森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、Q&Aに戻りたいと思います。ちょっとね、2回ぐらい続けてまったく関係のない私のプライベートのくだらない話をしてしまったと思いますので、今日からまた皆さんの質問、溜まりに溜まった質問に回答をしていきたいと思います。
今日は、消費財メーカーさんからのご質問です。「タイ市場への参入を考えています。いろいろと現在調査をしているのですが、何かアドバイスがあればお願いします」ということで、「ざっくりした感じですみません」。全然いいですよ、そういう感じで。ということで、タイ市場の参入、消費財メーカーですよね。非常にシンプルな話で言うと、まずやっぱりどれぐらいの規模のビジネスをやろうとしているのかっていうことをまず明確にする必要があって。消費財メーカーが将来的にね、短・中・長でね、言ったときに、まずは1億、3億、10億、20億みたいな中で、どういう事業の規模をやりたいのか。これによって参入戦略って全然変わるじゃないですか、1億をやりたいときの戦略と、10億をやりたいときの戦略、これは全然変わってきますよと。戦略が変わるということは、その中身を開いていくと、じゃあ、誰に売るのかが変わってくるわけですよね。誰に売るのかが違うということは、どこで売るのかも変わってくる、みたいな話になるので、まず最初に明確にしないといけないのは、どれぐらいの規模の事業をやろうとしているのかということを短・中・長で1回ざっくり引いてみるということはすごく重要かなというふうに思うんですよね。
いろんなメーカーさんのタイの進出を見てきて思うのは、基本的に日系小売を中心に売ることをだいぶ他人任せにしたままやるみたいな話だと、あまり大きなビジネスにならないかなと。もちろん輸出でね、最初はやるんでしょうし、タイは輸出で十分利益が出るし、ある程度の規模まで事業は消費財メーカーさんだったら拡大させることができるので、輸出でやるということは全然構わないんですけども。日系のドラッグストアで売りたいですとか、日本食材専門店で売りたいですみたいな話だと、なかなか大きなビジネスにならない。コンテナベースで出荷できない。基本的に海外展開って、コンテナベースで出していけるような規模をやらないと、「やる意味そもそもあったんだっけ?」という話になってしまうわけですよね。混載でパレットで出してみたいな話だと、それは「国内取引していたらいいじゃないですか」みたいなね、「平行品でやっていればいいじゃないですか。わざわざメーカーが担当者をつけてチームをつくってやる必要はないですよね」みたいな話になってしまうので、そういう、たぶん発想はちょっと難しいかなと。コンテナで出していくということを考えて。
そうした場合に、次に、じゃあ、考えなければいけないことって、近代小売と伝統小売って2つの小売があるわけですけどね、一旦ね、伝統小売は置いておいてもいいかなというふうに思います。20万店ぐらいタイはありますけども、一旦置いておいたときに。さらに地域も特定してバンコク、バンコクでやりましょうと。それで、バンコクの近代小売というところの特定ができたときに、CPでやるのか、セントラルでやるのかっていうね、この2強財閥が非常に強いわけですよね。この2強財閥の、例えばセブンイレブンは日本の次に数が多いのはタイですから、今、1万4,000店舗ぐらいあると。それから、テスコをね、今はロータスに変わっていますけど、ロータスを持っているのも、これはCPですし。一方でもう1強がセントラルなわけで、どっちとやりますかという。最終的には両方とやるんですけどもね、最初にどっちとやるかっていうことはやっぱりすごく重要になってくるわけですよね。それが2つ目のポイント。
