森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日もね、前回の引き続きのライドシェアの日本的なやり方の話についてちょっとお話をしたいなと思うんですけども。ちょっと話し足りなかったのでね、少し話をさせてください。
前回、ライドシェアの解禁のやり方が非常に日本風だなというふうにね、徐々に徐々に解禁をしていって、問題がないことを確認して、またその解禁の領域を広げていくと。ライドシェアの魅力というのは、本来は空いている車と空いている人、時間と、それから、移動したい人がテクノロジーでマッチングするという、こういうことがライドシェアの本当の魅力なので、タクシー会社がライドシェアって、ちょっといまいち意味が不明なんだけども。(笑)「それはライドシェアじゃなくて、普通にタクシーでしょ」というふうに思ってしまうんだけども。まあまあ、日本はずっと禁止してきて、去年ぐらいから議論されて、ライドシェアが解禁になりましたよという。ただそのやり方が、一気に解禁すると問題が起きたら困るので、徐々に解禁していきましょうと。
こういう状況って、日本企業の新興国展開を見ていても、いろんなところで日本的なやり方というのが見えるんですよね。結局、われわれの中に「問題が起きたら駄目」というDNAがすごく深く掘り込まれていて、リスクを取っては駄目という、リスク=悪みたいなね。だから、リスクがあることを極力やらないで、であればスピードを遅めたとしてもちょっとずつちょっとずつやっていくんだと。「リスクは駄目だ」と、「転んではいけない」というね、こういうやり方を海外でもやっている企業さんってやっぱり多くて。
そもそもそういうやり方でやっている会社にリスクの高い提案をしてもね、なかなかやっぱりこれはのんでもらえないので、われわれもしないんですけど。一方で、欧米の先進的な企業であったりとか、少しイノベイティブな企業というのは、先にバーンとやってしまうと。これは合理的に考えていいよねと思ったらバーンとやってしまって。そのための仮説検証みたいなことはものすごくやるので、仮説の精度はめちゃめちゃ高いんですよ、調査をやりまくるので。調査をさんざんやってやりまくって、仮説をかなり硬くして、ドーンとやってしまうと。で、問題が起きたところをちょんちょんちょんと改善していく。そのほうが圧倒的にスピードが速かったりするし、マスで取れたりするので。
どっちがいいのかというのは僕もね、はっきり申し上げにくいんだけども、前者でやっている会社がいきなり後者のやり方をやったってね、これは体質に合わないという話だし、その逆も然りだしね。ただ、考え方として思うのは、何か大きなものを得ようと思うと、必ずそこにはリスクがあって、そのリスクを取るから大きなものが得られるという、ここの理解がね、僕自身もそうなんだけど、われわれ日本人というのは非常に、その相関関係をいまいちちゃんと理解していないという。リスクを取るから大きなゲインがあって、リスクを取らなければ、それは大きなゲインはない。ただ、失敗も最小限というね。
例えば、日本の救急車、見ていたら分かると思うんですけど、なぜこんなにのんびりしているんだろうと僕はずっと思っていて。ほかの国に行くと、本当に暴走特急みたいな感じで救急車が走っている国は結構あるので、非常にゆっくりですと。普通の車よりゆっくりじゃんみたいな。ゆっくりもゆっくり過ぎるだろうみたいなね。これは、ちょっと分からないですよ、僕も救急隊員ではないので分からないんだけども。もちろんね、二次的な事故が起きたら絶対いけないので、救急車に誰か引かれてしまったとかね、そういうことはいけないので、気をつけるということは当然やらないといけないと。なので、良い悪いとかっていうのではなくてね。ただ、今、救急車に乗っている人の命に別状ないと、あまり急がなくたって命に別状はないんだからゆっくりいきましょう、そういうケースもあると思うんですよね。ただ、だから、どっちが良いとか悪いとか言っているのではなくて。ただ、この救急車に乗っている人の命を救うために急がないといけない。この急ぐということは、事故を起こしてしまうかもしれないというリスクを取るわけですよね。このリスクを取ってでも、この人の命を救いたいから救急車は速く走るということなので、このギリギリのこのリスクを取りながら目的を達成するというね。だから、リスクを取るということは、ミスをするということではなくて、ミスを起こす可能性、大事故につながる可能性が高まりますと。ただ、救急車に乗っている人の命が救われる可能性も高まりますと。これはどっちをどう取るんだという話で。なので、リスクを取るということの概念が、そもそもちょっとわれわれは間違っているのかなという気がするんですよね。もっと果敢に取りにいくので。
もちろんね、リスクを取る企業も、それは何か嫌なことがあったらね、間違いを起こすと嫌なので、リスクは取りにいくんだけども、そのリスクを取りにいったときに、そのリスクでネガティブな方向に行かないために相当に仮説を組み上げていくということは、やっぱり事業戦略なんかだとやっていて、そこに調査を相当かけているということはすごく感じるので、情報戦だし、分析戦だし、そこはすごく重要だなというふうに思った次第でございます。どっちが良いのか悪いのか、皆さんはどうお思いでしょうか。
今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。