森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日も前々回の質問、いくつかパターンがあるのでちょっと引っ張ってしまっていますけど。製造業の方からの質問で、「森辺さんの失敗する企業の法則みたいなのはもう本で読んでいます。それ以外にね、こういう企業は危ないよみたいなのがあったら教えてもらえませんか」ということだったので、今まで見てきた企業の、こういうの危ないなと、そういう企業さんだなと思ったら、僕はにこにこしながら離れるようにしているんですけど。
前々回言ったのが、リーダーが分かってると思い込んでいる企業は非常に問題で、分かってる企業なんていないんですよ。分かってる人なんて、僕ね、本当に会ったことないので。そんなのはね、時代もどんどん変わっていくし、分かってるなんて、僕だって絶対に「全部お任せください、僕、分かってますから」なんてお客さん先で絶対言えないですから。これだけこのことを本業にしていても「分かってる」とは言えないのでね。何冊本を書いていたって「分かってる」とは僕は絶対言わないので。分かってると思い込んでいる、『分かってない』ことが分かってないというのが非常に問題ですという、こういうリーダーのもとで動いているチームというのは問題ですよねというのが前々回お話した話。
2つ目が、必殺技を繰り出そうとするリーダーのもとで進んでいるチーム、会社、これもまた問題ですよね。事実が直視できないので、今ある現実的な困難が目の前にあるんだけども、それを必殺技でなんとか消し去ろうというね、こういう発想に至っているのはちょっと問題ですよねという話を前回したのかな。
今回はね、これも最近よくあるんですけど、B2Bの企業が、B2Bの製造業が、B2Cの事業を展開するケースというのがあるんですよ。B2Bの企業、大手が結構多いですけど、B2Cの製品を持っていて。これもやっぱりB2Bの事業とB2Cの事業ってまったく、まったくというか、すごく川下の部分の消費者に近いところの部分が大きく異なるので。分かりやすく言うと、営業力が重要なB2Bと、マーケティング力が重要なB2Cみたいなね。こう言うと、B2Bはマーケティングは必要ないのかって怒られてしまいそうですけど。でもね、やっぱりマーケティグの解像度が全然違うんですよ、解像度と数。言ってもB2Bは企業の数なので、これもインダストリーによってトレンド・傾向というのが固まってくるわけですよね。1回ガツッと入ってしまうと、早々…、なことがない限り、それが変わっていくということもないので、やっぱりB2Cに比べると粒度というか、解像度というか、そういうものが大きく変わる。特にやっぱりB2Bの企業とB2Cの企業と接していて思うのはね、B2Bの企業のほうが圧倒的にマーケティング力が弱いというのはね、これはもう確かなことだと思うんですよね。そこで働いている人たちがマーケティングというものに触れている時間とか深さが、やっぱりB2Cに比べたら絶対的に少ないんですよ。だから、マーケティングのキーワードとかフレームワークとかね、そういう学術的な部分でもね、そこを0からやっぱり、1からやらないといけないというのは結構多いと。そういう企業がB2Cをやるときに、B2Bの感覚のままB2Cをやるとね、非常にやっぱり問題があって。
でも、僕は最近会ったB2Bの企業は、そのB2Bの企業のリーダーがやっぱりB2Cの出身者だったりね、B2Cのことをよく分かってるので、非常に慎重にインプットを入れることであったり、戦略をつくることであったりをやる、こういう会社はやっぱり強いなと思いますよね。B2Bの感覚のまま、その事業をやろうとしていないんですよ、もう、リーダーがそうなのでね、根本的にね。だから、これは強いなというふうには思うので。やっぱりそこはちょっとね、B2Bの企業は気を付けないといけないかなと。もうずっとね、何十年もB2Bにいたらね、そこからいきなりB2Cに切り替われってね、頭は切り替わらないんですよね、B2Bでやってきているのに。だから、そうさせてしまう組織そのものも問題かもしれないですよね。ちゃんとB2Cのところからそれなりの人をちゃんと連れてくるということは重要だと思うので、そこは1つ思うかなというふうに思います。
それでは今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。