森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日も引き続き、マレーシアの小売市場についてお話をしていきたいと思います。
前回のお話の続きですけど、今日はね、まずはトップ5のスーパー・小売プレイヤーについてちょっと紹介をしていきたいと思うんですが、マレーシアの一番大きなスーパーはロータスです。ロータスはもともとテスコっていうブランドで最近まで展開していて、タイの大手財閥チャロンポカパン、CPグループというふうに、皆さん「CP、CP」というふうに言ってますけどCPと、あと英国のスーパーマーケットチェーンのテスコのジョイントベンチャーだったんですよね。確か1998年だったかな、設立されて、その後、テスコ・ロータスというブランドを得て2021年にCPグループがテスコの東南アジア事業を全部買収したんですよ。それでロータスにブランドを新たに変えて再出発しているというのがロータスで、現在62店舗で、マレーシアで最も主要な小売の1つになっているというのがロータスでございます。
次が日本のイオン。イオンもね、ASEANで最もイオンの店舗数が多いのはマレーシアなんですね。イオンモール、ショッピングセンター、それからイオンストア、それからイオン・マックスバリュー、イオン・ウェルネス、ダイソーの5ブランドで展開をしているという。本当にイオンはマレーシアの人たちに信頼されたブランドになっていると。店舗数は全部で170店舗ぐらいあるので、確か売上はロータスのほうが、ちょっとこれはなかなか非公開だったりもするので難しいんですけど、大きいんじゃないかなというふうには思うんだけども、もしかしたらイオンが1番でもいいかもしれないぐらい、イオンは非常に大健闘しているというのがマレーシアの市場。
3番目がジャイアントですね。ジャイアントは、香港系の小売の大手のデイリーファームインターナショナルというところが運営する小売なんですけど、ジャイアントブランドのスーパーマーケット77店舗、それからミニマートのジャイアントミニってやつを12店舗ぐらい展開しているんですよね。パンデミック後は、このミニマートのジャイアントミニに力を入れていて。どこもそうなんですけど、ASEANの小売はどこもパンデミック前は結構大型店舗の出店計画を非常に積極的に立ててたんだけども、パンデミック終わってからはね、結構ミニマート系の出店に力を入れているというのが傾向ですよね。
4番目がエコンセーブキャッシュ&キャリーですね。このエコンセーブキャッシュ&キャリーはね、1955年にセランゴール州のポートクランという町で雑貨店としてもともと始まってるんですよ。それが起源で、現在ではマレーシア全土に100店舗ぐらいあったと思います、展開していると。エコンセーブはね、とにかく安いというイメージがやっぱりすごく強くて、地元の中間層のお気に入りのスーパーという、そういう愛されているという、そんなイメージがありますね。
あと、最後がね、ザ・ストア。ザ・ストアは、マレーシアで現存する一番古い、最古のスーパーマーケットで、1968年にペナンでオープンしたというのがもともとですかね。1968年にマレーシアにはスーパーなかったですからね。日本は高度成長のちょっと手前の湧いているときだったと思いますけど。ザ・ストアのブランドでは今49店舗をやっていて、あとパシフィック・マーケット&デパートメントストアというブランドもあるんですけど、それが9店舗あると。あとね、2005年にこのグループに加わったミリメワスーパーストアというのが17店舗あるので、グループ全体だと80店舗ぐらい展開しているというのがこのザ・ストアグループですね。ちなみに、1994年にブルサ・マレーシアに上場していますよという、そんな感じでございます。
