森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日も引き続き、輸出型チャネルビジネスの基本ということでね、輸出型のビジネスの話をしてきたいなというふうに思うんですが…。
前回お話した通り、輸出のステージから始まって、現法のステージに移行していきますよと。輸出のステージである程度やっぱり大きな売上をつくらないと、なかなか現法ステージに踏み切るというね、新たな投資をしていくという経営判断には至らないので、輸出をやるということは非常に重要ですよと。これは、分かりやすく、B2Bだとね、もうほんとにネジつくっている会社から、部品装置って、いろいろあるので、この番組でもね、FMCG、分かりやすいでしょう。皆さん、小売で売りたいという、非常に分かりやすいので、そういう例が多いんですけど。B2Bのリスナーの方はね、自分たちの事業に置き換えてもらったらよろしいと思うのでね、ネジ対象にB2Bの話をするのか、装置対象にするのか、部品対象にするのかで全然話が変わってきてしまうので、これからお話するのはFMCGに合わせて話をしますけど、自分たちの事業に置き換えて解釈をしてもらったらよろしいと思いますので、お願いしますということで。
FMCGの企業さんの輸出っていうと、まず、僕、輸出のステージには2つのビジネスが存在しているというふうに定義していて、1つが輸出型ビジネスというふうに僕は呼んでいて、これはね、いわゆる日本の問屋さんに商品を売って、その問屋さんが海外に売っていますというケースですね。これを「輸出でやっているんです」と言うんですけど、輸出、全然やっているにならないと思うんですよ。決済は日本国内だし、日本国内で売った先の問屋さんが海外に売っていますよと。それをメーカーが承諾してやっているから「正規」というふうに言っていて、そうではない、並行品ってね、今、円が150円…、153円に一時到達なんてニュースに出ていましたけども、そうなってくると、日本で並行業者が買って、商品仕入れたやつを、勝手に海外にね、メーカーの知ることなく輸出をしているというケースがあるわけですよね。別に並行輸入って違法ではないのでね、これは自由貿易の世界では並行輸入というのは全然いい、構わない話なので。ただ、メーカーとしてはね、並行輸入がいっぱい流れて、正規品以外のものが入っていくということは、基本的には自分たちはどこで売ろうと、自分たちの製品が売られているので、偽物が売られているわけじゃないので、トータルでは良いんだけども、結局自分たちが攻めようとしている海外の市場の価格が乱れたり、ブランディングが乱れたりするので、プラスにはならない。マイナスになってしまうということでね、いろんな調整をしていくわけなんですけど。
いわゆる輸出型ビジネスって僕が定義しているのは、非正規のね、並行輸入っていうのは別に置いておいて、日本で問屋さんに売ったやつが海外に行っているという。要は、買っている客の顔が見えないビジネスを僕は輸出型ビジネス、「単なる」ってつけるときもあるんですけど、単なる輸出型のビジネスですと。別にね、日本の国内の問屋を通していなくても、日本の自分たちの会社の輸出部みたいなところが、海外のインポーター、輸入会社に商品を注文に応じて輸出していると、FOB Japanで出荷していますというね。これも僕は輸出ビジネスだと思っていて。結局、買い手の顔が見えていないわけですよ。輸入社、向こうのインポーターの先にどういうディストリビューターがいて、その先にどういう二次店、三次店がいて、その先にどういう小売がいて、最後、どういう消費者がいて、みたいなものが全部ブラックボックス。確認すれば分かるけど、なかなか回答も出てこないみたいなね、そういう状況でやっているビジネスを輸出ビジネス。日本の問屋さんなんかでやっていると、「どこに売っているんですか」と、「タイです」と。「そうですか。タイのどこに売っているんですか」「ちょっと確認します」。で、確認して、「ここと、ここと、ここら辺らしいです」みたいなね。これはあんまりこう、打っている人の顔が見えていることにはならないので、こういういわゆる、ただ出荷しているだけのことを、僕は輸出型のビジネスというふうに定義していて。
同じ輸出のビジネス、輸出のステージでビジネスしていても、輸出型のチャネルビジネスをしっかりやるということが、FMCGにとってはすごく重要で。この輸出型ビジネスと、輸出型のチャネルビジネス、この「チャネル」という文字がつくのは、これはどういうことが違うの?っていうのは、要は買っている人の顔がしっかり見えていることを、僕は輸出型のチャネルビジネスというふうに呼んでいてね。仮に輸出だったとしても、どういう人がインポートして、輸入して、それがどういう中間流通を通じて、どういう小売店に、どういうふうに並べられて、どんな消費者がそれを買って、何を思ってリピートしているのか、していないのか、みたいなところがしっかり見える化されているビジネスを、僕は輸出型チャネルビジネスというふうに呼んでいて。
ここまで見えなかったら、輸出の量が増えた、減ったなんていうのは、ファンダメンタルズに左右されるだけの話でね、現地の景気が良ければ伸びるし、日本食が流行れば伸びるし、為替が円安に振れれば伸びるし、みたいな。けど、逆に張ったとき、逆張りにいったときには伸びませんよと。そして、言い訳は全部景気と為替みたいな話になる。これってビジネスですかねと。単にファンダメンタルズに流されてモノを出荷しているだけですよねと。だからこそ、この輸出型のビジネスをしている人はいち早く輸出型のチャネルビジネスに切り替えていかないと、今はいいけど、もしそういう逆張りの時期が来たときに、一気に数字が落ちますよと。数字が落ちたときになす術がないですよと。何もできませんよと。対策が打てない。なぜならば、どんな中間流通を通じて、どんな小売に、どう並べられて、どんな消費者が何を思って買っているのか、リピートしているのか分からないわけですから、対策が一切できないと。またそれも景気の悪い、ネガティブなファンダメンタルズに流されて、ビジネスをただ惰性でやるということになってしまうので、そこから脱却しましょうと。これができると非常に強い輸出型のビジネスができるということで、僕はこの輸出型チャネルビジネスを推奨しているというのが現在でございます。
今日はね、ここまでちょっとお話をしたので、また次回ね、この続き、輸出型のビジネスでもっとポイントがいろいろあるので、その話をちょっとしていきたいなというふうに思います。今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。