森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日はタイということで、FMCG、タイの小売市場についてお話をしていきたいと思います。対象は食品・飲料・菓子・日用品等のFMCGメーカーで、タイの市場ですね。ずっとこのシリーズはシンガポール始まりで、マレーシアで、今回3カ国目のタイということでお話をしています。
タイの小売市場なんですけどね、タイは非常に特徴的で財閥系が牛耳っているんですよね。財閥系と言っても2社しかなくて、まず、タイの市場規模なんだけど、2022年で15.9兆円、約々16兆円。ただ、これはUS1ドル136円で換算しているので、今は150円ですから、だいぶ上振れはしてしまっている、18兆円ぐらいにはなっているのかなというふうに思います。ASEAN6の中では4番目に大きな市場で、なおかつ人口もそこそこいて、先端、先進的な国であるということで、非常に日本企業にとっては重要な市場になっていると。伝統小売もね、今は近代小売の比率が5割を超えているぐらいの、6割ぐらいなので、残り4割ぐらいは伝統小売があって、なかなかタイの伝統小売の数って出てないんだけども、いろんなデータを集めて弊社で推計をしたデータだと45万店ぐらい伝統小売があるというふうにわれわれは捉えて、スパイダー・イニシアティブ、私が代表している会社ですけど、そこは捉えていますと。
インドネシア、フィリピン同様、財閥というのが非常にすごく重要で、あらゆる市場を牛耳っているというのがこの国の特徴で。主に小売に関しては、小売だけではないんですけど、タイの大手財閥のチャロンポカポンという、通称CPというふうに言いますけど、「CP、CP」って、たぶんみんな聞いたことあると思うんですけど、CPグループと、あとセントラルグループのこの2グループによって牛耳られているんですよね。CPはね、タイの大手財閥の1つなんだけど、食品とか農業、小売、不動産、エネルギー、金融、それからテレコムもあるし、医療、福祉とかもある、本当に多角的な事業を展開している、いわゆる財閥系コングロマリットという企業グループですね。食品業界でも非常に大手で、鶏肉とか豚肉、シーフードとか米、野菜、果物とか、これらの生産から手掛けているんですよね。生産から流通、販売まで一気通貫で手掛けているし、海外にも出ているし、日本にも法人があるし、中国、インド、ヨーロッパ、アメリカなんかにも進出をしているという、非常に大きな小売ですよと。
小売に関してはね、スーパーマーケットとか、デパート、コンビニ、全部あらゆるところを持っているんですけど、一番特徴的なのはセブンイレブンをやっているところがこのCPなんですよね。タイのセブンイレブンって1万3,100店舗以上あると、最新の2022年末のカウントで1万3,100店舗以上あって、日本がセブンイレブン2万1,300店なので、実はタイって世界第2位なんですよね、セブンイレブンが多いのは。シンガポールよりもマレーシアよりもあとにセブンイレブンの1号店ができているのに、圧倒的にセブンイレブンが支持されて、これだけ店舗数が伸びていると。シンガポールとかマレーシアなんて高々数千店舗ですから。タイのほかのコンビニエンスストアなんかも1,000店舗足らずなので、ちょっと話にならないと。だから、逆にコンビニで売れるような商品をつくっている消費財メーカーは、「CPとやらないでどことやるの?」という話になってしまうんですよね。なので、非常にコンビニに関しては圧倒的に強いですよと。シンガポールのセブンイレブンが、そうそう、今ここにデータがありますけど、430店舗で、マレーシアが2,400店舗で、フィリピンが3,250店舗なので、もうダントツという感じですよね。あと、コンビニエンスストアだけではなくてね、ロータスという大手のスーパーを持っているんですけど、180店舗ぐらいあるんですけど、日本で言うところのイオンみたいなね。ハイパーマーケットも214店舗ぐらい持ってますし。なので、まあまあ非常に強いというのがこのCPグループ。だから、だいたい戦略としては、もうセブンイレブンとロータスをセットでね、タイの一番大手の小売はロータスなので、そことセットでやるという、そういうイメージが非常に強くて。
われわれなんかもね、ディストリビューターの選定ということをタイなんかはしないで、小売の力があまりにも強いので、ディストリビューターを介してうんぬんというよりかは、商流自体はディストリビューターを通すんだけど、まず小売と話をつけて、小売が、CPの息のかかったディストリビューターをCPに紹介してもらって、そこを使って入れると、そうすると、中間流通マージンが非常に低く抑えられるので、そういうことをしていかないとなかなか難しいですよね、中間流通を使ってどうこうというのは。伝統小売はまた別ですけど、基本的に近代小売は小売と直接話をするということをしっかりやっていかないといけないし。ただ、一方でね、「日本で大手です。これだけ実績があます。どうですか」と言っても、最近はもうなかなか相手にされなくなってきているので、そういう意味ではどういうふうに話をするかということも非常に重要になってきますよというのが状況でございます。
すみません、時間が来てしまったので、今日はこのCPのところで終わりにしたいと思いますけど、次回ね、このセントラルグループのタイの小売市場における影響力についてお話をしていきたいと思います。それでは皆さん、今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。