それで、コンビニ。コンビニに関して続いて紹介をしていきたいと思います。コンビニはね、セブンイレブンがやっぱり2,400店舗展開しているので一番大きいんですけど、1984年に、ちょうど僕がシンガポールに移住をする1年前だったと思うんですよね、85年だったと思うので。そう、それで、84年に首都に1号店を出して、シンガポールの1号店に出店した1年後でもあったんですよね。ただ、1984年からね、94年、2004年、2014年、2024年ですよ、もうすぐね、40年で2,400店舗ですから、今後これがやっぱりとてつもなく増えるっていうことはやっぱり非常に考えにくい、3,200万人の人口構造とか、今まで40年かかって2,400店舗しか展開できなかったのか、2,400店舗の展開でとどめたのかというのはもちろんあるんだけども、やっぱりそんなことは1つ考えていかないといけない。20万店の伝統小売っていうところを考えるとすると、マレーシアってあんまり力を入れ過ぎちゃダメな国でもあるんですよね。3,200万人なので、シンガポールの600万人よりは全然大きいんだけども、やっぱりVIPの1億とかね、1億前後のベトナム、フィリピンとか、3億弱のインドネシアみたいなところに思い切り張るっていうにはちょっとマーケットとしては小さいので、ピンポイントで本当にピンポイント攻略をしていくというような、そんな市場ではあるというふうに思います。
あと、ごめんなさい、ちょっと話が逸れましたけど、99スピードマートですよね。これも1987年創業でね、創業当時は雑貨店だったんですよね。そんなのが多いですよ。それで、マレーシア全土の200店ぐらい展開していて、セブンイレブンに次ぐ第2位ですよと。あと、メスラ、800店舗展開していて、全部ね、全ての800店舗は、もうペトロナスのガソリンスタンドに併設されているガソリンスタンドコンビニですね。あと、KKスーパーマート、これも2001年にコンビニの事業に参入しているので、セブンイレブンよりも遅れること15、16…、17年ぐらいですかね。現在572店舗展開して、当面の目標を1,000店舗に掲げているということでやっていますと。最後がマイニュースで、これもそのマイニュースという名前から連想しやすいんですけど、もともと新聞や雑誌の販売店として1996年に創業されて、日本で言うところのキオスクみたいな、キオスクでもないな、新聞を売っているようなスタンドだったんですよ。そこにいろんな飲み物を置いたり、お菓子を置いたり、いろんなものを置いてコンビニなっていったという、そんな感じなんですよね。
なので、マレーシアの近代小売に関しては、やっぱり3大小売はいずれも外資であるということが1つ重要なのかなというふうに思っています。これは特徴的で、ロータスはタイだし、イオンは日本だし、ジャイアントは香港だし、主要な3大小売が外資という、なかなか珍しい、だいたい外資規制が入ってこういうところというのは国内の小売事業者がのし上がっていくんですけども、そんなことはなかったよねと。なので、外資に開放が早くから進みましたよと。ただね、そうは言っても資本割合とか販売している商品の一定割合をブミプトラというマレー系の企業のものにしないといけないとかっていう規制はあるんですよ。ブミプトラ政策って検索してもらったら出てくると思うんですけど、やっぱりマレー系の経済的地位の引き上げを目的にしていて、1971年だったかな、施行開始した経済政策で。やっぱり中華圏の人たちがビジネスを牛耳って、マレー系の人たちが政府を牛耳るという、そういう構造の中で、やっぱり経済を中華圏の人が牛耳って、中華圏の人たちだけが豊かになっていくと、マレーシアの人たちは肉体労働をするみたいな、そういう感じがあったので、こういう政策でそれを補ったという、そんなイメージですかね。
あと、伝統小売に関しては、マレーシアって西マレーシアと東マレーシアというのがあって、たぶん皆さんが連想するマレーシアって西マレーシアで、あんまり東マレーシアって行くことないんじゃないかなというふうに思うんだけども。東マレーシアって、西マレーシア以上のね、クアラルンプールがあるのが、ジョホールがあるのも、これは西マレーシアですけど、東マレーシアのほうが大きいと。サラワク州とサバ州という2州で広大なマレーシアで、結構、「東マレーシアへの配荷をどうしますか」みたいなところが議論になっていくわけなんですけど。やっぱり伝統小売も20万店あるので、近代小売を獲りつつ伝統小売も攻略をしていくということが重要になると。売上やシェアを拡大していく上では大変重要ですよという市場になってくると思います。
ということで、マレーシアの小売市場のお話でした。次回はね、タイの小売市場についてお話をしていきたいと思います。今日はこれぐらいにしたいと思います。また皆さん、次回お会いいたしましょう。