森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日は、新興国ビジネスにおける調査の重要性ということについてお話をしていきたいなというふうに思います。
調査の重要性ということなんですけど、本当にね、日々支援をしていて、少し前のエピソードでもお話したんですけど、インプットってめちゃめちゃ重要ですよと。新興国事業をする上で弱い企業というのはインプットが少な過ぎるというお話をしたと思うんですよね。結局インプットが多いと、そこに自分たちの経験とかいろんな経営資源がもともとあるわけで、そこと掛け算で化学反応を起こしてアウトプットという戦略をつくり出していって、そして、その戦略をまた経験値で実行していって、アウトカムの成果を出していくということなので、インプットがすべてではないんだけども、インプットが少ないと、そもそも少ないインプットで出てくるアウトプットなんてやっぱりチープになるし、そもそもチープな戦略をどれだけ頑張ったって良いアウトカムは、結果は生まれないよねということと一緒で、インプットはめちゃめちゃ重要と。そのインプットは、じゃあ、どこから出てくるの?と言うと、これは調査からしか出てこないんですよね。情報収集からしか出てこない。この情報収集をあまりにも日本の製造業がやらなさ過ぎる。だから、インプットが少ない、浅い。でも、そのこと自体にも気付いていないと。問題が何なのかに気付いていないということが本当にもったいないなと思っていて。
今までは日本企業しかつくれなかったから、そんな細かいことをしなくても別に問題なかったわけですよね。良いものさえつくっていれば良かったわけですから。競合なんていなかったので。欧米の新興国市場に対する展開の度合いもそうだし、中国系とかアジア系の企業の著しい成長みたいなものもここ10年15年の中で出来上がってきているものなので、調査に対する重要性ってそんなになかった時代。でも、今こうして見てみると、本当にそこがすごく重要だなと。それがもう会社としてそういう予算組みがそもそもないと。何かを調べるなんていうのは自分たちでやることだから、調査予算ありませんみたいな会社ってやっぱり本当にちょっとまずいよねと。業界トップ3ぐらいの会社はやっぱりちゃんとそういう予算が組まれているので、普通に出てくるんですよね。当たり前としてある。だから、強い。一方で、そうでないと、そもそもそこを捻出するのにものすごく時間がかかるわけですよね。だって、担当役員がそんなことしたことないのに、なんでそんなことにお金をかけなければいけないんだという話になって決裁が下りないと、予算がないと。なので、現場は少ないインプットの中でなんとかしようとするわけなんだけど、なんとかならないんですよね。なんとかならない。これがやっぱりね、うまくいっている企業といってない企業の本当に大きな差だなと、もったいないと、高々、高々数百万か数千万の予算で…、数千万の調査をやるって相当ですから、数百万、1,000万、2,000万ぐらいの予算でしっかりと調べて戦略をつくっておけば良かったのに、そうではないままとにかくやってみると出て、そして、コケて、数億、数十億の損失になったなんていう事例はたくさんあるわけでね、新興国市場、ASEANでも構いませんけど、ASEANの展開において。そうすると、やっぱりこの調査の重要性って本当に重要で。
あと、消費者のインサイトを見るような調査、いわゆる消費者系の調査よりも、産業系の調査、流通がどうなっているの?競合はどうしているの?みたいなね、ここの部分の情報ってやっぱり自分たちでは取ってこれないんですよね。自分たちの現場が取ってくる情報では深さが足りない。量も足りないし。結局そこで負けてしまっているケースがほとんどなので、本当にこの調査の重要性ってね、僕はものすごく感じる。もちろんうちでなくても全然構わないと思います。外資、日系、たくさんありますから、なんちゃら総研ですとか、外資の有名ファームもいっぱいあるので、そういうところにぜひお願いをする。全然うちでなくてもいい。ただ、インプットさえ上げれば本当にまだまだ日本企業というのは新興国市場で大きな成果をあげられるというふうに思うので、うまくいっていない企業の要因はもう情報量不足、インプットの差が非常に大きいというふうに思います。
ちょっと今日は時間がきてしまったので、次回もう1回この調査の重要性についてお話をしていきたいなというふうに思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。