森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日も前回に引き続き、ディストリビューターのスイッチング、ディストリビューターの変更・切り替えについてのお話で。
前回ね、ここ5年10年ぐらいの中で結構頻繁にお客さんから問い合わせをいただく、アジア新興国市場でなかなかシェアが伸びないとか成果が上がらないのは販売チャネルが悪いのではないかと、販売チャネルが悪い=ディストリビューターが悪いのではないかと。なので、ディストリビューターを切り替えたらいいのではないかみたいなね、そういう相談を結構受けますよと。確かにディストリビューターの競争力比較をしたときに、今使っているディストリビューターが100でA社であると。B社は130の競争力があるから、単純に130の競争力のほうに切り替えれば30%分上がるのでいいではないかということなんだけども、そんな単純な話ではないですよと。そもそも新しくB社と付き合ったって、A社をマネジメントしているやり方と同じようなマネジメントをしていたら、効果は最大化されないので、基本的にディストリビューターを変えるというよりかは、ディストリビューターの付き合い方を変えるということがすごく重要で、どこにボトルネックがあるのかということがとても重要なんだと。結局うまくいかない要因をまず分解するということはすごく重要で、客観的に見て分解して、うまくいっている企業と比較するという、これをまずやらないと、ディストリビューターを単純に変えたところで、結局同じことの繰り返し。なんならせっかくもっと強いディストリビューターと付き合ったのに、切り替えでドタバタしてしまってシェアをさらに下げてしまいましたとかね、売上をさらに下げてしまいましたなんていうことに普通になってしまうので。やっぱり本当の要因がどこにあるのか、これってどうやって見ていくかなんですけど、自分たちでいくら「本当になぜ思い通りに動いてくれないの?」って自分たちのディストリビューターに聞いたところで本音なんて出てこないし、プリンシパル、メーカーに本音なんて絶対に話さないので。これはもう残念ながら、われわれのような客観的に見れる第三者の調査機関に依頼をして調査をかけるということをしないと、やっぱり本音は見えてこないんですよね。別にポジショントークしているわけではないんですけど、別に弊社でなくてもね、ほかの企業でもいいと思いますけど。
その企業がまず、いわゆる皆さんのブランド、会社との取引をどう捉えているのか、社内での優先順位がどの位置にあって、自分たちの経営資源の配分をどういうふうにしようとしている、また、将来しようとしている、本当の意味でのメーカーに対する不満であったり、要望みたいなものを丸裸にしていく。結構、過去の付き合い方を開いてみると、30年間、アジア新興国市場をあまり重要視していなかった、日本の消費財メーカーがね、はっきり言ってお任せしてきていて、あまりかまってもらえていなかったではないかと、20年30年ずっと任せきりでね、市場がない状態から彼らはやってきたと。そんな中で大した支援もしてくれないし、年間決まったバジェットだけもらってやっていましたみたいな。一方で、担当者は駐在員が4~5年でころころころころ変わって、いろんな施策や要望を出しているんだけども、要望を聞き入れてもらえるようなタイミングになったら帰任してしまって、また新しい人が来るみたいな、そういうことを繰り返しやっているわけですよね。そんな中でディストリビューター側も「このメーカーと話したって無駄だ」みたいなことを根深く思ってしまっている。経営同士のつながりもね、結局、オーナー社長とメーカー側の強固なつながりってどこまで図れているんだろうかって言うと、確かに新任の担当部長さんと一応面通しはしているけども、そんなに深い仲にもなれていないとかっていう状況の中でね、突然、日本のメーカー側がやる気を出したから、「営業頑張ってください」みたいなことを言われても、「はあ?」っていう話になってしまうわけですよね。ディストリビューターにとっては、今ある経営資源でどれだけ最大の効果を出すかということが一番重要で、なぜならファミリービジネスの利益を最も最大化できるから。そこから設備投資をしたりとか、経営資源を増やすとかってお金がかかる、コストがかかると。コストがかかって売上を上げるということはあまりしたがらないわけですよね。もっと先の世界がしっかり見えていればいいですし、メーカーとの関係がしっかり構築できていればそれもやるんでしょうけども、なかなかやっぱりそこは慎重になってしまうと。そうすると、今までの付き合い方をまず改めていくということをしていかないといけないし。
じゃあ、改めていくってね、昨日まで何十年間もこういうやり方をしていたので、「今日からピッピッとやります」なんか言っても、これはなかなか変わらないので、そういう意味で「もうディストリビューターを切り替えます」と言うんだったら、僕は全然いいと思うんですよね。新たなやり方がこういうやり方としてちゃんと確立されましたと。このやり方をやりたいんだけども、今の現状のディストリビューターではもう無理なので、新しいところに変えていきます、これはいいと思うんですけども。なかなかやっぱりね、今まで放っておいたのに、「今日からめちゃめちゃ管理しますので」と言われても、それはなかなかインセンティブを見せていかないとそうはならないので、本当にどこに問題があるのか。今まで自分たちはどういうふうに接してきていて、彼らがどう感じていて、今後何をしないといけないのか、それをすることによって彼らはどう感じるのかということをやっぱりしっかり整理をしていくということをやっていかないといけないですよね。
ちょっと今日も時間がなくなってしまったのでここまでにしますけども、ちょっとこの話もっと話したいので、また次回も話したいなと思います。それでは皆さん、今日はこれぐらいにします。また次回お会いいたしましょう。