東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:森辺さん、引き続き山本社長をお迎えしていますけども、今回は。
森辺:グローバルパートナーズの山本社長です。どうぞよろしくお願いします。
山本康二(以下、山本):よろしくお願いします。
森辺:前回、前々回と中小企業の海外販路開拓とか、御社がドバイでやられている中小企業向けの販路開拓のサービスなんかのお話をしていただいたのですけど、ドバイと日本で聞くと「UAEだよね?」みたいな、あまり知られていないイメージがあるのですけど、実はものすごく魅力が大企業だけじゃなくて中小企業にもたくさんあるという風に思うのですが、ドバイの専門家としてドバイの紹介をしていただけるとありがたいのですが。
山本:私は日本で2番目ぐらいにドバイに詳しいと思うのですけど。
森辺:1番ではないですか?
山本:いやいや、全然先輩たちがいると思うのですけど。ドバイというのは1971年12月にイギリスから独立をしまして、それまでほとんど砂漠だったんですね。空から見たらただの砂漠という状況でございまして。先ほど言った通り石油が出なかったものですから、商業の都市を作ろう、貿易のハブになろうということで。まず基礎となったのがドバイクリークという入り江があるんですね。古くから港として使われてたんですけど、結局アラビア湾、ペルシャ湾に船を止めるのは大変ですけど、クリークがあると波が静かなので貿易船が入って来れる。今でも1日600隻以上の船が往来しているんですけど。そしてフリーゾーンや関税がかからないところがいっぱいありますので、まず世界中、たとえばインドからスパイスを持ってくる、東南アジアから建材を持ってくる、アフリカから金を持ってくる、ペルシャから絨毯を持ってくるという感じで、世界中の企業の、特に中小企業の商人が自国の作ったものを持ってきます。そうすると問屋がバーッと並んでいるんですけど、そこに卸すんですね。だいたいこの問屋で大きいところがデイラ地区というのがあるのですけど、日々10万人の世界中の中小商人が買い付けにくるんです。毎晩いるんですけども。ここに荷物を降ろして空になった船に自分の国で売れそうなものを、最近ですと韓国製の家電品なんてのをすごく積んでいるのを実際船に乗って見ていますけど、そんなのを乗せて出て行くと。こんなのが基礎だったんですけど。
その発展の基礎の上に、今度はドバイ国際空港というのが出来て、これ今世界の外国人利用客数が、2年前が第3位、去年が第2位、今年の1月から3月期で第1位になっているのです。世界の外国人が最も利用するドバイ国際空港。ここ有名なのがエミレーツというエアラインなのですけど、世界150ぐらいの都市に直行便を出していてですね、日本からも東京、大阪、名古屋、こういうところから出ております。
森辺:高級な。
山本:そうです。色々な3つ星とか4つ星とか色々、世界の色々な表彰をされておりまして。実は日本、東京からですと11、2時間で着くんですね。時差がマイナス5時間なので、実質7時間時計が動くんですけども。産油国で色々な優遇策もあってですね、往復プラスホテル代で10万円を切るんですね。
森辺:え、そんな安くいけるのですか?
山本:はい。そのくらいでドバイは行けるのです。その港があって飛行機があるというので発展したんですけど、もうすでにドバイ国際空港の滑走路はパンパンで、周辺はビルがずっと立っていますので拡張が出来ないということで、新しい空港都市をアブダビ側に作ってまして。それがドバイワールドセントラルと。ここの中心がアルマクトゥーム国際空港というのがもうオープンしていて、どんどん今ビルを建てたり、工事をしているんですけど、2020年に東京オリンピックありますね。その同い年にドバイで国際万博をやるんですね。その会場がこのドバイワールドセントラルということで。万博を呼び込みましたので、すごく今建設ラッシュで。名前の通り「ワールドセントラル」と。人、物、金、そしてマインドと言っていますけど、色んな心が交流する世界最大の都市を作ろうと。
この国際空港の真上にジュベルアリ港という中東最大、世界最大の人工港がございまして。ここはもうコンテナ船がものすごく入ってきていまして。日本の、大抵の大手企業もまず部品や完成品をこのジュベルアリに置いてですね。関税がかかりませんので。そしてヨーロッパやアフリカ、中東、ロシア、もしくはインド、こういうところに輸出していくという貿易の、物流のハブになっているんですね。
森辺:シンガポールとか香港みたいな。
山本:そうですね。若い国なのでアジアや欧米の色々な貿易都市をマネして良いとこ取りをしている。
アフリカと中東で今70カ国あるんですけど、それぞれの国にですね、治安がよくて税制とか物流とか色々な制度が整っている貿易都市ってのはまだないんですね。ですからこの70カ国の人たちはA国とB国で商談をするときはドバイで会おうということで、ドバイに営業所を置いているんですね。インドも完全にドバイを使っておりますし、中国もアフリカを捉えるのにドバイを使っていると。ヨーロッパ、元々イギリス領ですから、ヨーロッパの方々も入り込んでいると。ドバイをだいたい1つ抑えると世界の3分の2近くにリーチ出来ると言われておりまして、そこが、私が非常にドバイに注目した理由なんですね。
森辺:そうすると、世界はドバイを貿易のハブとして活用しているし、日本も商社や大企業だけじゃなくて中小企業もどんどんそこをハブとして海外販路開拓をしていったほうが良いですよと、そういうことなわけですよね?
