森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、皆さんからのQ&A、質問に答えていきたいと思います。
今日は、「消費財メーカーです。(FMCG)。ベトナムにすでに長く出て進出しているのですが、シェアがなかなか思い通りに上がりません。近代小売はそこそこ配荷できているのですが、伝統小売が進みません。予算も限られ、セールスの数に限りがありますし、競合と比べるとかなり経営資源が劣ります。どうすべきか悩んでいます」ということで、この方はあれですね、伝統小売が進まない、予算も限られセールスの数に、セールスの数に限りがあるっていうことまで言っているので、どういうチャネルストラクチャーがベトナム市場には向いているのかっていうことまではもう分かられている企業さんなのかなというふうに察しています。ベトナムの消費財メーカーのお悩みって、もう皆さんこれですよね。「近代小売はそこそこ配荷できたんだけど、伝統小売はどうなんだ?」みたいな。ベトナムって、近代小売の数が全然足りないので、それに対して伝統小売をいかに獲っていくか。伝統小売を獲らないとなかなか儲からないよねという、そういう構造の中でどうやっていくかというのがミソになるわけですよね。
まずね、近代小売の話からすると、やっぱり数が圧倒的にね、圧倒的に足りてないわけですよね。伝統小売はね、基本的には66万店か、66万店ありますから、それと比べるとやっぱり圧倒的に数が足りてない中で、どういうふうにシェアを上げていけばいいのかっていう。ウィンマートとか、コープマートとか、メガマートとか、まあまあ、もちろん日本のイオンもあるわけですけども、やっぱり全体で見たときに、数千店舗の近代小売に対して66万店の伝統小売、その中でどうやって、じゃあ、シェアを上げていくんですかみたいな話になるわけなので、そこが皆さん課題ですよと。
近代小売はそこそこ配荷ができている、2つのね、これはポイントがあるんですけど、近代小売がそこそこ配荷できているというのはね、過去いろんな企業の、皆さんそう言うので、実態を見ていくと、近代小売はベトナムは8,000店舗強ぐらいあって、その中で「そこそこ配荷できている」のね、この「そこそこ」が結構微妙でね、結局、近代小売にマストで入っていかないと、なかなか伝統小売、やりにくくなるわけですよね。ベトナムの場合はそんなに近代小売の数がないから、そこを確実に押さえなくても伝統小売に入れるという事情はあるもののね、やっぱり「ウィンマートで売っている? コープマートで売っている?」っていうのは伝統小売のオーナーに聞かれるし、そこで売れ筋にならないと、伝統小売で並べる意味合いがなくなるわけですよね。これは、伝統小売は買ったら返品できないので、基本的に売り切らないといけない。オーナーは狭い店先にとにかく回転率の高いもの、もしくは利益額の多いもの、これを置きたいわけですよね。そんな中で、近代小売でほとんど誰も知らないようなものを伝統小売で売ったってね、売れないわけですよ。なぜならば、伝統小売に買いに来る消費者というのは指名買いで来るので、もう何を買うかっていうのが彼らの頭の中にしっかりあると。エボークドセットの中にあるというよりかは、もう「あれを買いに行く」ということで伝統小売に来ているので、「おばちゃん、あれちょうだい」。そしたら、そのおばちゃんが棚の下、棚の上、もしくは自分の後ろからその商品を取って渡すわけですよね。そうすると、近代小売で圧倒的に目立っていないといけないですよと。セルアウトできてないといけないですよと。これができてないと伝統小売の取り組みがまあ大変なわけですよね。商品が売れないから、セールスの仕事も大変になる。せっかくセールスが伝統小売に置いたのに、セルアウトしないから、おばちゃんに「売れないじゃないか」と怒られる、新規にまたその店に置いてっていうお願いをしに行きたくなくなる、悪循環で辞めていくみたいなね、このスパイラルなんですよね。