東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:森辺さん、今日は素敵なゲストをお迎えしているのですけども、ご紹介いただけませんでしょうか。
森辺:CMRCの徐向東さんをお招きしております。CMRCの代表で、中国ビジネスをやっていて徐向東さんのお名前を多分知らない人は中々いらっしゃらないとは思うのですけど、除さんどうぞよろしくお願いします。
東:よろしくお願いします。
徐向東(以下、除):除です。どうも、こんにちは。CMRC、正確に言いますと社名は長いですけれども、株式会社中国市場戦略研究所と申します。そのまま名前の通り中国ビジネスに特化した専門の会社です。
森辺:会社名は有名ですよね。中国市場戦略研究所というのは。
除:そうですか。色々な方からあまりよくない名前とか長過ぎるだとか、今更これを直すわけにもいかないから、Yahoo!で中国市場を検索すると必ず1位には出てくる企業なので。
森辺:それはリスティングか何かやっているのですか?
除:リスティングはもうやっていません。中国市場と入れればそれが自然に上に来ますので。
森辺:それだけ中国ビジネスにおいては有名な除さんなのですけど、まだリスナーの方で徐向東という名前を知らない方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれないので、除さんの自己紹介、会社を含めてしていただいてもいいですか?
除:分かりました。日本に来てからかれこれ20年近く経ちましたけれども、元々日本に来る前は北京のほうで大学の先生をやっていまして、一応日本の文部省の奨学金で日本に来まして、結構学校にいる時間も長かったので、博士号までとれました。
森辺:除さんって大学の先生だったのですね。
除:そうです。向こうでも大学の先生、日本でも大学の先生、中央大学だとか専修大学だとか、いくつかの場所で教えていましたので。博士号はとれたのだけど地方の大学へ行くのが、躊躇があってですね、東京都内で就職しました。
最初に入った会社は日系のグループの会社で、これは全部トヨタと日産の仕事なのです。元々博士課程にいながら東京中と年がら年中中国で調査をしていまして、その経験を買われましてトヨタ、日産の車の市場調査の仕事をさせてもらったのです。それが3、4年。4、5年ぐらいやったあとに、ちょうど本も出しまして、外で講演も増えましたので、ある会社にスカウトされコンサルティング会社に行って、そこもかなり中国に特化した会社で。
森辺:有名な森ビルに入っている法律コンサルですよね。
除:そこのコンサルティング部門で2年間やりまして。結構マーケティングに特化した会社、仕事は増えてきたので1つの単独の会社として独立しましょうと言ってですね、2007年にこれを独立させましたので。実際仕事は2005年あたりからもうやり始めましてですね。今のコンサルの仕事です。それが今日までになるというわけです。途中で万博がありました、上海万博。そのときには上海でオフィスを立ち上げまして、今はもう日中は、うちは今社内で逆転していて、中国のほうが圧倒的に人数が多いですね。
森辺:元々日系の大手のコンサル会社の上海の総経理か何かやられている?
除:いや、東京側の総経理で上海も管轄していると。
森辺:中国ビジネス全体を見ていて、正式には2005年に。
除:2007年です。2007年に今の会社を作ったのです。
森辺:それは、本社は今?
除:東京のほうに。
森辺:ですけど中国のほうが勝っていると。
除:中国のほうにも会社があって。ただ現場の仕事が多いので、どちらかというとそちらのほうが、スタッフが完全に多いですね。
森辺:書籍なんかも出されて、テレビなんかも結構除さんを。
除:一時は出ていましたけどね、最近は仕事が忙しいから出れなくなりましたけど。
森辺:なるほど。中国ビジネスをずっとやっていて、今この中国市場戦略研究所というのは主にはどんなことをやられている会社なのですか?