山本:そうです。大手企業はほぼドバイに進出済みでございます。ただ大手の場合は日々たくさん名刺交換をして新規開拓をいっぱいしたいかというと、たとえばトヨタさんがどこかの国に進出したいと言えば、自ずと国先は、候補はすぐ絞られるわけですね。どこそこの財閥だとか、何番の商社だとか。すぐ組先が決まる。でも売り上げ10億の中小企業がアフリカのどこそこ攻めると手をあげても、自分の足でパートナーを探さなきゃいけないですね。そうするとドバイには必ず各国からやり手の中小商人が集まっていますから、そこの人たちと仲良くなっていく。これが非常に早いと。
森辺:治安も、中東というとイメージがね、悪いイメージを持つ方もいらっしゃると思うのですけど、ドバイは全く違うのですね。
山本:そうです。元々原住民というか、何もないんですよ。砂漠ですから。近代化された都市を最近になって作り始めたということで。たとえば街中にカメラがあって警察も日本の十数倍設置されて、私服警官も含めてです。しかも軽犯罪ですね、詐欺とか何かやると国外追放、永久追放みたいになっていて。ドバイはたとえば玄関の鍵も閉めない。高級車も鍵さしっぱなしと。これでも大丈夫という。
森辺:シンガポールより安全かもしれないですね。
山本:そうですね。この前アメリカの女性ジャーナリストが家族で過ごす治安ランキングで日本が7位だったんですけど、ドバイが1位です。
森辺:しかも10万円ぐらいで行けると言ったら非常に。
山本:そうです。当然ドバイは7つ星ホテルとかがあってですね、一泊数百万円とかそういうのが日本のメディアでは取り沙汰されています。
森辺:ミッションインポッシブル3で有名なね。
山本:有名な世界一高いタワーとか世界一が50個ぐらいあるんですけどね。そういった目立ったものもあるのですけども、むしろ商業の街として発展をしていき。たとえばゴルフ場もすごく立派なものがあるんですね。元々アラブ人はゴルフなんてやらないんですよね。でも欧米の人やゴルフ好きな海外の人がここで居住してもらうためには、スキー場も作っちゃおうと。もしくはスキーとか各国の色々な遊びも用意されていたりして。
東:室内スキーかなんか。
山本:もあるのです。あれも日本の技術で作ったのです。その古い港と古い空港、古いというか現在の空港、新しい万博をやるドバイワールドセントラルとジュベルアリ港、それを結ぶシェイクザイロードという主要道路というのは、片側は7車線になっていて。走っている車の8割ぐらいが日本車ですね。本当に日本の中小企業は出られてないのですけど、Panasonicさんとかダイソーさんとか紀伊国屋さんとか、日本からもいっぱい出ていて、最近ではヨックモックさんというお菓子屋さん。あれが去年出てもう7、9店舗ぐらい、11店舗かな。毎月更新されるのですけど、出ていてですね。日本の2.5、6倍、7倍ぐらいの価格で売れていて。
森辺:日本のデパ地下のお菓子屋さんあるじゃないですか。数店舗しか展開していないけど、本当にちょっと値段も結構高いけど美味しいもので、日本のデパ地下は世界最高だなと思っているんですけど、スイーツとか。
山本:もう全部いけると思いますね。
森辺:あと江戸時代から続くお菓子屋さんとかね。
山本:良いのは本当に地場産業がないんですよ。ですから保護政策というのがないんです。ドバイのお土産屋さんに行っても何も並んでいないですから。要するに地元の八つ橋とか伝統的な何とか焼きなんて無いので、海外のものしか並んでないんです。製造業も彼らは元々やっていないので、パクられるとかそういうのもないですし、海外の人のために今ドバイにいる全ての人、二百何十万人いるうちの9割ぐらいが外国人なんですね。ですから、外国人の方々が住みやすくてビジネスをしやすい。それを王様から全て一気通貫で、そのことだけを目指していると。たとえば電車の中で居眠りしたり物食べたりすると罰金なのですけど、携帯電話はOKなんですね。
森辺:居眠りはダメなんですか?
