森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日もB2Bの製造業向けのお話です。対象地域はアジア新興国市場です。
前回までね、先進グローバル企業の強さの秘密ということで、彼らが大切にしている3つの思考とか価値観みたいなものがあるので、そのお話をしてきて。今日は3つ目のお話で、3つ目は基準値でございます。欧米の先進的なグローバル企業、強い企業は必ずこの基準値を持っていると。基準値って何ですかというお話なんですが、目標や目的を達成するために必要となる、基準となる値のことを言っています。例えばね、100億円を売り上げるために、もしくは競合に打ち勝つために必要となる顧客数ってどれぐらいなんですか。じゃあ、その顧客数を獲るために必要なディストリビューターの数と質、規模ですよね、これってどうあるべきですかとか。そのディストリビューター内で必要となるセールスマンの数って、質って、どんなものなんですか。じゃあ、そのセールスマンの月当たりの活動内容って、彼らが何をすればその顧客数に到達するんですか、ということなんですよね。これは指標のブレークダウンになるわけなんですけど、これが非常に長けていて。この基準値を持っているので、誰もが数字で共通認識をしているわけですよ。共通言語を持っている。数字でセールスマンの月当たりの活動内容はこれです、1、2、3、何件、ディストリビューター内で必要となるセールスマンの数は何人、質はこのレベルとかっていうことが全部明確に出ていて、これがないと、この顧客数には到達しないということが分かっていて、これが非常に強い基準値。
多くの場合は、一方的な製品の優位性よりも相対的な販売チャネルの優位性のほうが圧倒的に重要ですよというお話をしましたけどもね、日本企業はこの基準値が販売チャネルにまったくない。販売チャネルを強化するだけで、シェアなんて全然上がるんですよね。販売チャネルが弱い。どれぐらい弱いのかを、競合の販売チャネルと比較したら、数字で、火を見るより明らかに弱いということが分かるんですよね。ディストリビューターが足りていない。なぜ私たちは今まで何十年も理由なきまま1カ国1ディストリビューターでやってきたのだろうとか、じゃあ、その1ディストリビューターで良かったとしても、「ディストリビューターの中身の専属のセールスマンの数も質も全然足りていないじゃん。だから、案件を拾ってこれなかったんだ、引き合い拾ってこれなかったんだ、リーチできなかったんだ」みたいなことが全然あって、ここを改善していくだけでね、1~2年かかって改善していくだけで全然売上も上がるし、シェアも上がっていくわけなんですよね。
この基準値が全然ない。自分たちのディストリビューターの競争力ってどれぐらいですかと言ったときに答えられるB2Bの製造業って本当に一握り。「競合の競争力を100とした場合に、自分たちの競争力ってどれぐらいですか、50ですか、80ですか、それとも100ですか、120ですか」みたいな。「いや、ちょっとそれは分かりません」みたいな。これが分かれば、何が足りなくて、何が足りているのかが明確になるので、その足りていないところを補うということに日々の業務を費やせるわけですよね。だから、基準値を持つということは非常に重要で、基準値を持つためには、自分たちの競合を可視化する、丸裸にするということはすごく重要。この自分たちの競合を丸裸にするのは、残念ながら自分たちではできないので、われわれじゃなくてもいいです、別に他者でも構わないと思う、専門の調査会社に依頼をして可視化をすると。ただ、これも本当にノウハウなのでね、できるできると言ってできないところはたくさんありますから、誰に依頼をするのかというのはしっかりと選ばれたほうがよろしいと思いますけども。そんなに何千万もかかる話ではないのでね、可視化をしてしまって、何が足りていて、何が足りていないのかが明確になれば、足りていないところを補う。補ったら数字が上がるので、こんなにシンプルなことはないわけですよね。何が問題なのか分からないまま、いろんなことをワーッとやって、結果が出ないということをやるよりも、確実に売上やシェアは上がると思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。