除:基本的には日本企業の中国進出にまつわる、たとえば消費者調査、マーケティングリサーチ、それ以外に企業調査ですね。競合の調査だとか、一通りリサーチ関係はうちが全部やっておりまして。最近大分増えてきたたとえばインターネットを使った少し値段を下げた調査もやっていますので、500万人ぐらいのパネルを使ってやっていますから、それ以外に今たとえば最初の省にいくときには商標ぐらいはきちんと守りましょうと。ネーミングを作って商業登録しましょうと。そういったところからスタートして、途中からたとえば会社を設立すると。そういったこともサポートをしていて、ほとんどの市場調査をやっております。あとは実際最近特に増えてきたのは、プロモーション関係の仕事です。そこは日本と中国は大きく違っていて、リサーチをしてから時間がたってからプロモーション。日本はステップバイステップで時間かかりますけど、中国はそうはいかないので調査をしながらプロモーションをはじめましょうと。だから我々上海ではプロモーションの仕事もやっておりますので。最近日本国内の仕事もかなり増えてきたのですね。これがインバウンドと言いまして、中国の本誌旅行です。昔は大きい会社の中門部ですね。海外戦略はほとんど付き合いが多いのですけど、最近は国内販売部の結構キーパーソンと話しをしたり、仕事をしたりしています。
森辺:インバウンドのオリンピックまでは色々と。
除:そうです。中国人は大分1人辺りかなり日本での落す金額は大きいですけど。
森辺:プロモーションの何か、除さん早くからやっているというイメージが僕、外から見ていてあるのですけど、調査をしたあといかに商品を可換していくかというためのネットプロモーションであったり、実地のオフラインのプロモーションなんかを中国で支援していると。
除:1番最初はうちが結構色々な会社のブランド、商品のブランド、企業のブランド、それに中国名をつけましょうと、商業登録をしましょうと。その次に自然と次に出てくるのが、中国のオフィシャルサイトぐらいは持ちましょうねということです。これは結構現地の仕事なのだけど、日本の会社の公式オフィシャルサイトをずっと作ってきました。公式サイトができていて、商品もできていて、次はどうするかと。基本的には周知してもらっています。みなさんに知ってもらって買ってもらわないといけないので、これがテレビというのはあるけれども、どんどん今の時代はインターネット。テレビではなくなってきている、ほとんどの人がインターネットを使って情報を検索していますので、いかに早く日本の商品が中国人のところに情報を届けていくか、これがとても大事なので、これが最近こういった仕事がかなり増えてきていますね。
森辺:大手が結構多いイメージなんですかね?
除:そうです。大手とあと中堅です。大手と中堅の違いというのは、大手の会社の場合は仕事がやはりパーツ、パーツになっていって、調査だけをお願いするだとか、そういったような頼み方ですよね。中堅の場合は結構丸ごと、最初から最後まで全部我々がサポートしてやっていると。こういったような感じです。
森辺:そうですよね。除さんのところは調査、中国はやはりすごく強くて。僕もう売却してしまいましたけど、元々調査会社のときに徐向東さんのところも調査で競合だなと思ってたまにホームページを見たりとか、除さんあんなんだとか言って、あれして。今はもう売却しちゃったんで調査は必要に応じてやりますけど、そんなのですごくウォッチをしていた会社だったりしていたので、今日こうしてゲストで来ていただいて大変嬉しいなというところで。
どうですか、最近の中国ビジネスというか、日中問題の悪化で中国からASEANにシフトみたいな流れが早いところで2011、2年。10年ぐらいですかね。ピークになったのが多分2012年とかそんなぐらいかと思うのですけど。最近だと撤退セミナーとかというのが非常に流行っているなというのを聞くのですけど、どう見ても中国のマーケットの大きさを考えたら、今更撤退している場合じゃないだろうと僕は1つあって。それとあと日中関係の悪化が自身のビジネスに影響するほど、あなたたちのビジネスは本当に大きくなっていますかというのが1つあって。中国を撤退なんていうのは別の理由なんじゃないの?と。日中関係が理由ではなくて、そもそも別のところに理由があるのではないですかというのはすごく思うのですけど、その辺はどうですか?
