東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:森辺さん、ハラル・ジャパン協会の佐久間理事長をお迎えして最後になるのですけども。
森辺:佐久間さん最後ですけど、どうぞよろしくお願いします。
佐久間朋宏(以下、佐久間):よろしくお願いします。
森辺:前回インドネシアにおけるハラルにまつわる日系企業の取り組みのお話をお聞かせいただいたと思うのですけど、このハラルって当然インドネシアだけではないし、マレーシアのお話もお聞きしましたけど、その他イスラム圏みたいなところのあれがあると思うのですけど、インドネシアに限らずイスラム圏におけるハラルにまつわる日系企業の取り組みのお話なんかをお聞かせいただければと思うのですが、いかがですか?
佐久間:世界人口の4分の1のイスラムマーケティング、ハラルマーケティングと言うのですかね。この部分を、地球を俯瞰したときにもう少し考えてみたいなと思うのですけど、まず日本人の頭として東南アジアに行ってからではないと中東へ行けないみたいな。アフリカに行けないみたいなイメージがあると思うのですけど、そうじゃなくて、少し勉強して商品によっては直接アフリカに行くこともできるし、中東に行けることもできると。そんな風にもリスナーの方にぜひ思っていただきたいのと、実は今すぐ日本のものを買っていただけるハラル商品というのがあるのです。それはどこかというと、ヨーロッパにいるイスラム教徒4000万人。それからアメリカにいるイスラム教徒300万人。この方達には日本のものを買える民力があるのです。それをきちっとアプローチするという。ここが実はまだみなさん気付いていないところであるので、欧米のイスラム教徒にアプローチをするということも、まだまだ考えられるのではないかというのが1つと、ドバイと最近よく聞きますよね。やはりドバイとかシンガポール、この辺をやっぱハラルのハブないしはハラルのショーケースとして機能させて、どこの国を狙うかと。どこの国で作って、どこの国に売るかによってどこのハラル認証を取得すべきか。またはハラル対応をどうすべきか。これが実は分かるのですよね。これを理解すると1番イスラムマーケティングで1番今重要じゃないかと思っています。
森辺:これでもあれですよね。中国の少数民族を相手に認証取りましょうと勉強しましょうという、そういう話じゃないじゃないですか。世界人口4分の1のイスラム圏の人のためにハラルを学んでやっていきましょうという話なので、ROIに全然合いますよね。費用対効果ね。
佐久間:そうなのです。これから多分今瞬間で見ると中々日本は非イスラム国家ですから現実的にすぐ理解しにくいところがあるかもしれませんけど、やはりグローバルスタンダードの世界で地球を俯瞰したときに、考えたときにこのイスラムのマーケットを取り組むのか取り組まないのかも含めて考える上での勉強をするというのは非常に重要じゃないかと。その証拠に、やっとアフリカに味の素が工場を作り、トルコに工場を作り、それから日清製粉のカップヌードルが工場を作って、カップヌードルを作ろうと。もちろんハラルです。ハラルで対応しようと。そういうことなのですよね。こういう日本企業の大企業の今事例かもしれませんが、中小企業も含めて取り組むというのは非常に増えてくるんじゃないかなと、そんな風に思います。
森辺:ちょうど佐久間さんをゲストでお招きする前のゲストが、ドバイでビジネスをされている会社の方だったので、そのときに全くハラルのお話はお聞きしなかったのですけど、佐久間さんにゲストで来ていただくことが分かっていたので。けどドバイなんかも本当に今色々な国からかなりバイヤーが来られてるっておっしゃっていたので、ハラルの必要性というのは今回佐久間さんにお聞きして、ますます感じたところではあったのですけど、やっぱりそうですよね、イスラムマーケティングをどうしていくかというのは今後の日本企業の会社にとっては非常に大きなあれですよね。
佐久間:大事なことなのでもう1回言いたいですけど、どこの国で作ってどこの国に売りたいか。タイで作ってドバイに売りたいのか、インドネシアで作ってインドネシアに売りたいのか、マレーシアで作って日本に売りたいのか、日本で作ってヨーロッパに売りたいのか、それによってハラル対応が変わってくると。これを企業の方は覚えておくとかなり参考になるという風に思います。
その証拠に、味の素は7つもハラル認証を持っているし、ヤクルトは5つのハラル認証を持っているし、やっぱり違うのですよね。国々で1つのISOやサップやそういうGAPのようなものではないので、ハラル認証は今1つの認証制度になっていないと。このことも含めてイスラムマーケティング、ハラルマーケティングというのを考えると、よく理解出来るんじゃないかなという風に思います。
森辺:進んでいる先進代企業、さっき言った味の素さんですとか、ヤクルトさんとか、そういうところってハラルに対する知見を高めていく、その上で認証をどう取るかということをスタディしていくと実際にとられて、ということとマーケティングと両建てでやってて、結局チャネルないのにハラル認証をとっても意味が無いってまさにそうじゃないですか。だからこのハラルというものと、マーケティングって両方並行して進めていかないといけないと思うのですよね。なんですけど、日本の会社の多くがこのマーケティングもそうだし、ハラルの認証もそうだし、ちょっと舐めて終わるというかね。ペロっとやって足踏みしてしまっているような企業さんが結構多いような印象があるのですけど、その辺はどうですかね?
