森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日もディストリビューターのお話をしていきたいなというふうに思います。対象はアジア新興国市場で、今日の話はね、B2Bの製造業も聞いてもらってもよろしいと思いますけど、メインはFMCG、食品・飲料・菓子・日用品等の消費財メーカーになってきます。
どういうお話かというと、ちょっと前にもね、「誰と売るか」よりも「誰に売るか」が重要ですよというお話をしましたけど、消費財メーカーにとって一番重要なのは商品を買ってくれる消費者であるということはまず大前提としてあって。ただ、その消費者が最も接点を持つ売り場というのが小売なわけですよね。だから、そこも「誰に」という意味では非常に重要で、消費者の層によってはAという小売店で接点を多く持つ傾向があったり、Bという小売店でより多くの接点を持つ傾向があったりと、まちまちですねと。このときに小売をアジア新興国市場で例えるならば、例えるならばというか、アジア新興国市場の小売を見ていくと、大きく近代小売と伝統小売の2つの小売があるわけですよね。近代小売(MT)と、伝統小売(TT)がある中で、多くの日本の消費財メーカーを見ていると、これは輸出であろうが現産現販であろうが、基本的にMTに対する販売においても非常にディストリビューター頼みのところが少なくないと。一方で、伝統小売に皆さんどの企業も課題があって、伝統小売のディストリビューション・ネットワークというのがなかなかつくれてなくて。これははっきり、近代・伝統とね、MT・TTを分けたときに、考え方としてあるのは、MTに関しては基本的にメーカーが直接小売と話さないと駄目というのが大前提で、先進的なグローバル企業で直接小売と話をしていない、商談していない企業なんて1社の例外もなくないんですよね。現産現販、現地に現地法人があったらもう120%直接現地の主要近代小売とは話をしていますと。そこでコミュニケーションを取って関係を構築していかないと、いつまで経ってもある一定の部分はディストリビューターに依存をしてしまうので、基本、このMTに関してディストリビューターを使うにしても、これは運ばせるだけとかね、配荷するだけ。ただ、多くの場合はMTのセントラル物流センターにドーンと商品を入れてしまえば、あとは小売側で各店舗に配荷をする。マージンの多い少ない、マージンが違うので、こっちで各店舗に配荷したらマージンが安くなるとかね、いろいろあるので、その調整は別にしてもね。基本的にはMTというのは直接メーカーが商談をしますと。
重要なのは、このTT、ディストリビューターが重要なのはTTのほうで、いかにここでストアカバレッジを最大化するディストリビューション・ネットワークをつくれるかということが重要なわけですよね。この番組でも、私の書籍でも書いていますけど、ネスレリーバモデルとか、PGモデルとかって、いろんなディストリビューション・ネットワークの型があって、それをつくっていきながらストアカバレッジを伸ばしていって、配荷を最適化していくということになるので、基本的にディストリビューターが重要なのっていうのはTTですよと。MTは直ですよと。直ですよというのは、商談は自分たちでやりましょうねと。結構ここ10年ぐらいの課題を整理して傾向を見てみると、1つはやっぱり近代小売とのコミュニケーションがディストリビューターを通じて取っているので、なかなか最適なコミュニケーションが取れていない、そこが要因になってなかなか問題がうまくいっていないみたいなね。基本やっぱり小売の力ってものすごく強いので、ディストリビューター、アジア新興国のディストリビューターは、正直、残念ながらやっぱりノーとは言えないんですよね、小売に。ひどいところはもう御用聞きになっているし。そうすると、やっぱりメーカー自身がしっかりと話をしていくということをやっていかないといけない。一方で、ディストリビューターをしっかり活用していくというのは伝統小売ですよという、ここの整理がね、ここが混在してしまっている人も結構いるので。基本的な考え方としてはそうであるということを頭に入れておいてもらえればなというふうに思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。