もう1つは、小売がものすごく大きな影響力を持っている、2強財閥系ですから。財閥ってどういうことかって言うと、バンコクの中でもデベロッパーから不動産から何からいっぱい持っているわけですよね。そうすると、一番立地の良いところの開発情報が一番最初に手に入って、そこの一帯を開発しながら自分たちの小売をそこにバーンと入れていくわけですからね、非常に強いわけですよね。その小売に対して、じゃあ、ディストリビューターの交渉力ってどれぐらいのものなのかって考えていったときに、やっぱり私が見てきた中で言うと、小売がとても強い。ディストリビューターうんぬんの世界じゃないので、基本的にはやっぱり小売と商談をしていくっていうことが非常に重要で。小売もちゃんとした話じゃないともう聞いてくれないですよね。「売りたいんです」みたいな、「日本でよく売れています」みたいな、そういう話だとなかなか取り合ってくれないので、戦略的に組み立てていかないといけない。この商品を小売が取り扱うことで、その小売にはどういうメリットがあって、その裏付け根拠は何で、市場はどういう反応を示していてみたいな、どれぐらいのプロモーション投資をしようとしていてみたいなことをパッケージでね、やっぱり話していかないと、なかなか優先的に取り扱ってくれない、世界中からいろんな商品を売りたいっていうメーカーがいろいろいるわけでね。なので、そこは1つあるのかなと。ディストリビューター主導で小売とって言ってもね、パワーバランスが全然違ってしまって、ディストリビューターなんか後でいいんですよね。「誰に売りたいか」のほうが圧倒的に「誰と売るか」よりも重要なわけですよね。もちろん「誰に売りたいか」っていうのは消費者なんだけども。じゃあ、その消費者が接点を持つ小売っていうのが2強財閥から成り立っているという話だとするとね、この「誰に売りたいか」っていうのは、この2強財閥のいずれかの、もしくは両方の小売であるということですから、その小売に「誰と一緒に売るか、どのディストリビューターと売るか」なんていうのは後回しで全然構わなくて。また、小売がディストリビューターを紹介してくれるということもあるわけですよね。そうしたときにはディストリビューターとの、今度は交渉力が全然変わってくる。マージンの設定も変わってくる。ディストリビューターに偉そうなことを言われて、「うちはもうすごいリレーションをセブンと持っているから任せておけ」みたいな話をされて、たくさんマージンを取られてね、結局セブンとの交渉現場っていうのは、なかなかそういうケースだと見ることもできずに、基本的には御用聞きになっているという現場をたくさん見てきましたから、基本はたぶん、たぶんというか、小売とまずは話をするということがメーカーにとっては重要かなというふうに思います。
なので、ちょっと整理すると、まず、どれぐらいの規模の事業をやりたいのかということ、これが重要ですよね。次に重要なのが、どこで売りたいんですかと、どの小売で売りたいんですかっていうことを決める。でも、その小売がCP系かセントラル系かって話になるので、どっちかと先にやったほうがおそらくたぶんいろんな意味でいいと思いますということが1つ。あと、ディストリビューター主導じゃなくて、小売主導でやっていく必要がある。でも、小売主導でやるにはやっぱり参入戦略というのを組み立てていかないといけない。小売の棚はもうぎちぎちに常に埋まっているわけですよね。スカスカな棚なんて皆さん見たことないと思いますけど、基本的にはぎちぎちに埋まっていて、何か新しい商品を入れようとすると、何かどこかの商品をどかさないと入らないわけですから。それをどかしてでも売れるっていう根拠をバイヤーは絶対欲しがるわけですよね。なので、そんなこと含めてマーケティング戦略をちゃんと提示しないと、一筋縄ではいかないですよ、というところかなというふうに思います。
ちょっとね、時間も来たのでこれぐらいにしたいと思いますけど、いつだったかな、4月にね、タイセミナー、弊社で定期的にやっているセミナーでやる予定にしてます。タイの市場参入戦略で、もっと詳しい話、事例含めてする予定にしていますので。消費財メーカーさん限定ですけど。ちょっとお席が28席だったかな。しかご用意がないので、案内が始まったらすぐに埋まってしまうので、毎回、もしご興味があれば、弊社のホームページからメルマガ登録をしていただくと、このメルマガはセミナーの案内をお送りしているメルマガなんですけど、早くご案内ができると思いますので、ぜひご登録をしていただければと思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。