森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。前回との続きでリストアップ調査の件ですけども…。
リストアップ調査というのは絶対評価でロングリストからショートリストに絞っていきましょうねと。この絶対評価で見るポイントというのはスキルセットだけ、いわゆる自分たちが売りたいターゲットに対して本当に売れるのかということをスキルで見ていくということなんですよね。分かりやすく言うと、すでに自分たちが売りたいA社、B社、C社、D社に口座がある・ないとかね、これは口座のないところといくらやったって、新規で口座をつくりにいくところから始まるので、そんなところとやっても時間がかかってしまうわけですよね。なかなか会えませんとかって話になるわけなので。やっぱり今既存で自分たちのターゲットと取引があるところがいいですよ。これは絶対的な条件ですよね。もしくは自分たちは100億やりたいんですと。100億やりたいのに売上が50億とか、100億でも足りないですよね、ほかのお客さん含めて100億ですから。それでキャッシュが回らないので、ディストリビューターはキャッシュを回すのが仕事ですから。そうすると、やっぱりある程度規模が大きくないと駄目ですねとか、従業員がこれぐらいいないと駄目ですねとか。B2Cだったら、例えば冷凍食品を売っていたら、コールドチェーンを持っていないと駄目ですよねと。冷凍トラックを何十台、何百台持っていないと駄目ですよねとかっていうこともスキルの1つになってくるので、基本的には自分たちの売りたい相手に確実に売れるかどうかというところのスキルを客観的に見るということが、まずこの絶対的な評価、絶対評価で絞り込む、ロングからショートに絞り込むということなんですよね。だから、誰と売るかよりも誰に売るかのほうが圧倒的に重要ですよと言っているのはそういうことで、誰に売るかということがぼんやりしていると、誰と売るかのこの「誰」というのは大きくて実績のあるところ、みたいな抽象的な話になってしまうんですよね。ディストリビューターに会えば会うほど、皆さん自分を大きく見せるし、皆さん自分はコネクションがあると、強い顧客基盤を持っているというふうにおっしゃるので、基本的にはそこをスキルセットでしっかり見極めていかないといけないですよと。そんな調査をやるわけですよね。ただ、リストをつくって「はい、どうぞ」というケースもありますけども、一番重要なのは客観的な目利きで絞り込んでいくと、そして、50社の選択肢の中から「この5社どうでしょうか」というショートリストを出すみたいなのが仕事としては非常に多いのかなと。
この5社からね、1社とかに絞り込む、2社とかに絞り込む、ここが今度は相対評価が重要で、5社を相対的に比べていくんですよね。この5社を相対的に比べるときの評価軸というのは相対評価になるわけですよね。マインドセットをベースに相対評価をしていくと。いわゆる5社の中で最もマインドセットが高いところはどこですかと。つまりは、このマインドというのは担当者のマインドでは駄目、ナンバー2のマインドでも駄目、オーナー社長のマインドでなければ駄目ですよと。もう華僑系の一族企業なので、オーナー社長が右と言ったらすぐに右に行ってしまうんですよ。左に行っていたのに。これは番頭さんでナンバー2だから、この人と詰めれば大丈夫、親戚だしみたいな。全然オーナーが右と言ったらコロッと右に行ってしまうので。強いてナンバー2でも許されるのは、直系の血統の一族、例えば息子・娘、みたいなね、こことやり取りしているのであれば、お父さんは言うことを聞きますけども、お父さんのオーナー社長、お母さんのオーナー社長、ASEANの場合は女性というケースも多いので。なんですけど、基本的にはオーナー社長と話をして。そのときに見るのが熱量なんですよね。どれだけこの商品に対して熱量を持っているのか。なぜならば、その熱量が彼らのいわゆる資材ですよね、会社、オーナー企業ですから、経営資源をどれだけ投下するかというところに関わってくるので、そこをやっぱりしっかり見ていくと。あと、勘違いしてはいけないのは、昔みたいに日本企業が日本企業の商品を持っていけば、ディストリビューターが勝手に向こうで熱量を上げてくれるなんていうことはもうないので、いや、中国製を売るよと、そっちのほうが数が出るとか、儲かるとかっていう話は全然あるので、基本的にどうやって自分たちのビジョンとか未来とか戦略とかを語って、彼らの将来のゲインを見せられるかっていうことがすごく重要で、熱量をこっちから上げていくという努力もしっかりしないといけないんですよね。勝手に熱量が上がるなんていうのはあり得ないので、そういうこともやりながら、ショートリストになったら、そこからショートリストの5社から2社に絞り込んでいって、実際には契約締結ということになるわけですけど、こういう一連の流れをプロジェクトとしてやるというケースが多いですかね。
ということで、今回はリストアップ調査でございました。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。