森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、ディストリビューターのお話をちょっとしていこうかなというふうに思います。B2Cの消費財がいつも多いですけど、別に今日の話はB2CでもB2Bでも製造業であれば問わないと。もちろんね、装置メーカーさんとかね、大型の設備とか、直販が中心の企業さんもいらっしゃると思うので、ディストリビューターを使わないという企業はちょっと対象外になってしまうかもしれませんが。ディストリビューターを使いますよと、直販もするんだけど、ディストリビューターも使う、そういう企業が対象になるかなというふうに思います。
われわれの仕事の中で非常に多い、大きな比率を占めていることなんですけど、ディストリビューターの競争力、自分たちのね、自分たちのディストリビューターの競争力を測っていくというね、こういう仕事が非常に多いんですよね。特にここ5~6年…、6~7年ぐらいは、チャネルで自分たちのアジア新興国、アジアにかかわらず新興国市場の競争力が劣っていると、特に販売チャネル周り。もしくは今まであまり販売チャネルにそんなに着目してこなかったと、どちらかと言うと製品とか価格とか、そういうところに焦点が当たっていて、販売チャネルってあんまり見てこなかったと。ただ、やっぱり競合に比べてどう考えても劣っているよねと。ただ、その劣り具合がどれぐらいなの? 自分たちのディストリビューターって、これぐらいのことはできているんだと思うんだけど、実際どうなの?みたいなね、こういう課題感を持った企業って決して少なくなくて、結構センスの良い人たちは、自分たちのディストリビューター、自分たちはあまりよく分かってないよねと、実際にどうなんだろうと、まったく駄目じゃないけど、めちゃめちゃ良いというわけじゃないよね、ということをなんとなく感じていて、そこを改善しないとシェアが上がらないということに気付くんですよね。それでお問い合わせに来られるというケースが多くて。
結局、ディストリビューターって、顧客を持っている、顧客と接点があると言ったほうがいいのかな、顧客と接点があって。これ、顧客と接点がないディストリビューターに新たに顧客と接点を持たせるって相当大変で。これは1つ、やっぱり今、接点がないのに、新しい顧客とすぐ接点が持てるかってね、時間かかるんですよね。そもそも時間がかかる課題に対して、ディストリビューターがやる気があるのかないのかという、これは2つの問題がそこにはあって。物理的に時間がかかることなのに、ディストリビューターがそもそもやりたくなかったらね、やっぱりこれってうまく進まないんですよね。なぜディストリビューターはやりたくないかって言うと、ここは利害が一致するんですけど、ある一定のね、自分たちの今の経営資源、例えば今のセールスの数、今の営業車の数とか、今の営業経費の中で利益率なり利益額を最大化したいわけですよね。ディストリビューターの多くは華僑ですから、基本的には自分たちのファミリーのアセットをどうやって増やすかということがやっぱりすごく重要で。その中であまり過度な投資はしたくないと。今、一番良い、僕はスイートスポットと言うんですけど、ところにいると、今まで頑張ってきてちょうどいいと。これ以上、顧客を増やそうとすると、確かに売上は上がるんだけども、一定期間持ち出しが必要になってくる、投資が必要になってくるし、仮に投資をして得た果実は、率から言うとそんなに大きくないとかね、そんな事情があって、あまり手を出したくないという、そんなステージもあるんですよね。そうなってくると、メーカーとしてはどんどん、どんどん、売上を増やしていって、顧客を増やしていって、シェアを上げていくというね、ここに終わりはないわけですよね。そうすると、やっぱりそんなにやる気スイッチが入らないというケースというのはあって。一方で、じゃあ、ほかを使うという話をすると、独占契約はもう絶対に言ってくるし、今までこんなに頑張ってきたのにということで非常に反感を買うということになるわけなんですけど。でも、やっぱり、だからと言って、じゃあ、そのままにしておくというのは問題で。多くの企業はそのままになっているんですけど、それをここ何年かやっぱり変えていかないといけないよねということでみんな取り組みを始めていて。結局そのままの状態にしておくと、ずるずる、ずるずる来て、もう我慢できないというタイミングでしかアクションを、メーカーとしてはアクションを起こさなくなってしまうんですよね。もう我慢できないというタイミングってどういうタイミングかと言うと、かなりシェアを奪われているとか、露骨に今のディストリビューターでは駄目だということが完全に露呈してしまっている状態であるとか、そういうもう、今からちょっとやっても遅いですよという状況にならないと、やっぱり重い腰は上がらないというのが実際で。でも、今のね、既存のディストリビューターを切るというのはね、僕はもう本当に最終手段だと思っているので、それはだいたいわれわれの選択肢の中に入らなくて、いかにエリアを分けてとかね、インダストリーを分けてとか、それを最初は納得がいかないながらも、相対的にシェアが上がることが今の既存のディストリビューターにとっていかに良いことかということを理解させながら、自分たちの進むべき方向に進んでいくことをやっていくんですけど。やっぱりそれをやっていかないと、もう我慢できないというところまで来て動いてもね、やっぱりこれは遅いですよね。
なので、ちょっと時間が来てしまったので整理をすると、自分たちのディストリビューターの競争力を客観的に見るということ、あと、相対的に見るというね、これはすごく重要で。客観的にというのは数字で見ましょうと。感情論を一切抜いたときに、他の自分たちの主要競合と比べて競争力がどうなのかということを数字で客観的に見ると。客観的に見るというのは、自分たちのディストリビューターが、もちろん相対的に見るということと客観的に見ると話しましたけど、相対的にというのは誰と相対なのかと言うと、競合のディストリビューターとの相対ですよね。客観的に見るというのは、自分たちが進んでいる方向、もしくは進むべき方向、もしくは進みたい方向に対して客観的にどうなんだと、満たされているのか、満たされてないのか、もしくはある一定の時期になったらこういう可能性がある、ああいう可能性がある、ということを客観的に判断すると。こんな仕事が多いわけなんですけど。でも、これは本当にすごく必要なことだと思うので、ぜひ皆さんも、今の既存の自分たちのディストリビューターの再評価みたいなことをね、今一度やってみてはいかがでしょうか。
皆さん、今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。