だから、ほんとに伝統小売と近代小売がセットで初めてベトナム市場というのは成功とか、ある一定のところまでたどり着いたっていう、こういう概念で考えていかないといけなくて。とにかくターゲットとして自分たちが、ウィンマートならウィンマート、コープマートならコープマート、ロッテマートでも、イオンでも、とにかくね、ウィンとか、コープとか、ゴーとか、この辺の上位3社、スーパーだったらね。コンビニと言ってもね、もう大して数がないわけですよね、日系のコンビニなんてほとんど数ないし、ウィンマートプラスって、ウィンマートのスーパーのコンビニが3,000店舗ぐらいあるので。ただ、ここでやっぱり圧倒的に見立つ、3SKU、5SKUぐらいをね、バーント獲れていて、そこでしっかり回転している状態をつくらないといけない。さっき言った、「近代小売ではそこそこ」っていうのがね、行ったら確かに置いてあるねと、置いてあるんだけど、欠品している店もあるし、棚の端に置いている店もあるし、あまり回転してない感じがするよねと。輸入品棚なんかに置いてあったら論外だしね。そういう意味ではまだまだ近代小売はてこ入れができますよねっていう状態の場合がかなりの比率ありますと。
メーカーさんがね、ディストリビューターに連れていかれる、日本から来てね、「自分たち頑張っていますよ。近代小売、見に行きましょう」って見に行かれる場所っていうのは、基本的にディストリビューターの見せたい場所なのでね、ちゃんと配荷されていて当たり前なんですよね。だから、彼らと一緒に行かずに自分たちで行く。自分たちでここは売らないといけない店舗だねというところを見てみると、意外にそういう店舗で負けているというね、競合の製品のほうが圧倒的に目立っているみたいな、というのが1つですよね。
もっと言うとね、手前の部分で言うと、エリアを選ぶと、もうホーチミンでいいと思います、消費財は。ハノイとか、ダナンとかっていうんじゃなくて、ホーチミン、カントーみたいなね、この南の下のこのこぶのところまで獲りきるみたいな。そこでまず、まずはホーチミンで12区、1区から12区までを考えていったらいいと思うんですけど。あと、小売を選ぶ。もう僕は、ウィン、コープ、ゴーみたいなところでしっかりやっていくっていう。そこでしっかりやれていると同時に、やっぱりホーチミンの伝統小売の地域一番店を押さえるっていうことはすごく重要で。何を言っているかというと、どこのエリアのどういう形態の伝統小売から落としていくかっていうことはすごく重要なわけですよね。自分たちのウィンマートの店舗をドットで地図上に記したときに、その周辺の伝統小売をまず押さえるっていうのが鉄則ですよね。やっぱりウィンマートまで行って、バイク停めて中に入って、売り場まで行って買って、レジ並んで買っていくみたいなのが嫌な人が、その辺の周辺の伝統小売で買ったりしますから。あと、交通量の多いね。そういうところの売れ筋、1店舗あたりの売上の大きい伝統小売というのはあるんですよ、リストにもなるし。そこからやっぱり限られた経営資源なのでね、集中的に投下をしていくという。これはドミナントで絶対押さえていったほうが良くて。あと、地元の子を雇うというのが一番いいですよね。自宅がどこにある、どこ出身の子をどこ、伝統小売のおじちゃんおばちゃんが知っている、住宅街の中にあるような伝統小売だと「おーっ」というケースもあるしね。まあまあ、全部が全部そうじゃなくてもいいと思うんですけど。
でも、やっぱりね、整理すると、近代小売のそこそこやれているということをもう1回しっかり整理をして、きっちりやっていくということをまずやらないといけない。それと一緒に、あと、伝統小売に関しては、もうエリアを絞って、そこで一番店、大きな店舗から落としていくということが2つ目の大変重要なポイントになるので、そこをちょっともう1回整理してやってみるとよろしいんじゃないかなというふうに思います。今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。