森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日も引き続き、インドネシアの小売市場についてお話をしていきたいと思います。対象はFMCG、食品・飲料・菓子・日用品等のFMCGが対象でございます。
前回、前々回とね、インドネシアの小売市場の特徴みたいなお話をしてきて、伝統小売のお話をしたんですかね、前回ね。でね、今回はね、インドネシア市場のこれも特徴の1つなんですけど、インドネシアを構成するね、主となる6つの島があるんですよね。ジャカルタ、首都ジャカルタがあるジャワ島、それからその左上にあるスマトラ島、そしてその右斜め上にあるカリマンタン島、そして、その右にあるスラベシ島、さらに右下にあるニューギニア島、あと、ジャワ島のちょっと右のほうにあるバリ島のこの6つの島で構成されていて。この6つの島を獲っていくということが非常にインドネシアの市場の大変なところで、伝統小売の攻略が重要ですよという話をしましたけど、近代小売の攻略はもちろんなんだけども、その上で伝統小売のディストリビューション・ネットワークをつくっていくときに、この6つの島に対してどうやって配荷をしていくのか、これはもうディストリビューションのネットワークをつくるしかないので、今の現状だと多くの場合はジャワ島でジャカルタ中心にインドネシアのディストリビューターを使って、そこの2次店、50社とか60社を持っている2次店でその他の地域をやっていくというようなね、そういうディストリビューション・ネットワークの構築の仕方がほとんどですけども、そうやって大きな都市からつくっていく。伝統小売の数というのは人口密度に比例して増えていきますから、基本的にはジャワ島のジャカルタ、ここを中心に、バンドンとかスラバヤ、この辺がたぶん最初の主たるマーケットになっていくので、ここからその他の島に向けてディストリビューション・ネットワークをつくっていかないといけないという、そんな市場ですよね。
都市別の人口分布が出ているので、それに沿って見ていくというのが一番いいんじゃないかなと。ジャカルタは1,000万人、人口1,000万人を超えているのは、首都ジャカルタとね、第2位の年のスラバヤというところ、第3の都市のブカシというところもありますけど、日本の3分の1の面積に実に1億2,400万人という、日本と同じだけの人口がそこに集中していますから、基本的に総人口2億8,000万人のうちの45%がジャワ島にいるわけですよ。なので、このジャワ必須というのはすごく重要で、僕は、ディストリビューション・ネットワークは6島に築いていかないといけないんだけども、最初からそんなことをやるのではなくてね、新規で入るのであればね、まずはジャワ島を獲ると、ジャワ島に集中するということはすごく重要で。ジャワ島で流行れば自然に向こうに伸びていきますから、基本的にはジャワをやっぱり徹底的に攻略するということが、僕は非常に重要なんじゃないかなというふうに思います。あと、小売のプレイヤーもね、セントラルの物流、たぶん本部商談とかは全部ジャカルタでやりますからね、そういう意味ではやっぱりジャワを獲るというのが非常に重要ではないかなというふうに思います。
小売の主要なプレイヤーはトランスマート、カルフールですよね、もともとのね、トランスマート・カルフールというブランドで今やっていますけど、ここがやっぱり非常に大きいので。売上でもね、1,500億ぐらい、為替にもよりますけどね、2位のハイパーマートと倍以上の差ですから、基本的にトランスマート・カルフールは非常に大きいですよと。もともとはフランスのカルフール・インドネシアを子会社化したものなんですよね。早過ぎたんですよね、このカルフールは出たのが。ちょうどイオンが出る1年前か何かに撤退しているとかっていうので。当時ね、イオンが出るときもね、カルフールが撤退しているのにイオンは何をやっているの?とか、散々結構言われたんだけども、結局成功したじゃないみたいな、そんなことがあったような記憶があります。2位のハイパーマート、これもインドネシアのね、大手のマタハリ・プトラ・プリマが運営するハイパーマートですね。3位が、ここはいろんなブランドでやっているんですけど、また詳しくはね、私が今年出した『ASEAN6における販売チャネル戦略』を見てもらったら、この番組の概要欄にもリンクを貼ってありますので、詳しく載っていますのでね。3位がスーパーインドで、4位がジャイアント、5位がロッテマートという感じで、この主要5近代小売はもう確実に獲っていかないと伝統小売に相手にされませんから、基本的には入れていかないといけないと。
問題はね、このコンビニで、コンビニはね、1位のインドマレットの1万8,271店舗と、2位のアルファマート1万5,434店舗、ここがやっぱりもう最大で、ほかは考えなくていいというぐらい。あのセブンイレブンが撤退をした1つの大きな要因というのが、この2強のコンビニがあまりにも強いということが1つでございますので。もちろん外資規制とかいろいろあるんですけど、とにかく守られているし、強いしというところで。これだけ店舗数を持っていたらね、3万8,000数百店舗のうちの3万3,000店舗ぐらい、この2社のコンビニで持っているということは、彼らの小売交渉力がいかに強いかということを考えたときに、伝統小売をやるために割り切らないと、もうこの2社とは付き合えないというのが実際かなというふうに思います。
この辺のこともね、私が今年出した『ASEAN6における販売チャネル戦略』 同文館出版より出していますけども、ここに書いてありますのでね、ぜひ概要欄をチェックしてみてください。今日はこれぐらいにしたいと思います。また皆さん次回お会いいたしましょう。