森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日も引き続き、ASEANの小売市場のお話をしていきたいと思います。前回、タイでしたので…。今、SMTが終わったんですよね、シンガポール、マレーシア、タイが終わって、今日からVIP、ベトナム、インドネシア、フィリピンということで、ベトナムの小売市場のお話をしていきたいなというふうに思っております。
ベトナムの小売市場規模なんですが、まず規模のところからお話をすると、21.3兆円、136円計算なので、これはユーロモニターのデータと、あと各国政府発表のデータをもとに弊社で推計をしているデータなんですが、136円計算で、この資料をつくったときの当時の、何カ月か前だったと思うんですけど、136円で、今、151円とかになってしまっているのでね、25兆円ぐらいに膨れ上がっていますけども。だから、こういうのは全部USドルで表記しておくのが一番いいんですけど。USドルでお話すると、1Billion USDと言われても、いまいちピンとこない人たちもいるので、一応、日本円に換算しているんですけど、ちょっと為替とバランスを取って見てもらえればなというふうに思いますけど、まあまあそんな規模がありますよと。ちょうどASEANだと、2番目に大きい市場なんですよね。インドネシアが41.2兆円で一番大きいと。今の為替で46兆…、47兆円ぐらいになりますけどもね。ベトナムが21.3兆円、今の為替で25兆円ぐらいと。その次がフィリピンで20.9兆円、今の為替で23兆円ぐらいになりますけども、それぐらいあると。当然なんですよね、インドネシアは2億7,000万人ぐらいの人口がいて、フィリピンは1億強の人口がいて、ベトナムももうまもなく1億人というところで、基本的には人口に応じて小売市場規模が大きいですよというのがあります。ただ、人口が多い分ね、1人あたりで割ったときにはやっぱりまだまだ大変な国ではあるので、タイとか、マレーシア、シンガポールをやるほうが、輸出で消費財メーカーがやるとなると、だいぶやりやすい国であるというのが1つあるんですよね。
ベトナムの小売市場の最大のポイントとしては、伝統小売の攻略なくしてシェアなしというところで、66万店ぐらいの伝統小売があるんですよ。近代小売の総数って、弊社のスパイダー・イニシアティブの最新のカウントで、主要な近代小売の数って8,200店舗ぐらいなんですよね。それに対して66万店の伝統小売が存在していますから、基本的には伝統小売の攻略なくしてなかなかマーケットシェアは大きく獲れませんよと。8,200店舗だけだったらね、正直なかなか大きなシェアにはなりませんので。
あとね、地域がやっぱり縦長の国なんですよね。北の首都ハノイから南のホーチミンまで1,600キロぐらいの縦長の国で、ざっとなんですけども、だいたいホーチミンで市場の5割、ハノイで3割、中央の真ん中ぐらいにダナンというところがあるんですけど、そこで1割で、その他で1割という、こういう市場規模で構成されていて、それにおおよそ合ったかたちで人口密度もそういう割合で分布していて、伝統小売の分布も人口密度の分布と非常に近しい分布がされますので、そんな感じで広がっているんですよね。結構、南北戦争の名残りで、やっぱりもともとまったく違う主義主張で南北で戦っていたわけですから、今では同じベトナム人ですけど、やっぱり北の力が強いというのは、これはベトナム人も認めていることで、南の企業が北で活躍しようと思うとなかなかまだまだ弊害があると。一方で、やっぱり北が政府中央なので、結構、南の政府機関というのは7割8割方北の人間が占めていたりするんですよね。一方で、じゃあ、北の企業が南でビジネスをやるとどうなのかと言うと、南が北でやるよりはやりやすいけども、やっぱりなかなか南とはちょっと感覚が違うよねと。何て言ったらいいのかな、東京と大阪の感覚の違いのもっと大きい版みたいなね、そんなふうに捉えてもらうと日本人は分かりやすいのかもしれませんけど、まあまあそんな市場ですよと。それが、言ったら政治的なというか、歴史的な背景の北と南の大きな違い。距離的な、地理的な違いでやっぱり弊害が1つある、1,600キロの非常に長い国で、南から北に、北から南にどう攻めるという、こういうのがある。あとは、いわゆる南北戦争の名残りでまだまだ北と南の違いがありますよというのが1つと。
あとね、もう1つ地理的な問題で言うとね、ダナンの上のほうに非常に高い山脈があって、これを越えるというのがすごく大変でね、昔から大変だったんですよ、越えるのが。まず、道路が日本の高速道路のように、ハノイからホーチミンまでスーッと行けるかと言うと、そういうことはなくて、途中で道路事情が悪いところがいっぱいあって、その高い山脈を越えていかないといけないなんていう、そういう本当に地理的な部分もあるので、別の国というか、別の地域として捉えてマーケティング戦略を組んでいかないとなかなか難しい市場ではあるというのがベトナムの市場の特徴です。
ちょっと時間をオーバーしてしまったので、今日はこれぐらいにしますけども、また次回、引き続き、ベトナムの小売市場の話をしていきたいと思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。