森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日は、新興国事業における足腰を鍛えるというお話をしたいなというふうに思っております。
新興国、アジアを中心とした新興国市場におけるシェア争いで、これはB2Cの製造業でもB2Bの製造業でも一緒なんですけど、結局なかなかシェアが上がらない、もしくは想定通りの成果が出せない企業を分解していくと、製品に問題があるとか、価格設定に問題があるとか、もしくはプロモーションの内容がどうだとかって、もちろんそこが完璧に整っているかって言うとそうではないんだけども、基本的にはやっぱり販売チャネルが著しく脆弱であるということが顕著に見てとれると。そんな話をこの番組でも結構頻繁にしてきていて。特にアジア新興国市場って、一方的な製品の優位性よりも、競合との相対的な販売チャネルの優位性のほうが圧倒的に重要ですよ、圧倒的に売上やシェアに直結しますよという話をずっとしてきているわけで。
特に販売チャネルみたいなところに関して、日本のB2C、B2Bの製造業はかなり、何て言うのかな、重要視してこなかったっていう、そんな歴史があると思うんですよね。完全に直販だというような企業は比較的良くて、例えば超大型な装置をつくっているとか、こういう企業って基本的には直販をするので。ただ、つくっているものが小さくなればなるほど、単価が安くなればなるほど、絶対にディストリビューターを使って流通経由で販売しているんですよね。ほぼ99%ディストリビューターを使う形式で販売をしているというのが実態かなというふうに思います。もちろん併用しているというのは含みませんけども。そうなってくると、やっぱり販売チャネルをどうやって強化していくか。つまりはこれって新興国事業における足腰で、ここが弱いからシェアが上がらないとか、ここが弱いから目標に到達しないという、そんなケースが本当に非常にあって、ぜひお願いしたいのは競合調査をしっかりしてほしいということで。この競合調査もですね、余計なことをいっぱい調べる必要はなくて、チャネル周り、足腰周りの競合の調査だけをしっかりするということを考えるのが効率的で。
具体的に、「じゃあ、どういうことを調べるの?」と言うと、販売チャネルのストラクチャーがそもそもシェアが上がるようなストラクチャーになっていないじゃないと。ストラクチャーってどういうことかと言うと、どういう規模のディストリビューターを、どのエリアに、何社配置しているかみたいなね、これを競合と比べるだけで、自分たちの販売チャネルがいかに足りていないかということが一目瞭然で分かるんですよね。規模も負けている。数も負けている。次は組織体制、自分たちの自社もそうだし、社内のね、社内の組織体制もそうだし、それからディストリビューター側の組織体制。特にディストリビューター側の組織体制。どれぐらいの組織、チームを組んでくれているのか。3つ目がマネジメント体制。その組織がどういう日々活動をしてくれているから、こういう売上があるんだ、こういう結果があるんだって、この3つ。チャネルストラクチャーと、組織体制と、マネジメント体制、この3つだけを単純に比較することで、自分たちに足りていないものが具体的に見える。これをしていくことが足腰を鍛えるということなので、ぜひね、これをやっていただきたいなと。もちろんね、弊社でなくても結構ですし、弊社の提案を聞いていただいて、その上で他社にお願いしても、何でも結構なんですけど、ぜひ足腰を鍛えると。この足腰をしっかり鍛えると、売上やシェアというのは着実に上がってきますので、日本企業が足りないのは足腰の力だというふうに思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。