山本:居眠りはダメなんです。何で携帯はOKなのだとうと、これはビジネスの街だからという感じなのです。
森辺:居眠りはビジネスではないから。
山本:関係ないから。(笑) ですから、ドバイでお金を落さない、商業に参加しない人はビザ出さないので、お帰りくださいということで。このコンセプトのためだけでやっているのがドバイだと感じるんですね。ですから日本で、「たとえば日本は何を目指しているの?」と日本人に聞いてもみなさんハテナマークだと思うのですけど、ドバイにいる外国人も地元の人もみんな同じことですね。「世界で最も優れた最大の商業都市を作ろう、貿易都市を作ろう」と。「そのために全員が1歩1歩国づくり、街づくりをしているよ」と。ここに対して世界中の中小企業が気付いて、進出していて、日本企業が1歩、10歩。
森辺:出遅れている?
山本:出遅れている。これを何でかな?というと、やはり不馴れた土地で初期費用がかかってと。色々なオファーが足りないということで、私はステージを作る。こういうことをお客様と共に今やっているという状況なんですね。
森辺:これあれですよね、ドバイは言語で英語が通用するんですものね。だからやりやすい。そうすると国としても外資の融資政策が、地場産業がないから外資の融資が100%受けられるんですよと。
山本:そうです。現地の人たちもいかに海外からドバイを賑やかす、発展さす、雇用を生む、産業を呼び込むかということに専念されていまして、彼らは高校を卒業するとみなさんアメリカとかの大学に行って、ものすごく経済とかビジネスとかを覚えてきてですね、すごく日本のことに注目しているんですね。日本のたとえばスイーツ、これをもってこいとかですね。僕ら日本人としてドバイに歩いているだけで、1日に何個も宿題をもらっちゃうんですね。ですから、手ぶらで行ったとしてもたくさんビジネスを創造できるのではないかなと。
日本人の良いところは、自分の個人の、日本人ということでですね、信頼とかそういうものを証明する時間をショートカットできるんですね。「日本人か、では大丈夫。ではお前こういう仕事出来ないか」といきなり言われる。しかも相手が、中小ファミリーカンパニーが多い。ファミリーカンパニーと言っても数億のお金は動かせる方々なんですけど、いきなり我々が従業員何名だとか売り上げいくらだとか、シェアがどうだと聞かれないで、いきなり「こういうこと出来ないか」と。最近では「天ぷらを持ってきたい」とか、「寿司をもっと美味しいのをやりたい」とか、「家具でこういうのないか」とか、宿題をもらうのです。医療関係とか、子供が多いですからベビー服とか健康関係とか。ものすごい宿題をもらえる。
森辺:すごくよくわかります。何で、この日本のパスポートを持っているということはビザがいらない国ですし。
山本:当社の外国人の社員がドバイに行こうとすると入国するのにまた時間がかかるのです。日本人はどこでも行けるわけですから。
森辺:信用を前提としてされているではないですか。なのに、何で海外ビジネスをもっとやらないのだと、本当に思いますけど。なるほど。
そうすると、まとめるとドバイというのは地場の産業はないので外資の政策が、融資政策が非常に進んでいますよと。で、英語の通じる国なので非常に良い国だし、ドバイは貿易のハブとしての国家形成を進めているので、ドバイから中東やその他欧米、アジア、インドを含めた販路開拓の展開が出来る可能性があるという、そういうことになるんですかね。
山本:まさにそんな都市がないかなと。インターネット上でそういうものを5年前に見つけたんですけど、今度リアルでそれが見つかったものですから。
森辺:しかもその他ASEANとか新興国にありがちな価格の現地適合化みたいなことをしなくても良い。
山本:そうです。日本の2倍で売れたりするんです。
森辺:出ない理由が。
山本:理由がないです。ドバイがすごくてそこに出る色々な障害を我々が取ったと。1番今困っているのは人材がいないということですね。パッケージは分かった、市場も分かった、良い商品僕作れる、じゃあ流れるねと。でもそのセールスマンがいないと。では育てなければいけないねということで、今私は、もう環境はあるので、人を育てようということに真剣に今取り組んでいる。
森辺:分かりました。そうしたら山本社長、もうお時間が来てしまいましたので、今日はこの辺に。また次回、どうぞよろしくお願いいたします。
山本:ありがとうございます。