森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺でございます。今日は、この番組でも過去何度もお話してきたんですけども、インプットの重要性、調査の重要性についてお話をしていきたいと思います。皆さん、どうか調査をやってください、もっと情報収集してくださいという、そういうエピソードでございます。
なぜそんな話をするかと言うと、日々ね、いろんな方とお話をする機会があって、その中でシェアがしっかり上げられている企業とシェアのなかなか上がらない企業の大きな差って、やっぱり情報量なんですよね、大前提の部分で。日本の多くの企業、パーセンテージで言うと9割以上は、もしくは9割5分以上は、そんなに高度なレベルのところで海外展開でつまずいているというよりかは、多くがかなり初歩的なところでつまずいているというのが実態としてありますと。本当に高度なところで戦略の再構築を迫られているような企業というのは、もうある程度シェアを持っていて、それをさらに上げていく、もうすでに20%、30%シェアがある会社がね、もう2%、3%増やそうと思うときのこの3%と、シェアが0に近い企業がシェアを3%まで持っていくときの大変さって全然違うので、難易度と言うんですかね。なので、多くは後者なわけですよね、まだそんなにシェアがないところからシェアを上げていく。そうなってくると、インプットってすごく重要で、なぜインプットが重要かって言うと、仮説とか思い込みを、思い込みをなくして、仮説の精度を上げるためにインプットが重要なんですよね。
結局、日本企業のアジア新興国展開、アジアじゃなくてもね、新興国展開の最大の問題点は何かって言うと、問題を問題として認識できていないということなんですよね。日本企業も日本人も世界でまれにみる素晴らしい企業、素晴らしい人たち、素晴らしい人種なので、基本的に問題を問題として認識できれば、それを解決する能力に関しては非常に長けているわけですよね。それが、これだけ大きな経済をつくってきた日本がまさに証明していることだと思うので。ただ、やっぱりこのわれわれが豊かになって何十年経つのか、40年、50年ぐらい経つのかあれですけど、その中で新興国特有の課題に対して、どこに問題があるのか、もしくはどれが問題なのか、もっと言うとね、なんとなくこれが問題なんだろうなっていうところまでは賢いから想定はしていて、でも、そっちの方向にあまり行きたくないので、こうする、ああする、というところで本当の課題に対峙できていないというね、こういう問題があって。
思い込みなんかも、インプットが正しいインプット、これは量と質でしっかりと情報を収集できれば、自分が思い込んでしまっている、間違った方向に思い込んでしまっているということが気づけるんですよね。そうすると、その思い込みが正しい方向に向いていくので、当然そこから立てられる仮説というのは正しいものになっていくと。仮説ってなぜ重要かと言うと、われわれって何か物事をするときにね、絶対に仮説があって、それは潜在的な意識の中にあったりもするわけですけども、その仮説との差異が大きいとフリーズしてしまうわけですよね、びっくりしてしまう、撤退・停滞してしまうわけですよね。でも、一方で仮説と現実の差異が小さいと、実際にね、仮説を立てて実行したときの差異が小さいと、走りながら修正してまた前に進むことができる。この仮説というのは本当に重要で、質の高い仮説をつくるということが、このアジア新興国市場の勝ち筋の一番重要なポイントなんですよね。それがやっぱりシェアの低い企業というのは甘くて。仮説がなぜ甘いのかと言うと、調査をやっていない、情報収集をやっていない。調査費用をケチるんだったら、もう海外なんて行かないほうがいい、アジア新興国なんかやらないほうがいいというぐらいのことだと思うんですよね。いざ、その低い仮説のまま行ったときの損失ね、これをしっかり数字で理解したときに、1年計画から遅れることでどれだけのマイナスになるかということを考えたときにね、本当に調査って重要で。調査を本当にやらない、「いや、そういう予算を取ったことがないので」とか平気で言ってくるので、もう、どうしましょう、この会社というね、調査費をケチるんだったら、海外…。そういう企業に限って、いや、とにかくがむしゃらにうわーって行って、結局、何年か後にまた会うと、同じところをぐるぐるしているという状態で。なんなら担当者が変わってしまっているので、かつての課題感とか目標意識みたいなものももうリセットされているみたいなね、そういう状態が続いて、結局、何の状況も変わっていないみたいな会社が多いので。メッセージとしては、とにかく調査をやってくださいと、インプットを増やしてくださいと、インプットを増やして高度な仮説を立てましょうと、高度な仮説が立てられれば成功確率が上がりますよという、そんなお話でございます。
次回ね、じゃあ、調査調査と言っても、何の調査をやればいいのよと、どういうふうに、じゃあ、予算をつくってね、予算を割いてね。調査の中にもやって無駄な調査もあるわけですよね。もしくは費用を最小限に抑えられる調査もあるので、その辺についてお話をしていきたいなというふうに思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。