森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、Q&Aに、番組に寄せられる質問に答えていきたいと思います。
今日の質問は製造業さんですね。製造業さん、海外担当者さんからの質問です。「森辺さんのご著書を拝読していると、失敗事例の多くが弊社に当てはまり、とても不安になっております。どうすれば良いのでしょうか」ということですけども、本に書いてある通りやってくださいっていうことになるかなと思いますけども。いいですよ、こういうざっくりした感じで全然構わないです。もうね、小難しいことをね、難しく書かなくてもフィーリングで質問してもらったら私なりに解釈をして返していきたいと思いますので。
よく言われます、これ、「うちのことを言っているんじゃないかと思いました」と言って、よく言われるんですよ。ほんとによく言われる。セミナーで言ってても、特に失敗事例の話なんか、「まさにうちです」ということはほんとによく言われていて。これって、言ったらどういうことかって言うと、多くの日本の製造業の失敗の事例ってね、要因とか失敗に向かうプロセスとか、それらすべてってね、もうほとんどパターン化されてて同じなんですよね。僕は3つのパターンに分けてるんですけど、Product依存型か、Partner依存型か、Person依存型か、だいたいこの3つに、大きく外れるっていうのはね、もう本当にある程度シェアを持っていて、さらにシェアを上げていく、例えば2割3割のシェアを持っていてもっと上げていくとか、そういうレベル、もう業界1位なんだけども、さらに成長していくみたいな、こういうレベルで少し違った課題があるというケースというのはあるんですけど。そうじゃない、いわゆる低シェアの製造業で、僕がずっと言っている課題以外のものを持っていることなんてね、まずないんですよ。もう20数年間、僕は見てきてね。同じ課題。じゃあ、なぜそれが改善されないのかって言うとね、やっぱりね、これね、一旦こびりついているとね、分かっているんだけども、頭では分かっているんだけども、体がそれに対応していかないんでしょうね、きっとね。なんとなく言われていることは分かっているんだけど、ほんとの意味で分かってないと言ったほうがいいかもしれないですよね。そのマターの担当者というか、責任者がある一定期間で替わっていきますよね。そうすると、それに対する改善の必要性の強弱もまたリセットされてみたいなことが続いていくので、もったいなというのは非常によく思います。
事実、私、こんなことを20数年やっていて、ただの1度も不景気になったことがないんですよね。なので、それだけやっぱり課題が山積しているというのが実態なんじゃないかなと思うんですよね。だから、決して何か高度な課題でね、悩んでいるというよりかは、非常にベーシックな課題のところでつまずいていて、それを根本的に、現場もボードも経営も、それを心の底から理解をして解決を1個1個していかないと、やっぱり根本的な解決にはならないと思うんですよね。まず、そもそも調査不足、圧倒的にインプット不足だし、少ないインプットで戦略というアウトプットを出そうとするから、それもやっぱりチープなものになってしまうし。チープな戦略、アウトプットで実践をするのでアウトカムがなかなか出てこないという、これの繰り返しなんですよね。やっぱりその場しのぎとか、あと、必殺技をなんとか繰り出そうとするんですけど、必殺技なんて海外展開でないので、基本的には当たり前のことを当たり前にどれだけやれたかっていう。もう、やれた企業の勝ちっていうね。今の先進グローバル企業は、当たり前にやるべきことをやりきっているから勝てているわけで、必殺技ってないんですよね。なので、そこは非常にそんなふうに思ったりしますね。なので、ご不安にならないでくださいと。皆さんそうですと。私の本に記載のある通り、1個1個改善をしていけばノープロブレムですというところで。
でもね、もう究極はね、やっぱり僕の今年の新刊のね、『製造業のためのアジア新興国販売チャネル戦略』でも書いた、表紙に書いているメッセージなんだけども、一方的な製品の優位性よりも、絶対に相対的な販売チャネルの優位性のほうが成果に直結しやすいですから、自分たちの販売チャネルが相対的に見てどうなのかっていうことをちゃんと可視化する。競合が100だった場合に自分たちはいくつなのか。この差を埋めていくという活動にフォーカスすれば、絶対にシェアは上がります。短期間で上げることができます。なので、ぜひね、一方的な製品の優位性よりも、相対的な販売チャネルの優位性に着目をしてもらえたらなというふうに思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。