森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日は、前回の続きですね。本社主導で戦略の再構築をできる会社、強いリーダーシップで本社主導、経営企画部主導でできる会社と、現地法人に遠慮してなかなか物事が進まない会社と、前者でないと駄目ですよ、後者だったら絶対に失敗しますよという、そんなお話をさせていただいたと。
例えばなんですけど、結局これは、なぜ、じゃあ、本社は現法に遠慮するのかなということを考えたときに、基本的には本社の海外事業担当役員というのが一番偉い、その上に社長がいるわけですけど、だいたい大手だと海外事業役員がそれを統括しているわけで。この人の指示に従って、現地の現法社長というのが行っているわけですよね。本社の戦略を再構築する担当部門が、海外事業部がやるのか、経営企画室がやるのかっていうことなんですけど。結局、なぜ遠慮しているんだろうというとね、これね、いわゆる文化的な、いわゆる社風的な背景というよりも、知識量の差なんですよね。結局、現法…。社風もあるんですよ。何だろうな、結構お付き合いしていると、本当にジェントルな会社もあれば、結構やんちゃ…、やんちゃなと言うとちょっとあれかもしれないですけど、何だろう、マイルドか、ハードコアかみたいな、そういう表現で言うと、マイルドな会社もあれば、ハードな会社もあるので、そういう社風的なところももちろんあると思います。ただ一方で、やっぱり一番の要因はね、本社の支援すべき部門もしくは立場の人が、現法以上の経験値であったり、知識武装というものができていないので、何か現場に提言をしたときに、現地から「いや、それはこうなんです」と言われてしまうと、それに対して打ち返しができない、跳ね返しができないんですよね。なぜならば、自分も疑心暗鬼だから、確証がないから。現場に言われたら、現地で今、最前線でやっている人たちに言われたら、もうそれ以上言えないんですよね。よくあるのが、「もうそれはやりました」とかね、「それはもう調べました」とかね。結局、物事なんて、誰がいつどうやるかによって結果なんか全然違うので、基本的に「もう、それはやったけど駄目だったんです」という言葉は結構現地からいっぱい出てくるんですよ。でも、それってどうやったか、誰がやったかによって得られる結果は違うでしょうと、「そうやってしまったから駄目だったんじゃん」ということは結構あって。でも、本社で経営戦略を再構築するような立場の人は、自分たちはやっていないから、「やったけど駄目だった」と言われてしまったら、それ以上突っ込めないわけなんですよね。だから、われわれが経営戦略部、本社、東京本社に雇われてプロジェクトを実行していくんですけど。現法に入っていって、現地法人に嫌われながら仕事をしていくという、そういうことになるんですけどもね。
でも、やっぱりそこでやっていっても、本社が「こうだ」と言ったときに、現地法人がしっかり右を向ける会社と、それに対して自分たちのやってきたことであったり、自分たちの立場を守るために抵抗する会社というのがやっぱりあって。ここって成長の阻害要因に本当に大きくなっているなと思ってね。これはね、本当に1つ何か戦略を再構築するときには、非常に効率を悪くする、生産性を悪くするので、僕は帰任させてしまうんですけどね、「帰任させてください」と言ってしまうんですけどね。新しいメンバーを0から入れていかないと、なかなか物事が進まない。
別に今までやってきたことを責めているわけでもなく、否定しているわけでもなく、でも、その視点でやっていてももう無理なんですよと、そのやり方でやっていてももう無理なんですよというケースが結構多くて。これをさらに本当シェアを上げていこう。シェアを5%上げるというのはね、他社からシェアを5%奪ってくるということですから、相当なことをやらないと、そんなの奪えないんですよね。向こうも常に守っているわけですから、その5%のシェアを。なので、やっぱり本社チームの強いリーダーシップというのは、僕は大切だなと思っていて。後方支援みたいな位置付けでは何の役にも立たないので、本社がやることは、現場が最前線で日々の数字に追われているんだったら、本社はしっかりと俯瞰した立場から全体像を客観的に見て、強いリーダーシップで指示を出していくということをやっていかないとなかなか難しいので。いろんなお客さんとお付き合いしてきて思うのは、そういう本社の強いリーダーシップのある会社というのはやっぱり成功しているし、現地法人、うまくいっていないのに現地法人にいわゆる言われ負けしてしまって、なかなか物事が前に進まない企業というのはだいたい撤退に追い込まれているというケースが多いかなというふうに思います。
それでは今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。