森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日もね、製造業向けのお話です。B2CでもB2Bでも結構です。対象は、新興国、アジア新興国市場かな、別にアジアに限らずですけども。ディストリビューターの選定基準について、ちょっと今日はお話しようかなと思うんですが…。
どういうディストリビューターを選んだらいいかっていうご相談って、やっぱり非常にたくさんいただくわけですよね。その中でいくつかポイントがあって、僕がすごく大切にしているというか、重要視しているのは、ディストリビューター選びでね、唯一、唯一というか、最も重要なのって、ターゲットを明確にするっていうことなんですよね。ディストリビューター云々っていうのは二の次で、「自分たち、どこに売りたいんだっけ?」ということが、ディストリビューターを選ぶ上では最も重要で。その「どこに売りたい」、B2Bだったら企業ですよね、この業界のこのトップ10の企業に売りたいとか、B2Cだったら、こういう地域の、こういう性別の、こういう年齢層の人たちに売りたいと。じゃあ、その年齢層の人たちが行く小売はどこですかっていう話になるので、この小売だ、あの小売だと、フィリピンだったらSMだ、ベトナムだったらコープマートだとかね、タイだったらロータスだとか、そうなるわけですよね。そうすると、ディストリビューター選びって、必然的に、B2Bだったら、その顧客に今現状として取引がある、B2Cだったら、その小売に商品を導入している企業、ここと組むというのが一番良いわけですよね。そうしないと、新規でそこに口座を取りにいくって、やっぱり時間がかかるので。しかも、せっかくディストリビューション契約を結んで組んだのに、入るか入らないか分からないなんて、そんな無駄なことはないので、やっぱり、今、取引があるところと話をしていく。もちろんディストリビューターも、契約をするということは、自分たちがそこにね、お客さんが、メーカーが入れたいところに入れられるだろうと、ある程度ちゃんとジャブ打ちをしていく、ちゃんとしたところはね、いくので。なので、ターゲットっていうのが、まず1つ、一番重要ですよ、というのがありますと。
次にあるのは、自分たちの描いている売上規模とかね、世界観みたいなのを、やっぱり今一度、明確にする必要があって。3年後、5年後、10年後、どれぐらいの売上規模とかシェアを描いているのかっていうことを、やっぱりビッグピクチャー、もしくはグランドデザインレベルでしっかり持つということはすごく重要で。日本の多くのメーカーの場合、とにかく大手、とにかく財閥系みたいなね、とにかく大手で実績のあるところは安心だということで、そういうところから選んでいくわけですよね。もちろん向こうもね、大手にいけばいろんなものがしっかりしているし、「私たちに任せれば安心ですよ」と当然言ってくるわけですよね。ただ、メーカー側がね、日本企業側が描いている売上規模とか世界観が小さいと、今、大手のディストリビューターとか、これはディストリビューターもパートナーにね、同業種で組む場合もあるので、アジアなんかは大きいですから…、アフリカでもね、大きいですからね、「いや、私たちは単なるディストリビューションしませんよ」と、「製造・販売一体でね、合弁パートナーとしてやらないんだったら、私たちはやりたくない」って言ってくるようなね、ケニアの会社とかね、ありますからね。なので、全然、新興国だからといって、ひと昔前、30年ぐらい前のね、日本企業だったら何でもやりたい、言うこと聞きます、全部やりますっていう話じゃ、今はないと。そうなってくると、彼らにとって小さい商売は、やっぱりあんまり強いチームはあてがわれないし、あんまり腰は入らないわけですよね、彼らもね、本気にならない。そうすると、そんな相手と本当に組むのがいいんですかと、なんか漠然とでかいところと組んだら安心だっていうね、迷信みたいなものにとらわれてしまって、本当に強いチームがね、企業が大きいか、小さいかなんて、正直あんまり関係なくて。大きくたって、小さいチームをあてがわれたら、それはその辺の小規模ディストリビューターと同じ話になってしまうのでね。一方で、中堅クラスだったら、よりこちら側がやろうとしている規模、売上規模とかシェア、こちらが欲しい売上が彼らにとっても同じような欲しいサイズ、一生懸命やりますよね、優秀なチームをあてがうと。そう考えると、必ずしも大手が良いということにはならないので、そこも1つ見ていく。
一番最初に言った、自分たちのターゲットをまず明確にして、そのターゲットに本当に今、入れられているディストリビューターなのかっていうことがまず一番重要ですよと。2番目に重要なのは、自分たちがやりたい売上が、やらせる相手、パートナー、ディストリビューターにとって魅力的な売上なのかっていうところもやっぱり短・中・長期で見ていくということは1つあるのかなと。ここがなかなか、今までの日本の製造業のアジア新興国市場に限って言えばね、ディストリビューション・チャネルづくりでは軽視されてきていて、とにかく大きいところ、とにかく実績のあるところできているんだけど、実績があればあるほど、彼らにとっては、皆さん、これから新しくやるメーカーよりも重要な顧客が、メーカーが、ブランドがたくさんいるってことですから、やっぱりなかなか力が入ってこないというのは当然だなということになるので、この2点をベースに考えていくということが1つ重要かなというふうに思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。