森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺でございます。今日はフィリピンですね、フィリピン。対象はFMCG、食品・飲料・菓子・日用品等の消費財メーカーが対象になります。B2Bの製造業のリスナーの方がいらっしゃいましたら、自分たちの事業とかインダストリーに置き換えて聞いていただければなというふうに思います。
シリーズ、VIPのベトナム、インドネシア、フィリピン、VIPですね、VIP市場において消費財メーカーがマーケットシェアを広げていく上で重要となるポイントみたいな話をずっと、ベトナムからインドネシア、フィリピンとしてきましたよと。もともとタイ+VIPみたいなところで話をしますという話をしていて、V、Iが終わって、今日はフィリピンということで、フィリピンのお話をしていきたいなというふうに思います。
まず、市場規模から見ていきたいんですが、フィリピンの小売市場規模はおおよそ23兆円ぐらいですね。今の為替レートで23兆円ぐらい。インドネシアが43兆円ぐらいですから、まあまあ半分ぐらいのサイズで、ASEAN6の中では2番目に大きな市場であると。なぜならば人口が1億超えていますから、1億強と。このVIPはね、もう人口がやっぱり非常にASEANの中では大きい。タイも大きいんですけど、特にこのVIPは、ベトナムで1億弱、インドネシアで3億弱、フィリピンで1億強と、1、3、1というふうに覚えてもらったらよろしいと思うんですけども、非常に大きな市場ですねと。
このフィリピン市場なんですが、まず考えないといけないことっていうのは3大小売の市場であるという、財閥が、フィリピンも財閥の国、タイと同じ、タイ、インドネシアと同じ、財閥が牛耳っている国。一説によると経済の7~8割は財閥が牛耳っているのではないかと。銀行から不動産、小売、ホテル、鉱山とか、いっぱいいろんなことをやっているコングロマリットですよね。通信、電気、インフラ、建設、ありとあらゆるものが財閥によって牛耳られていて。もともとフィリピンってスペイン系の財閥と中華系の財閥があって、もう今はスペイン系の財閥ってアヤラ財閥ぐらいで、もうあとは全部中華系の財閥なんですよね。私もスペイン系の財閥の、もともとスペイン系の財閥の子孫みたいな友達がいるんですけどね、財閥って言うと、もうほんとにちょっと桁が4桁5桁ぐらい違うぐらいのすごさなんですけど、旧スペイン財閥の人たちは、なんとなくわれわれ、われわれに近いと言ったらあれかもしれないですけども、想像しやすいお金持ち、非常にメトロマニラでも良い区画に住んでいますし、いわゆるその地域一帯がガードマンで警護されているような、例えば田園調布とかね、東京で言うと、関西で言うと六麓荘みたいなね、そういうエリアがメトロマニラの中にもいくつかあって、そういうところに住んでいるお金持ち。ただ、想像しやすいお金持ちですよね。一方で、財閥系の人たちっていうのはね、もう、ちょっとテレビドラマに出てくるような感じなので、僕が、中・高、シンガポールに住んでいたときもね、インドネシアの財閥の子どもとかが学校に通ってましたけども、アメリカンスクールに通ってましたけども、やっぱり休みになると父親と母親がプライベートジェットでシンガポールに子どもに会いに来るとかね、だから、チャンギ空港に迎えに行くみたいな、プライベートジェットって何だろうみたいなね、そういう感じで。学校にもやっぱりリムジンで送り迎えされていましたから。今思うと、「ああ、あれは財閥の子たちだったんだよね」っていう、今はそういうふうに理解をね、「ああ、そうだったんだ、君」っていう。小さい頃はあんまり、「お金持ちなのかな?」ぐらいのあれですけど。でも、だいぶ桁が違う。
フィリピンも同様に財閥で。この3大小売っていうのがね、3大小売のうちの2社、SMとロビンソンズとピュアゴールドって、いわゆるフィリピンの3大小売というのがあるんですけども、ここのうちのSMとロビンソンズは、これは財閥系です。ピュアゴールドに関しては、これは財閥ではなくてタイクーンなんですよね。まあまあ、タイクーンってどういうふうに訳すべきかって、一代で築いている実業家的な感じなので、財閥とはちょっと違うんですけど、タイクーンがピュアゴールドは率いているということで。この3大小売の力が非常に強い。特にSM。シューマートで有名ですけどもね、シューマート、もともと靴屋さんだったので。なので、この3大小売が非常に小売交渉力を持っていますよということと。
あと、インドネシアほどではないんですが、このフィリピンも大きく分けて3つ、無数の島があるんですけど、大きく分けて3つの島に分かれていて、一番上のね、メトロマニラがあるルソン島と言われるエリアと、それから真ん中のセブ島があるビサヤスという、ビサヤス島と言われる、いくつもの島で形成されているエリアと、あと、一番下のダバオなんかがあるミンダナオ島という、この3つの大きく島エリアに分かれているので、ディストリビューションも大きく3つのエリアに分かれていきますよと。
もう1つが伝統小売の存在ですね。これもフィリピンの主要な近代小売の数って9,400店舗ぐらいですね、弊社のカウントで。1万店ないぐらいですから。一方で、伝統小売というのは80万店存在して、この伝統小売がね、ほかのASEANの伝統小売とはまったく違っていて、基本的に消費者にも業界にも行政にも守られた存在なんですよね。これほどまでに伝統小売が地域や人々に馴染んでいる国、必要とされている国というのは、僕はなかなか見たことないなと思っていて。全体で、これサリサリストアと言うんですけどね、小さなお店という意味ですけど、サリサリストア、Traditional Trade、伝統小売が守られている、そういう特殊な市場であるということで、ASEANの中で最も伝統小売が生き延びる国はどこかと言うと、おそらく僕はフィリピンが一番。どのみちデジタル化で生き残っていきますけどもね、僕の予測ではね。なんですけど、フィリピンは特にね。なんなら今、増えていますから、伝統小売が、フィリピンはね。なので、非常に、今回のコロナでも守られたし、ベトナムの伝統小売なんて散々な目に遭ったのに、フィリピンの伝統小売はやっぱり行政からの小口ローンが積極的に支援されたりとか、日本で言うところの中小企業ローンみたいなやつですよね。なので、非常に伝統小売が特殊ですよということで、この3つがキーになってくると。
次回以降ね、少し詳しくお話をしていきたいなというふうに思いますので、また皆さん、次回お会いいたしましょう。