。ドラッグストアは、目立つのはね、どこに行っても、ASEANだと、皆さん見ると思うんだけども、ワトソンズがやっぱりあって、100店舗ぐらいありますよと。結局、これぐらいの店舗数しかないわけなので、コンビニのこの店舗数ですから、スーパーなんかはもっと少ない店舗数なわけですよね。私の本に書いていますので、いちいち読み上げませんけども。そうすると、シンガポールの攻略のポイントって何になるかと言うと、週販が導入費を超えられるか否かというのがカギになるわけですよね。日販でも週販でもどっちでもいいんですけど。結局、導入するのに必ずコストがかかるわけですよ。棚代かかるわけですよね、導入費が。店舗数を増やせば入るブランド、小売ブランドを増やせばそれだけ導入費がかかるので、それを本当に週販が超えられますかというのがやっぱりすごくカギになると。多くの場合は、結構スーパーとかでガンガン売れていかないと、大袋入りとかで。コンビニだけだともうたぶん無理で。そうすると、やっぱりそれ以外の効果というものを狙っていかないといけなくて。年間2,000万人弱ぐらい観光客が来ているので、近隣諸国から。ごめんなさい、世界中から。なので、結局ここへの波及効果と、あと近隣諸国、ASEAN、シンガポールというのはASEANの中では一番ステータスの高いというか、一番進んでいる国という印象があって、インドネシアからも、フィリピンからも、ベトナムからも、タイからも、マレーシアからも観光客が来るので、そういった国々への波及効果を考えて展開をするというね、そういうセットで、ASEANセットで考えるという、もうASEANって僕はいつも、私のセミナーでも申し上げていますけど、単国単国で考えたって絶対ペイしないので、絶対に効率よく回すには、ASEAN圏内を1つの大きな経済地域として考えていくということはすごく重要で。
そんなふうな考えで見ていくということが必要ですよということで、ちょっとすみません、話が長くなって、今日はこれぐらいにしたいと思いますけど、またちょっと次回もう少しシンガポールの話をしたいと思います。皆さん、今日はこれぐらいにしましょう。また次回お会いいたしましょう。