佐久間:まずハラル対応のこともそうなのですけど、そもそもハラルを勉強してハラル認証ありきでいくんじゃなくて、まずそのハラル認証ないままでも良いので、まず売り先を見つけるという、そういう努力をする。その中でチャレンジしてみます。そうすると上手くいきましたというケースであれば、ハラルないままでもちろんその事業を僕はされていけばいいと思います。その中できっと、多分、もっと売り上げをあげるためにハラル対応をしたほうが良いと。もっと売り上げをあげる、ここですよね。このときにハラルの今まで勉強してきたノウハウと蓄積と、そこにハラル認証をとったらというとこで加速して販売量が増えるとか、市場が広がるとか、まさにそうだと思います。
ヤクルトさんあたりはほとんどハラルで最初展開するのじゃなくて、現地の工場はハラルじゃないので展開をしてから後付けでハラルの工場ということですから、僕はこのやり方が大企業でも中小企業でもきっと同じじゃないかなと。まずは、ハラルは勉強しても良いけど、ハラルをすぐやりなさいじゃなくて、順番は少し考えて。売り先を見つける。これはすごく大事なことなのでもう1回言わせていただくと、売り先を見つけてからハラル対応をすると、またはハラル認証をとると。そういう方法が重要じゃないかと思います。
森辺:今導入期から成長期でブーストするタイミングでハラルを入れていくと。そんなイメージですかね。
佐久間:そうです。それだと非常にうまくいくし、設備投資も場合によってはしやすいと思います。
森辺:お客さんの中でもイスラム圏はハラルが難しいから足踏みしているというお客さんが結構いらっしゃるのですけど、おっしゃる通りでハラル云々の前にチャネルがないから。
佐久間:そうですね。チャネルをつくる、まさに森辺さんがおっしゃるチャネルをつくる。ノン・ハラルということをきちんと謳って、情報開示をして、他の売りを、アプローチを見つけながらローカライズ。ローカライズイコール必ずしもイスラム教徒じゃないというところもあるし、場合によってはイスラム教徒の心をくすぐる商品設計ができているかもしれない、サービス設計が出来ているかもしれないので、そういったところはちゃんと考えてみて、情報開示をすると。嘘じゃないので、ノン・ハラルならノン・ハラルということ、アルコールが入っているならアルコールが入っているってことをちゃんと開示してアプローチしていくと。こういうのが重要じゃないかなと思います。
森辺:ノン・ハラルでもいけないというわけではないですもんね。
佐久間:そうです。日本人の頭はすぐイスラムイコールハラルでないと売れないみたいな。そんなことは全然ないので、その辺は頭をもう少し柔軟に。現地をやはり見る、または現地のパートナー、または進出コンサルさんと一緒に聞く、または見てみるという、そういうことが重要だと思いますよね。
森辺:ハラル・ジャパン協会では、認証機関みたいなイメージが持ってしまっているリスナーもいらっしゃると思うんですけど、あくまでも認証機関ではなくて、ハラルの本当に必要性をしっかりスタディをしていくと、そういう非営利の。
佐久間:一般社団です。
森辺:その中で当然マーケティングみたいな、チャネル構築みたいなお話も佐久間さんからお聞きするので、そんなことも、いわゆるハラルの前のベースのところもスタディを一緒にしていきましょうと、こんな取り組みをやっている企業なのですよね。
