森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺一樹でございます。今日も引き続き、消費財メーカー向け、食品・飲料・菓子・日用品等の消費財メーカーで、対象国はVIP、タイ+VIPですかね、やっぱりここ近年、タイ+VIPの需要が非常に多くて、その辺のお話をしていきたいなと思います。ディストリビューション・チャネルですね。
前回まで少し中小企業さんのお話をしたのかな。今日からちょっと大手のお話になりますけど。大手の消費財メーカーはほとんどね、これらの国で生産拠点を持っています、販売拠点を持っています、現産現販でやっていますと。フィリピンだけが生産拠点なくて、現地に一応、法人はあるけど、輸出でやっていますみたいなケースが結構多いんじゃないかなというふうに思うんですけど。合弁でね、やっているケースもありますと。現産現販と言っても合弁で、合弁先の工場でつくって、それぞれ役割分担して、みたいな企業も多いのかなと。日本の消費財メーカーの課題は、もっとシェア上げたいよねと、そんな中で今のディストリビューターやパートナーとの座組がね、別に悪くないんだけど、ものすごく満足しているわけでもないと。もしくは、もしかすると、ちょっとこのままいっててもなかなか厳しいんじゃないかなと、もっといい方法がないかなということを模索しているという企業が、ここ5年6年7年、非常に多いんじゃないかなというふうに思います。これはね、ASEAN地域におけるディストリビューション・チャネルの再構築で、今、そんな過渡期にあるんじゃないかなというふうに思うんですよね。
どういうことかと言うとね、基本的にASEAN地域を日本の消費財メーカーが取り組み始めたときってね、今ほどそんなにASEANって大きくなかったし、新興国って何回かのブームを重ねてほんとに大きな市場っていうのは出来上がってくるので、第1次なんとかブーム、第2次なんとかブームってあるんですよね。そのたびに、もうこのままベトナムはもう先進国並みになるんじゃないかってみんな想像して、うわーっと行くんですけど、ならないんですよ。4回5回とその波を越えていってようやく大きな市場になるので。始めた当初はね、そんなに大きな市場じゃなかったと。一応、当時の大手と組んできたんだけども、やっぱりモノをしっかり売っていくというのは、ディストリビューター側、現地側だけでは駄目で、日本側の製造業側もやっぱりしっかりそこに合わせていかないといけないし、ターゲットに対して4P、プロダクト・プライス・プレイス・プロモーション、全部適合化をする。世界標準化の上で適合化をしていかないといけないので。日本企業の場合はね、どうしても品質重視というところでね、なかなか品質面が現地の基準よりも高いところに常に置かれていて、それがいい側面もあったんだけどもね、いい側面ももちろんあるんだけども、やっぱり一方で価格というね、非常にクリティカルな部分で悪い側面も出てしまうので、なかなか中間層の手に、本当の意味での中間層の手に取られない。取られる商品というのは、一部の日本の消費財メーカーの商品に限られてしまったというのがあって。そういった部分もあるので、必ずしもディストリビューターが悪いとかね、パートナーが悪いということではないんだけども、やっぱりそういうお互いの調整がうまくできなかったっていう、そういうケースというのは結構事例としてはあって。
そうは言っても、今までAというやり方でやってきたものを、いきなりXに変えるというのは、これはなかなか難しくて、すごくチャレンジングなあれなんですよね。ディストリビューターを変えるというのもね、これもやっぱりある程度規模がいってしまうと、変えるというのはね、ほんとにリスクも当然あるんですよね。ただ、一方で、そのまま放っておいて、どんどん、どんどん、衰退していって、結局、変えることになったっていう事例もたくさん見てきているので、だったらもっと、あのときに変えておけば、10年前に変えておけばよかったじゃないかとかね、5年前に変えておけばよかったじゃないか、なんていう例もあるので。やっぱり自分たちのターゲットに対して、客観的に入り得るのか、入り得らないのかと、その商品が。入り得るということが客観的に証明できて、でも、このディストリビューターだとこういう理由で入っていないということを明らかにしていく、可視化していくという作業がすごく重要で。そこが不明確なまま、なんとなくこのディストリビューターは駄目なんじゃないかで変えてしまうとね、あとで大きな痛手になるし、なんとなくこのディストリビューターは駄目なんじゃないかで変えないで放っておいても、結局あとで大きな痛手になるので、少しでもそういう疑心があるときっていうのは、やっぱりはっきりさせるということがすごく重要で。自分たちはここに入れたい、ここに入れるとこれだけの売上が出る、もしくは利益が出る、もしくはシェアが上がる、だから、入れたい、今のディストリビューターで入らない理由は何なのかっていうことを可視化していく。入らない理由が、そもそもチャネルがないよねと、そのチャネルに入れる気がないよねとかね、いろいろ見えてくるわけですよね。そこに対策をしていくと。両社でこういうことをやっていきましょうと、こういう支援をメーカーとしてやったら、そこに入れることができますか、できませんか、みたいなことをやり取りをずっとしていくわけですよね。それでも入らないんだったら、やっぱりお互いが納得するところで調整をしていくという作業が入るので。とにかく放っておくっていうのがたぶん一番良くないし、はっきりしないまま変えてしまうというのも良くないので、まずは可視化させるということが大変重要かなというふうに思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。