森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日も引き続き、調査がらみのお話をしていこうというふうに思います。
前回ね、競合ベンチマーク調査の重要性みたいなお話をさせてもらって、今日はリストアップ調査、僕のところに、弊社に依頼が来る調査の中でも比較的多いのがリストアップ調査というもので。これはどういうものかと言うと、リストづくりなんですよね。ロングリストからショートリストに絞っていったりっていうものなんですけど、どういうときに使うかということなんですけど、一番あるのはね、やっぱりディストリビューターのリストをつくるというのが圧倒的に多くて。これはどういうことかと言うと、販売チャネルを強化していく上で、直販もあり、ディストリビューター経由もありという中で、ディストリビューター、どこのどのディストリビューターと組むかで成功の可否の5割6割が決まってくるんですよね。やっぱり駄目な相手といくらやったって駄目だし、適切な相手と組まないといけないと。
その中で、結構、日本企業のアジア新興国市場の展開って何十年も前に行われていて、何十年も前のアジア新興国市場ってそんなに重要な市場ではなかったので、とにかく向こうでそこそこ頑張っているよと、大手だよというようなところからだいたいアプローチがあって、じゃあ、販売権を渡して関係が始まったというケースが非常に多いわけですよね。そのディストリビューターのほとんどは華僑、8割は華僑で一族系で、今、2代目、3代目ぐらいの、そういう世代なわけですけども。そんな中であまり注目をしていなかったんだけども、ここに来て非常に重要な市場になってきて、本当にこのディストリビューターでいいんだっけと、満足、不満を抱えているわけですよね、多くの日本の企業が。これはB2Cの製造業であり、B2Bの製造業でありと。数十年前はそこが唯一の選択肢だったかもしれないけども、今ってディストリビューターの上位ランクも入れ替わっているし、本当にそこでいいのかと。後継者がいなくて、後継ぎ問題で苦しんでいるようなディストリビューターもいますしね。当時いた番頭さんが抜けちゃって別の会社に行ってしまっているとか、いろいろあるんですよね。結構このディストリビューターの再構築、ディストリビューション・ネットワークの再構築をするときに、本当にどこと組むべきなんだっけというときにこのリストアップの調査をやる。もしくは新規で進出するときも、やっぱり自分たちの手の届くところのディストリビューターだけの情報で決めていくとね、このA社の王さんと一緒にやるのが一番良いと思っていたのが、いやいや、B社の陳さんのほうが良かったじゃんと、締結してからね、王さんと締結してから陳さんの良さに気付いたって、これは遅いわけですよね。一度締結してしまったらね、やっぱり3年5年と足を引っ張られるので。成果が上がっていなくてもね、1年なのでもう1年様子を見ましょうとなるわけですよね。そうこうしているうちに3年4年経って、担当者が替わりました、駐在員が帰任しました、新しい担当者が来ましたと。着任早々ディストリビューター切りなんてやりませんから、そうすると、駄目なディストリビューターと延々付き合っていくみたいな話にもなりかねないので、基本的にこのリストアップというのは非常に重要で。
僕はやっぱりどのインダストリでもね、その特定エリアでディストリビューターなんていうのは数十しかいないんですよ。B2Cのね、ネスレリーバ型のディストリビューション・チャネルをつくるような、配荷だけやるような小さな規模のディストリビューターだったら100、200、300といますけども、いわゆるセールス機能がくっついているような、セールスとデリバリーが主な機能というふうに定義されているようなディストリビューターは数十ですよ、1つのインダストリで。そしたらもう、それを全部主要どころをリストアップして、その中から絶対評価と相対評価で絞り込んでいくということをお勧めしていて。この絶対評価って何かと言うと、自分たちがやりたい目的があるわけですよね。つまりはね、ディストリビューター、リストアップ調査って重要なんだけど、リストアップ調査の話をしているんだけども、そもそもリストアップというのは、要は誰と組むかということをリストアップしていくわけじゃないですか。でも、誰と組むかよりも誰に売るかのほうが概念としては上位概念で、圧倒的に重要なので、基本的に誰と組むかよりも、誰に売るかということをまず明確にしておくということが大前提としてあって、その上でのリストアップ調査でなければならないと。なぜならば、誰と組むかというのは、この売りたい相手に確実に売れる相手と組む必要があるんですよね。多くの日本企業は、とにかく大手で実績のあるところというのがディストリビューター選定の大きな基準になっているんですけども、大手で実績のあるところが必ずしも適切な相手とは限らないんですよね。なぜならば、大手であればあるほど重要なクライアント、ブランドをいっぱい抱えていますと。これから新規で入る皆さんの会社に本当に優秀なチームがあてがわれるかと言うと、必ずしもそうではないわけなので。重要なのは、大手か大手じゃないかとかではなくて、いかに自分たちの売りたい相手に売れるかということがすごく重要なんですよね。そうすると、絶対的なスキル、いわゆる自分たちが100億やりたいのに売上が50億しかなかったら、これはキャッシュが回らないので難しいですよね。こういうのを絶対的な基準で切っていくわけですよ。50億の会社は駄目ですと、100億以上じゃないと駄目ですと。もしくは、営業マンが例えば300人以上いないとやっぱり駄目だよねと、こういうのも切っていくわけですよね、絶対的なスキル。でも、一方で、マインドセットというね、スキルセットじゃない、反対側のマインドセット、オーナーのマインドで切るということも、相対的に判断するということもすごく重要で。この2つを組み合わせながらロングからショートのリストに絞っていくんですけど。
ちょっと時間が来てしまったのでね、このリストアップ調査はすごく重要なので、もう1回また、次回お話をしようと思いますけども。ちょっと今日はこれぐらいにしておきたいと思います。また次回お会いいたしましょう。