森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、溜まりに溜まった皆さんからのご質問についてお答えをしていきたいなというふうに思います。
今日は、製造業さんですね。B2Cの製造業さんです。ディストリビューターに関しての質問。「ディストリビューターとの関係に関しての質問です。最近、ディストリビューターとの関係が、いまいちうまくいっていません。彼らのパフォーマンスに満足ができておらず、いろいろとこうしたほうがいい、ああしたほうがいいという指摘をするんですが、一蹴されてしまう。こっちのことはわれわれが一番よく分かっているのでということで一蹴されてしまう」と。「なかなかうまく一緒に施策が進みません。過去に森辺さんの番組でもこのような話の紹介があったかと思うんですが、どうしたらいいのかもう一度教えてもらえないでしょうか」ということでございます。この手のね、ディストリビューターとのリレーションシップの話って非常に多いです。ここ10年、やっぱり販売チャネルの再構築の話ってね、各社さん持っていて、課題認識としては絶対多くの企業がね、もう、「うちは100%、弊社のディストリビューターに満足している」とか、「販売チャネルに自信がある」なんていうのはね、ほぼないと思うんですよね。すごくシェアの高い会社でもやっぱり高いレベルでの課題をずっと抱えているし。なので、販売チャネルの課題って、これは新興国ならではの問題だと思うんですけど、皆さん抱えていますよと。
このディストリビューターとの関係についても、そんなに特種な話ではなくて、やっぱり多くて。この問題の根本って何かと言うと、数十年前から付き合っているわけですよね、日本の製造業の皆さんは、アジアのディストリビューターとね、新興国の。その中でどちらかと言うと、今まで本当に任せきりでやってきましたよと。自分たちはつくるので、売るのをお願いしますねと。輸出の場合はね。製販、合弁であってもね、基本的には売ることの大部分を相手方に任せていきましたと。このやり方で調子がいいときは全然いいんですよね、「おー、すごいね。今月も達成、今年も達成。ありがとうございます」でいいんですけど、やっぱり調子が悪くなってくる、調子が悪くなってくるというよりかは成長スピードが鈍化する、もしくは調子が悪くなるということも当然ありますよね。これはね、ディストリビューターの内部の問題というのもやっぱりいっぱいあって。うまく世代交代が進んでいないとか、言ったらNo.2とか番頭さんとかキーマンが辞めたとかね、あと、社長が少し豊かになってきたら、ディストリビューション業務以外の事業投資に神経がいってしまっているとか、あと、自分たちの商品よりもだいぶ重要な商品ができているとか、いろんな問題があると。ここ10年見ても、ディストリビューターの競争力の入れ替わりって、1位だった企業が3位ぐらいに落ちたりとか、逆にすごくある一定のエリアでは力を持っていたディストリビューターがもう倒産の危機にあるとか、そういう実態はたくさんありますから。基本的にはやっぱりそういうことって起きるんですよね、10年15年に1回ぐらいはそういうことは起きるので。関係の持ち方がそもそもやっぱりまずかったよねと。こうなってしまったディストリビューターと波長を合わせていくのってね、全然ちょっと難しいですよね。だって、今まで「好きにやってください。お願いします」でやってきたのに、いきなり「調子悪いので、われわれが入ってこうしましょう、ああしましょう」と言っても、「いやいや、おまえら分かっていないだろう。俺らは一番分かっているんだ、何が問題か分かっているんだ」と言いながら、ディストリビューターも自分のことを客観的に見れてなくて分かっていないというケースもあるし、分かっていて隠そうとしているというケースもあるしね、いろんなケースがあるんですよね。
