東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:森辺さん、引き続きロハンさんをお迎えしているのですけど、今回最終回となりますが、どのような話をしていきましょうか?
森辺:インフォキュービック・ジャパンの代表取締役、山岸ロハンさんをお迎えして最終回なのですけども、3回に渡りグローバルSEO並びにSEMの話をお聞かせいただいたのですけど、ロハンさんの話を聞いていて、こんな風に思うのですけどもね。ロハンさんのお仕事っていわゆる日本企業のグローバル展開のオンライン支援じゃないですか。我々スパイダーの仕事というのはオフライン支援なのですよね。何度か番組でもお話をした通り、お客様の海外の販路開拓を進めていくと、ある一定のレベルにお客さんが到達したときに必ずオンラインが必要になったりするのですよね。それはFacebookもそうだし、SEOもそうだし、グローバルサイトの充実もそうだし、色々なものが必要になってくるので、なくてはならない。オフラインだけで進められるかというと絶対そんなことはなくて、オンラインの部分も持たないといけない。
一方でオンラインだけでグローバルビジネスがなんとかなりますよって言っている企業があるのか、ないのか分からないですけど、それは僕は全くならないだろうなと思っていて。結局商品をサステイナブルに売っていくっていうのって、継続させるためにはオンラインで問い合わせを得るというのもあるし、それはフックしているという話ですよね。問い合わせを得ているという話しで、それはチャネルではなくていわゆる問い合わせなので、その問い合わせがチャネルとは限らない。もしくは適切なチャネルとも限らない。そう考えるとオンラインだけでは中々難しいだろうなと。ただ1発商談の機会は得られるとは思うのです。それが継続する可能性はなくはないと。ただ、戦略的かどうかというと中々それも違うだろうなと。
そうするとやっぱり、両方必要になってくるよねと。たとえば中小企業は1億円の売り上げをあげるためにオンラインだけで海外ビジネスやるぜと。これはオンラインだけで良いと思うのです。ただ、準大手以上になってくるときにオンラインだけでそれが達成するかというと達成してこないので、結局規模にもよってくるのかなと思うのですよね。企業規模がデカくなればなるほど、両方必要だみたいな。その辺ってどうですか?ロハンさん、仕事をしている中で。
山岸ロハン(以下、山岸):そうですね。弊社も本当にオンラインの仕事ばかりやってはいるのですけれども、以前お話をした展示会の例でもそうなのですけれども、オンラインとオフライン、海外向けにどっちを、どっちか先に進めてもいいと思うのですけど、必ずオンラインで進めたらオフラインが必要になりますし、オフラインで進めてもオンラインが必要になる風に思っているのです。たとえばオンラインで進めた場合は、先ほどおっしゃったようにまず引っ掛けてそこから本当にチャネルかとか、形にするにはやっぱりオフラインですよね。電話とか会ったりとか、そういう実際のビジネスが必要なのです。今度オフラインに関しては、オフラインでやっていってそれを効率的に告知するとか知らせるときには、やっぱりオンラインのほうが早いので。なので本当にすごい小さな規模でやるだけとかであればオフラインの一部とか、オンラインだけでいいとは思うのですけれども、やはりそれ以上を考えて発展させていく場合には、どっちかというよりもどっちもであって、ただどっちの順番から先にやったほうがいいかというのは企業の状況とか戦略に依存していくんじゃないかなと思います。
森辺:規模とか何を売っているかとか、誰に売りたいかとか、どれくらいの売り上げがほしいかみたいな、そういうところに左右されますからね。ロハンさんが書いている「ウェブマーケティングで世界を制す、海外SEO、SEM」の中で、グローバルサイト構築のノウハウみたいな章があったかと思うのですけど、このグローバルサイトの構築のノウハウを簡単に順序、ポイントというか説明するとどんなイメージなのですか?
山岸:やはり普通に日本語で作るのでは考えないようなことに気をつかうということが大事なのですね。たとえば日本でやっているとそこまでサーバーのスピードとか、気にしなくても円滑にいけますよね。でも海外だと全くそうではないですし。あと海外向けサイトとなると見方にとっては日本語、英語、中国語となると、それだけで3サイト分を管理するようなことにも取れるわけですよね。そうしたときに、今CMSというシステムで管理システムがあるのですけども、そういうのを使っていかないと非常にあとの保守が煩雑になってしまったりとかもありますし。たとえば文章を作るときとかでも日本語と英語って同じ文章を書いても長さが違うのです。その辺もあまり考えていないと、たとえば見出しを日本語で長く書いてしまうと、英語にしたら2行になっちゃうとか、そういうのも出てくるわけです。そういうのは1言語を作るときには、そこさえ成功しちゃえばいいので考える必要はないのですけれども、海外サイトを作る場合には今お話したようなこととか、ある程度ベトナム向けにやるとなったらベトナムでスピードテストとインターネットを使えば色々なことが出来るので、そういうテストをちょっとかけて。そういうのも無料で海外のサイトはいくらでもありますので、そういうので実際に走らせてみて、これはちょっと遅いからサーバーをちょっと見直そうとかというようなこととかが必要になってきますね。
森辺:そうすると海外は海外なりに色々な事情があるので、日本のベースでそのままやるのではなくて、考え方をローカライズしてやっていかないと思わぬ落とし穴に落ちちゃいますよと、そういうことですよね。
山岸:やはり海外展開の場合は特に、そもそも日本が特殊って考えてやったほうがいいと思います。世界の中でも言語とか文化とか日本って結構特殊じゃないですか。違うと思うのですよね。そこを中心にというよりは、もうちょっと広く視点をもって。1番いいのは自分と同業になる海外のウェブサイトを多く見ることって大事だと思いますね。隣の日本の企業の英語サイトを見てもあまり勉強にならないと思うのですね。それよりは、海外とか欧米とかで同業他社がどんなコンテンツをいれているかとか、というのを見たほうがよっぽどプラスになると思います。