除:少なくともうちの会社の技術規模から言いますと、ほとんど今の政治関係に影響されないままでずっと拡大していって。もう1つは東京よりは上海支店のほうが拡大しています。実はこれも同じように日系企業なのですけど。結局確かに撤退する企業がいたり、あるいは最近中国は空気もよくないから日本人の駐在員の数も少なくなっていたり、そういったニュースを見るとどうやら中国はいっときのブームがなくなったというような言い方がされますが、実際数字を見ると一目瞭然なんで。日本の最大の貿易相手が今中国なんですよね。アメリカではないです。ビジネス規模は年々拡大していまして。ですから、要は元々退出、進出が、時間が長かった。もう30年もありましたよね。大半の会社はビジネスモデルが既に今の時代に合わなくなってしまっていまして。
つまり当初中国は安い製造基地として捉える日本の会社が多かったんですよね。中国で作って日本に持って帰って日本で売ろうだとか、儲かろうとか、そういった会社は全部ダメなのです、今。それが中国国内でそうなのです。中国国内でもかなり外部マーケットに依存する会社は、実はあまり調子よくない。今どちらかというと内需、国内に販売の会社が今強いですよね。
だから、この時代にうまく適応出来なかった会社はやはり今景気がよくない、中国から撤退するしかないとか、そういうような会社が多いので、これが5年ぐらい前から私が上海で既に会社を作ってしょっちゅう向こうに行くのだけど、自分の同年代のクラスメイトとか、現地の日本の会社の社長がいたりして、自分の会社が最初の10年間はよかったんだけど、これは全部日本にあってだんだん今売り上げが上がらなくなってしまって、中国は社長が中々踏ん張って中国はやらないので、だんだんやはり規模がシュリンクして自分も社長なのにやる仕事がなくなってしまったとか。こういった話をよく聞きますので、そういったところでうまく切り替えた会社は今元気が良い。そういう時代から上手にビジネスモデルの切り替えが出来なかった会社は今調子が悪い。
片方でたとえばB to Bでもそうですね。実は我々はよくB to Cで、一般消費者に向けて送っている商品の会社をよく見ますけど、日本も結構B to Bの会社、目立ってはいませんけど部品だとか、原料だとか、そういったものが中国ですごく売れている会社がいっぱいあるのですよね。その中でも実は今中国に対して商売をやっている会社がものすごく商売繁盛なのです。中国でしか作らない、販売先は海外にある会社。これが全部よくない。もう1つは、同じ中国でも沿海部でしか逆にない会社、これがダメなのですよ。大きいインフラ層も全部シフトして、国内の内陸のほうにシフトしているから、早く会社をそっちのほうに移しておけばよかったのだけど、ずっと沿海でやっていますから人件費もかかっていますし、売り上げが下がっているので、だから会社がどうするかと。もう閉まるしかないと。本当は内部のほうに大きなマーケットがあるのにも関わらずね。
だから日系は結構二極化しているのですよ。うまく行く会社はどんどんうまくいって、うまく行かない会社は大分それが悪いと。全体の商売規模は決して日中の間では悪くなってはいません。むしろ拡大していると思います。
森辺:そうすると政治の云々が全く影響していなかというとそうは言わないけど、結局それ以外のところに事業モデルのところにそもそものボトルネックがあるんじゃないのと。そういうことですよね。
除:やっぱり中国はもちろん共産党の一党独裁の国ですから、政治の力が依然として大きいんですけれども、ただマーケットから見ていきますと中国は日本一の市場主義です。市場経済ですよね。だからある商品がこれは売れるか売れないか、これははっきり言ってそんなに日中の経済、関係は影響されない。一時期はありますよね。車で尖閣の直後に少し、あれはほんのわずか数ヶ月です。その後に今日系の車が売れていますのでね。
だからあまり一時期の経済的な変化で、日本語で一喜一憂、心があまりすぐ変わることはよくないので、長めで日中経済を見ておかないと。やはり僕は20年日本にいるから何度もあったではないですか。だからだんだんそのとき、そのときの変化には振り回されないように、安定した心をもたないと対中経済は出来ないと思います。
森辺:戦略が甘いというかやわいというか柔らかいというか、魚群のように移っていく。経済誌が中国だ、何とかだ、ベトナムだ、何とかだとこぞってドーンと移っていくというのは魚群のような海外進出をしがちなんですけど、本来は個々の企業によって経営環境も違うわけですから、自分たちで個々の戦略に合わせた海外進出をしていかないといけないのに、中々そうなってない企業が多いという、そういうことですよね。
除:やはり現地にいない会社が、議論が上辺ですよね。今メディアを読んで、日経新聞を読んで、テレビを見て気分がしょっちゅう変わっていますけど、現地に足はちゃんと踏み込んで商売をやっている会社は、そういったことにはほとんど振り回されないです。
森辺:なるほど。分かりました。除さん、今回はこれくらいでお時間来てしまいましたので、また次回も引き続き中国ビジネスの話をよろしくお願いします。
除:よろしくお願いします。