佐久間:僕らは少し趣向が変わっているかもしれませんけど、まず何でハラルをやるか。売り上げをあげたいためですから、結局売り先を見つけると。売り先を見つけるためにどうしなきゃいけないか。商談会に出る、展示会に出る、またはバイヤーとマッチングする、またはPRする。こういったことを出来るだけ私どもも会員の方が中心になるのですが、ご案内したりしてドバイの商談会を行ったり、または私どもが出る展示会に共同で出たりとか。そんなことを案内して、とにかく売り先を先に見つける。売り先を見つけたあとに何か新しい対応が必要ならハラル対応もその内の1つだという風に考えていますので、我々は出口戦略。出口戦略というものに重きを置いた協会だと、そういう風に言っても過言ではないかと思います。
森辺:出口戦略は多分海外展開の中で1番重要な言葉で、今まで結局お客さんの1番したいことを突き詰めていくと、この商品売りたいとそれにしかりなんですよね。調査をしたり、コンサルをしたり、それも売るために必要なことなんでしょうけど、結果として出口がなければ何やっても意味ないですから。
佐久間:ぜひ森辺さんと一緒に販路を開拓するということも一緒になって、我々協会とやっていただければ、会員の方も喜んでいただけると思いますのでね。
森辺:ぜひぜひ。でも、僕ごめんなさいね、フランクな話で。ハラル・ジャパン協会の理事長とかっていうんでね、あまりマーケティングみたいな発想はどちらかというと協会とかってなさそうじゃないですか。無いかなと思ったのですけど、今回こうしてゲストで来ていただいて意外や意外、やっていることってイスラムマーケティングに一緒に取り組みましょうという、こういう話しですもんね。
佐久間:イスラムマーケティングというのをハラルというキーワードを使って一緒にきっかけづくりをして取り組みましょうと。そういうことをやっているので、まさに僕は、マーケティングは重要だと思うし、今このハラルについて言うと日本の現状はニッチでありまだ先行者と。先行者。始まってばかりというところで大企業も中小企業も東京の会社も地方の会社も横一線で始められる。これは珍しいビジネスカテゴリーなので先に勉強しましょうよ、取り組みましょうよということを全国各地で声を大にして言っています。
森辺:パン屋の前々回ぐらいにお話いただいた番狂わせ。あんなのはロマンがありますよね。
佐久間:いっぱいありますよね。きっといっぱいこれからできてくることでしょうし、日本でこれから頑張っておられる会社さんがね、今のままでは新しい売り先がなくて事業継承できなくて無くなってしまうような会社は、このハラルをきっかけに、ひょっとしたら海外で伸びて事業がますます発展して、日本の美味しいものや素敵なものや伝統的なものが残るという部分では、非常に中小企業も含めた事業継承にも使っていただけるんじゃないかなと。こんな面白さも感じております。
森辺:分かりました。そうしたら佐久間さん最後にリスナーの方々になにか熱いメッセージがあれば。
佐久間:ハラルはみなさん他人事じゃなくてですね、ぜひ食わず嫌いではなく、イスラム教だからと言って怖いとかテロとかそういう印象だけではなくて、イスラム教を新しく勉強してこのハラルを勉強すると必ずみなさんの会社の事業の戦略の1つになるかもしれませんので、1度門を叩いていただき勉強していただくと、多分分かっていただけるんじゃないかと、そんな風に思っています。よろしくお願いします。
森辺:ありがとうございます。そうしたら詳しくはハラル・ジャパン協会で検索をしていただいて、ホームページに載っていますと。
佐久間:見ていただければ。よろしくお願いします。
森辺:佐久間さん、4回に渡りどうもありがとうございました。
佐久間:どうもありがとうございました。