森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺一樹でございます。今日も引き続き、前回に引き続き、ディストリビューターとの契約についてお話をしていきたいと思います。これは、対象は新興国市場、ASEANに限らない新興国市場で、製造業、B2CもB2Bも問わずになります。
前回ね、ディストリビューターとの契約、これから新規に契約をしていく、新規に展開をする地域で新たにディストリビューターと契約するケースもあれば、今すでにもう進出して数十年で、ここに来て販売チャネルの再構築の真っ最中でディストリビューターを替えていくみたいなね、そして、新しいディストリビューターと新規で契約をするみたいなケースがあると思いますが、その2つのケースで想定してもらったらよろしいのかなというふうに思います。
日本の製造業さんのディストリビューターとのディストリビューション契約、かなりの数、私はレビューしてきましたけども、守りの部分は完璧だけども、攻めの部分が弱いですねというお話を前回からしていて、この番組でも何回かその話をしましたけども。その攻めの部分について、特に独占を与えるのであれば、しっかりと目標数値を明文化する。目標数値がそのまま明文化されて契約書に載せるということはなかなかディストリビューターの抵抗もあると思うので、「目標が100だとすると、最低例えばこれぐらいはやりましょう」みたいな数字を別途ね、契約書なのか覚書に残しておくということは重要です。
そのトーンをね、どれぐらいのトーンでギブとテイクを出すのかということなんですけど、これってやっぱり、そもそもこういうことをやろうとしているということは、初めてそういう取り組みをするわけなので、自分たちの会社にね、欧米の先進的なグローバル企業みたいにね、「自分たちはこうです。これが私たちの契約の標準です。これだけのサポートを出します。これだけのことをやってください」みたいなのが明確に決まっていて、その基準でずっとやってきている会社はいいですけど、これからその基準をつくっていくという場合は、やっぱり最初はある程度ディストリビューターのエクスペクテーションに合わせてやっていかないといけないですよねという話を前回したのかな。ディストリビューターが欧米の先進的なグローバル企業と付き合っているのが多ければ、相当なサポートを求めてくるだろうし、それなりのコミットメントを要求しても、それはのむので、そういうトーンだし。一方で、日系企業が多いとなればね、取りあえず契約を結んで、あとは一緒に頑張ってやりましょうみたいなトーンでやっているので、あんまりコミットメントとか言うと、なんでお宅だけ?みたいな話になってしまうので、そこは注意が必要ですよねと。いずれにしても相手のエクスペクテーションに大きく左右されますよというのが1つ。
あと、どういう、誰が誰とどういうトーンの交渉をしているかというところにもやっぱり大きく関わってくるので、これは人がやることですからね、契約事というのは、交渉事というのは。なので、なかなか一概に「こうですよ」というふうには言えないんですが、ただ1つあるのは、攻めの部分を考えましょうというのは、これは間違いなく日本の製造業のディストリビューション契約においては言えることで、特に独占契約を与えるのであれば、目標数値を明文化する、目標とまで言わずとも、最低コミットメントを明文化するということはしたらいいし。
あと、契約が単年度になっているというケースが非常に多いんですけど、もちろんリスクの観点から言うと単年度で契約するほうがいいでしょうけども、僕は3カ年ぐらいで、3年契約ぐらいで契約を結んでしまって、単年度の最低購入金額みたいなものを明確に設定して、それがクリアできれば3年間の契約ですと。一方で、クリアできなければ契約は解消とまでは言わないけども、単年契約に切り替えることができるという条項を付けておけば、これは単年度契約なのと一緒なので。ディストリビューターにしてみれば、3年間で契約をもらえるところとね、単年度の契約って、やっぱり3年間あるとなると自分たちの経営資源をそれなりに投下をするので、結構、成果も出やすいんですよね。なので、そこはね、3年でね、単年切り替えの条項を付けないで3年で契約やってしまったら、これは3年間リスク、ただリスクが残るだけなので、「これだけ買ってくれたらこことやってもいいよ」という数字を導き出して、それがクリアするんだったら複数年契約は、僕は全然いいと思うので、そういうギブアンドテイクですよね、駆け引きもしっかりやっていくと成果にしっかり出るし。
実際に、じゃあ、その数字、数字をどういう組織が何をやるからつくれるんだというところのロジック合わせというのはやっぱりしっかりやらないといけなくて。なんとなくこのディストリビューターは大きいからできるでしょうじゃ駄目で。なぜならば、そのディストリビューターが大きくても、何人のチームで、どういうリーダーが、日々何するから、その数字が本当にできるのっていうのがブラックボックスだったりとか、なんとなく大丈夫でしょみたいな感覚でやってしまうと、仮に想定通りにいかなかったときに、巻き返しができないんですよね。「あー、なるほどね。このリーダーのもと、こういう組織でこういうことをやるから、このコミットメントの数字にいくんだ」って分かってやれば、何かうまくいかなくなったときにボトルネックの特定が瞬時にできて、じゃあ、そのボトルネックに対しての対策パッチがすぐ貼れるということになるので、そこはしっかりやっぱり把握をしないと駄目で。結構、売ることをディストリビューターに全部お任せ的なメーカーさん多いので、分かって任せるのとね、全体を分かって部分的にここを任せるのと、全体をなんとなくぼんやりさせたまま売ることの全部を任せるのでは得られる成果は全然違うので、そこはしっかりやったほうがいいかなというふうに思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。