僕の結論から申し上げるに、こういう状況に陥ってしまっていて、それがね、それでも言っても市場シェアのまだ2割は持っていますよとかね、そういうレベルなんだったら、それはやっぱりある程度時間をかけてお付き合いをしていくということをしていかないといけないし、ある程度エサもぶら下げるということをしっかりやらないといけない。要は、日本の製造業側から言うのは、まず、「経営資源を増やせ」とか、あと、「今の既存の経営資源をより効率的に回せ」って、この2点のお願いをすることになるわけですよね。お願いされているほうはしんどいわけですよ。経営資源を増やせということは新たに投資が必要だし、今ある経営資源の効率を上げろということは、社内に鞭打たないといけないという。嫌ですよね。なので、やっぱりそれをやるとどういうメリットがあるのかということ、これは数字が上がるというメリットだけじゃなくてね、上がったあかつきにはこうだ、ああだということをやっぱりしっかり見せていくというね。基本的に華僑なのでね、経済合理性なんですよね。経済合理性のないことはやらないですから、やって得があるのかっていうことをまず考えるんでね。お客様が言っている、メーカーが言っているとか、プリンシパルが言っているからやらなきゃとか、そういう感覚はないですよね。だから、そこはね、しっかりやっていく必要があるのかなと。
一方で、大してまだ数字もね、分かんないですけど、これはB2Cなのでね、場合によっては数億円とかね、10億円にも満たないような状態のケースもある、輸出でやっている場合なんかは十分あり得るので。そうすると、いきなり例えば3億でも売上があって、0になるというのは嫌ですよね。なんですけど、こういうところとやっていても、たぶん先がないんですよね。そうすると、やっぱり全体的に今のディストリビューターを網羅的に客観的に全部並べてみるとね、自分たちは今、どこと付き合うべきなんだっていうことを再整理するということはね、やっぱりやらないといけないんですよね。僕の仕事の多くは、この販売チャネルの再構築なので。いきなり今、既存で使っているところをバッサリ切ってなんていうことはほとんどしないですよね。摩擦を最小限に抑えるために何をやるかと言うと、今のディストリビューターと、あと、市場の競合のディストリビューターを客観的に比べたときに、どれぐらいの競争力の差があるのかと。この差が頑張りで埋まるんだったら、もう引き続きそのディストリビューターとやったらいいですけど、頑張りで埋まらないというケースがほとんどなので。頑張りで埋まらないという事実を可視化して、明確化して、そうすると、メーカー側もいろんなアクションを取りやすいので。じゃあ、それに代わる、代替になるディストリビューターはどこなんだということで特定をし、そこをつくり上げていく。当然、独占でやってきたのにとか、いろいろあるんですけども、それをしっかり理解をしてもらって、向こうもね、やっぱりいきなり3億を0にしたら、自分たちの実入りもね、その月から少なくなりますから、そんなに極端なアクションって取れないんですよね。ミーティングの場で感情的な場面になったとしても、彼らももう華僑ですからね、これはパフォーマンスであって、基本的には経済合理性しか考えてないので、何か感情で目の前の経済合理性を捨てるなんていうことをした例は、僕は1度も見たことないので、それはもうひるまず淡々と交渉すると。それによって新しいディストリビューションをつくり、徐々に移行していく、それが非常に重要であると。
あと、感情的になるっていうケースもね、これは時間をかける。うだうだやるっていうのは非常に重要で、いかに時間をかけながらうだうだ移行していくかっていうね、いや、中ではね、もうものすごくはっきりやるべきことは決まっているので、スピーディに移行していくんですけども、表面的にはやっぱりね、うだうだやっているように見せるということもすごく重要だし。まあまあ、いろいろなテクニカルなやり方があるんですけど。もうね、診断をして、これはもう駄目だなってなったときに、その駄目だなといくらやってもね、やっぱりこれは永遠に駄目にしかならないので、そこの見極めをしっかりするっていうのがすごく重要かなと。お客さんに見極めを数値で見せるって、どれぐらい駄目なのかっていうことを数値で見せると、意外に皆さん動きが早くなるので、そんな仕事が結構多いかなと思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。ちょっと長くなってしまいましたね。これで参考になればと思います。うちのセミナーで、販売チャネルのつくり方とかのセミナーでね、ディストリビューション系のセミナーだったらもっと具体的な話をね、番組とは比較にならないレベルでお話をしたりもしますので、ぜひセミナーのほうにも来ていただければと思います。それでは今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。