森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日も引き続き、少しちょっと競合調査的なお話をしていきたいなというふうに思うんですが…。
アジア新興国市場に展開をしていくとというか、新規でこれから出ていくというよりか、うちのクライアントももう9割以上、既に何十年も前から出ていてという中で、やっぱり成果が鈍化しているから、成果がいまいち著しくないので、それをどう上げていくかという、そういう目的でご依頼いただくわけなんですけど。その中でやっぱり一番多く、過去やってきているのって、競争力比較みたいなね、これってつまりは競合調査なので。基本的には競合を100とした場合に自分たちの競争力ってどれぐらいなの?と、70なの?80なの? それとも、110なの?120なの?と。まあまあ、100を超えるということはほぼなくて、なぜならば問題を抱えているということはやっぱり競合よりも劣っているということなので、競合が100だった場合に70なのか、80なのか、はたまた50なのか、それ以下なのかみたいなところが結構多くて。
具体的に何が問題なの?っていうことを見ていくときに、うまくいかない企業の問題は必ずマーケティングミックスの中にありますよと。プロダクト・プライス・プレイス・プロモーションの中にね、4つのPの中に、プロダクト・プライス・プレイス・プロモーションの4つのPの中にありますよというのは、この番組でも再三お伝えをしてきていて。特にプレイス、販売チャネルが、これはB2Bの製造業、B2Cの製造業ともに弱いという部分で。特にB2Cに関しては、近代小売はまだいいんだけども、伝統小売に向けた販売チャネルがつくれていなかったりとか、そういう課題が基本的には多いと。B2Bに関しては、やっぱり用途市場別のチャネル、理由なき1カ国1ディストリビューター制みたいなのを敷いていて、そもそも顧客にリーチできていないじゃんみたいなね、リーチ力が全然足りていないので、うまくいっていないみたいなケースというのは結構あって。それを明確に数値で表していくということが競合調査はすごく重要で。前回もお話したチャネルストラクチャー、それから組織体制、それからマネジメント体制、これらをいかに数値で表して、どれぐらい足りていないのか、どれぐらい補わなければいけないのか。この補わなければいけないというところがこれからの戦略とか戦術に結び付いていく話なので、やっぱりすごくそこって重要だよなというふうに思います。
実際に、ここの競合調査費用の捻出をうだうだしている企業って、やっぱり10年前とかね、5年前10年前の課題感と同じところで足踏みしているという企業がやっぱり多くて。やっぱり先進的な企業になればなるほど、この手の調査にバンバン予算をつけて、明らかにして前にどんどん進んでいくということがしっかりできていて。残念ながら、規模が小さくなっていけばいくほど、ここをなんとか自分たちの力でみたいな。でも、自分たちの力で競合の可視化なんて無理なので、自分たちの現場の営業マンが拾ってくる情報のレベルではね、なかなかやっぱりこういうことって数値で明らかにならないので。自分たちの前線の営業が拾ってくる情報というのは、これはバイアスが非常に大きくかかっていて。どういうことかと言うと、自分たちが見たい世界が伝わっていくわけですよね。しかも、何階層もの役職を通じて最終的には上に伝わってくるので、真実を見誤るという、客観的な可視化ではなくなっているというケースもやっぱり気をつけていかないといけないので。いかに客観的に見るかということがね、競合調査っていうのはすごく重要で。現場の都合で見たい世界が上に伝わっていくということは決してあってはならないんですけど、そうなるケースが非常に多いので、いかに外部を使って客観的にやるかということが重要なわけなんですよね。なので、ここを先進的な企業は調査予算を費用というふうには解釈していなくて、彼らはそれらを投資というふうに思っているので、自分たちが戦略をつくる上での投資であるということで。
結局、インプットをそうやって増やせば仮説の精度が上がっていくわけですよね。仮説の精度が上がるということは、実際に戦略の精度が上がるということなので、その戦略を実行したときに、ずれは絶対に出るんですよね。新興国事業、ずれは絶対に出ると。でも、そのずれのずれ幅が最小限で収まると。この最小限で収まるということはどういうことかと言うと、走りながら修正をして、次の仮説をつくるということができると。失敗してしまう企業というのは、どういうことかと言うと、仮説がそもそも弱いので、実際に実行してみたときに、出る誤差が非常に大きいと。誤差が非常に大きいと、走りながら修正をして、次の仮説をつくるということができなくて、どうなるかと言うと、立ち止まってしまうと。最悪の場合は撤退をするということになるので、撤退までね、早期に判断できればまだ良くて、立ち止まって現状維持で足踏みをするというね、これが5年間とか10年間とか続いている企業を全然見てきていますから。その間に担当が何人も変わるので、危機感もどんどん薄れていくわけですよね。なので、本当に競合調査は、僕はすごく重要だなと、新興国事業をやる上で。インプットがないのにアウトプットなんか出ないですし、ましてやアウトカムなんて絶対出せないので、競合調査をしっかりやって、インプットをつくるということは、僕は本当に大切だと思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。