森辺:全くオフラインでも一緒ですね。我々ベンチマーク調査というのをやるのですけど、海外の市場に出るときにその国に既に進出している欧米なりローカルの企業は、どうやってチャネルを作っているかとか、どうやって事業にしているかとか、どうやってプロモーションを打っているかみたいなことを徹底的に調べるのです。そのベンチマークをして可視化した実態をベースにお客さんの戦略を作っていくのですよ。今既存のその市場でのNo.1がどういうことをやっているかということを理解しないと、それを凌駕する戦略なんて出てこないではないですか。同業の日系企業で同じようなステージにいるところの、よくありがちな箱だけ進出とか、パートナー頼り進出みたいなのを見たって参考にならないので、そういう先進的な企業の事例を見てやるということがあるので、まさにそれと同じですよね、きっと。
山岸:たとえばリスティング広告だと、海外だと色々なウェブ用のツールというのがありまして、キーワードとかURLを入れるとその会社がだいたいGoogleで月何百万ぐらい使っていて、どんなキーワードで、どんな広告文とかを全部リストで出したりとか、そういうのを分析していったほうが早いですよね。自分の考えよりは。
森辺:早いです。時間短縮だし、より具体的な戦略が出てきますよね。
山岸:理論的に競合がこうだからと説明もできますし。たとえば競合が料金を全面に出す広告を作っているのであれば、あえてそこで戦わずに品質を見せていこうとか、というような工夫が出来ると思います。
森辺:ロハンさん的に日本企業のグローバル展開において、たとえば大企業と中小企業と分けたときに、大企業だったらこうするべきだ、中小企業だったらこうするべきだみたいな、何かお考えはお持ちですか?大企業はまずやっぱここをやらないといけないよねとか。
山岸:大企業、中小企業って分けるとあれなのですけども、特にウェブで海外展開をする際に、ブランドをあまり軽視しないほうがいいなという風に思います。これ、逆に考えてみるとよく分かるんですけども、日本人が海外のものを買いますよね。ほとんどブランドで買っているのですね。H&Mだから買っているとか、ヴィトンだから買っていると。それは海外でも同じことなのですね。なので、やはり海外でウェブにしろ、成功させるためには、もちろんお問い合わせがくればいいのですけれども、それをやはり確実にするためにはウェブサイトのブランディングというのをしっかりやるというのが大事ですね。
ただ、検索エンジンマーケティングとか、そういうのをうまく使えばブランディングをするのに莫大な資金って必要ないんですね。中小企業なりに枠の中で1つの商品のブランディングというのも作れますし、そういうところはやはり中小企業と大手で結構違います。違いますけれども、中小企業だからブランディングは海外必要ないと、売れればいいのだよというのは中々そうはいかないのじゃないかなと思います。
森辺:消費材なんかだと、コーポレート、会社がどういう会社かというよりかは、その商品のブランドがどれだけあるのかっていうそれですよね。食品にしろ、日用品にしろ、化粧品にしろ、何でも。消費材は商品のブランディングがどれだけウェブでできているかということがポイントになるということですかね。
山岸:結構4、5年前くらいにアメリカで行われたリサーチなんですけども、一般の消費者とかは検索エンジンで上にあるサイトのほうがブランド的に高いと思う傾向があるみたいなデータがあるのですね。要するに、技術者の立場からするとどうやって上にあげるとか知っていますけど、一般的な消費者は何でそのサイトが上にあるか分からないわけですね。でもいつも見るわけですね。というのは、この会社はブランドが強いから検索エンジンで上にあるのだなとかっていうのもあるので、そういう点でもSEO、そういう観点でもSEOは重要ですし、リスティングみたいに手軽に上に出せるような広告は。
たとえば、リスティング広告は先ほどのお話の通りクリックされなければお金はかからないですよね。たとえば、会社名を出しておいてクリックされなくても会社名だけ見てもらえればタダであんないいプレミアムポジションに広告を出せるわけなので、非常に効率的じゃないかなと思います。
森辺:いいですよね。クリックされなきゃお金がかからない。いいですよね。うちも昔出していたのですけど、問い合わせは来ないのですけどクリックだけされるんですよ。競合が僕に課金させるためにクリックしているのではないかなと。
山岸:もちろん意図的にやるというのはそこまではないと思いますけど、やっぱり結構業界の人とかが見たりとか、競合がクリックするというのは。私は競合サイトを見るときは広告をクリックしないように検索エンジンの結果からいきますけど、やはりみんな結構クリックしてしちゃってるみたいですね。
森辺:なるほど、そうですか。そうしたら、まとめると両建てでやっていくっていうことが非常に重要だと。
山岸:やっぱりオフラインとオンラインは反発せずに相互保管するものだと思いますし、それに対して先ほどお話したブランドというのをあまり安く考えない方が海外展開では重要じゃないかなと思います。
森辺:なるほど、分かりました。最後にロハンさん、リスナーのみなさんに何かメッセージなりお伝えしたいことがあれば。
山岸:ちょうど2020年にオリンピックが決まったりですとか、良い意味で世界の中でも日本が注目される時期になってくると思うのですね。それは日本にとっても非常に良いことだと思いますので、この5、6年間というのは、海外展開っていうのは必ずしも大きな投資ではなくても、早く始めて少しずつでも必ず継続してくっていうことをやっぱり経営者の方は真剣に考えてやっていくべきではないかなと思っています。
森辺:なるほど。分かりました。ロハンさん、またぜひ遊びにきてください。どうも、4回に渡りありがとうございました。
山岸:ありがとうございます。
東:ありがとうございました。