森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日も前回に引き続き、シンガポールの小売市場についてお話をしていきたいと思います。
シンガポールの小売市場なんですけど、完全に近代小売のマーケットでありますよと。スーパー、コンビニ、ドラッグの主要どころのご紹介を前回軽くやって。結局、その550万人ぐらいの、非常に1人あたりGDPが8万ドルを超えているような特殊な国でどうやって消費財を売っていくのかということで、言っても主要小売、すべて足しても1,000店舗ぐらいなんですよね、近代小売が。そこで消費財メーカーが売上を上げていく、シェアを上げていく、儲けていくと。シェアが上がっても、売上が上がってもね、儲けていくということを考えたときに、やっぱり週販数が導入費を超えられるかどうかということが本当にカギになりますよと。日販でも何でもいいんですけどという話を前回やっていて。これはなぜかと言うと、リスティングフィーだけじゃなくて、リスティングフィーはね、最初の初回の1回限りだけど、棚代とかね、置きたい棚の種類によっては継続的に発生したり、金額も全然違ったりということになってくるし。あと、小売側からチラシに載せましょうとかね、年に2回は少なくともお願いされるし。あと、旧正月とかハロウィーン、クリスマスとかっていうイベントには割引しましょうねと、そういう話が必ず来ますよと。小売側から出てくる、ディストリビューター側から出てくるのは、基本的にはもう「Buy One Get One Free」ですと。売るための戦略が何か出てくるかと言ったら、そんなものは絶対期待してはいけなくて、出てくるのは「1つ買ったら1つただにするキャンペーンをやりましょう」と、「5割引きしましょう」ということが言われる、「安くしましょう」ということを言われると。
そんな中でメーカーがどうやって本当に利益を出していくの?ということを考えるとね、これは結構中長期で線を引かないといけないし、シンガポールの市場だけを見たらね、相当なFMCG、回転のいいような消費財、もしくはすごく中長期で爆発的にブームになっていくようなね、そういうものでないとなかなか利益を取れないと。シンガポールでもよく一過性の展示会をやっていますけどもね、高島屋とかでね、ボーンと、その展示機会のときだけボーンと売れて、あとは売れないみたいな、そんなのではまったくもって駄目なので、週販がどこまでいくのかという緻密な計算、投資に対して週販、つまりは回収がどうなのかという。これがおそらく超えないんですよ、ブレークイーブンを。最初の投資でね。もちろん長期で引けば、いつかは超えるという話なんですけど、自分たちである程度やっぱり「どの時期に」って考えると、どれぐらいの週販が期待できるのかと。足りないところをどこに振り分けるかってなってくると、やっぱり定住人口の550万人だけではなくて、年間1,850万人シンガポールに来る、この観光客にどうやってリーチするのかということも考えないといけないし。あと、近隣諸国にどうやってリーチするかということはすごく重要で。シンガポールの人口550万人なのに、言ったら観光客1,850万人って3倍ですよね。この観光客って、国別に見ると中国が一番多いんですよ、340万人ぐらいいて。インドネシアが300万人超えていて、3位は、シンガポールはインド人もいますから、140万人以上インド人がいて。マレーシアが125万人、お隣ね。こんなふうにいろんな国の人たちが100万人、数百万人単位で訪れていて、この人たちにどうリーチするかで。ASEAN6を見てもね、インドネシアで、今、何人って言いましたっけ、インドネシアで302万人でしょ。インドで144万人、マレーシアで125万人、さらにフィリピンで78万人、ベトナムで59万人、タイで54万人。こういった国々への波及効果も考えてシンガポールを見るということも非常に重要ですよという話も前回ちょっとしたのかな。
あと、スーパーなんだけども、スーパーはNTUCフェアプライスと。フェアプライスですよね、通称フェアプライスがやっぱり圧倒的で、これが140店舗ぐらいあるんですよ。前回、店舗数を言ってなかったかもしれないですけど、140店舗ぐらい。ここはパンデミックで若干店舗数を減らしたんだけども、やっぱりオンラインの需要が爆発的に増加していて、ASEAN6でコロナ前とコロナ後のオンラインの比率を見てみると、だいたい3倍ぐらい伸びているんですよね。コロナが明けた今、それ、なかなか落ちてなくて、微増していっているので、これからもやっぱりオンラインの利便性というのは上がっていきますよということを考えると、まあまあ、オンラインって上がってくるんですけど。まあまあ、このフェアプライスというのは、ちょっと店舗数を落としたけども、やっぱりオンラインのプラットフォームを強化しているしね。シンガポールの人々の生活の中では圧倒的に信頼されていると。とにかく「適正な価格」みたいなイメージがやっぱりすごく多くて、人気ですよね。あとは、あれか。どこと言っていたかな、コールドストレージか。コールドストレージも、高島屋の地下に入っているやつがコールドストレージなんですけど、たぶん高島屋の地下のスーパーと言うと、皆さん結構イメージがつきやすいのかなと思いますけど。これが何店舗だったかな。えーっと…、ごめんなさい、正確な数字が今パッと出てこないんですけど、それなりの店舗数、数十店舗ぐらいは確かあったと思います。コールドストレージというブランド以外にも、CSフレッシュ、コールストレージフレッシュの略で、CSフレッシュとかね、そういうのもあって。そうそう。現在で、コールドストレージと、CSフレッシュと、あとマーケットプレースと、ジェイソンズというのがあるんだけども、全部合わせてもやっぱり50店舗以上ぐらいなので、まあまあまあ、そんなものですよね。3番手のシェンションが、シェンションがね…。シェンシヨンという人もいるんだけど、僕はシェンションと言うんだけど、まあまあ、これは65店舗ぐらい。ドンキが2017年に1号店を出しているのね。今ね、7店舗って前回言ったかもしれないけど、12店舗ですね、12店舗まで。いや、本当にドンキはすごくて、ドンドンドンキって向こうでは言われているんだけど、焼きいもが一時期長蛇の列で本当にすごかったっていう。ただ、結構日系の消費財メーカーでも、やっぱり高島屋とドンキは入るんだけど、あとなかなかみたいな企業も少なくないので、言っても近代小売のメインの棚でそれなりの存在感を出すというのは大変な苦労ですよと。
僕のこの『ASEAN6における販売チャネル戦略』に詳しくシンガポールの小売市場について書いていますので、何がキーでどういうふうに取り組めばいいのかということも書いていますので、ぜひね、それと併せて見ていただければなというふうに思います。じゃあ、シンガポールは今日はこれぐらいにして、次回マレーシアをやりたいと思います。今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。