森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も暑いですね。本当に毎日暑くて嫌になっちゃうなというふうに思いますが、今日も元気よく話をしていきたいと思います。今日は日本の、消費財メーカーじゃなくてもいいんですけど、消費財メーカー、食品・飲料・菓子・日用品等々の消費財メーカーのアジア新興国市場における課題のステージがいくつかあって、どういうステージの課題で彼らが躓いているのか、これを1つお話をしていこうかなというふうに思うんですが、1つはね、解像度の話、解像度問題の話、もう1つが誰がやるかによって結果が変わる問題みたいな話、この2つについてちょっとお話をしていきたいなと思うんですけど。
まずね、解像度の問題は、結構ね、課題の要因分析が解像度が悪いんですよね。要は、問題が何なのかっていうのがなんとなくぼんやり分かっているんだけども、明確に解像度を上げて見えてないっていうのが非常に多くて。それはなぜなのかと言うと、調査が足りてないんですよね。解像度を上げる方法って何かって言ったら調査ですから、調査することでしか解像度は上がらない。これも自前でできる調査とね、例えば競合調査のように自前じゃ絶対できないような調査、こういうもので言うと、競合調査の解像度がやっぱり非常にぼんやりしているので、自分たちはなんとなくできてないよねと、でも、競合ってどれぐらいできているんだろうか。例えば、どういう規模のディストリビューターを何社雇って、彼らとどういう契約をして、どういうインセンティブと、どういうコミットメントで、どれだけのセールスを彼らに持たせて、自分たちで出しながら、日々どんなところへどれぐらい訪問して、どういう売上になっているのか、それが今のシェアに結び付いているのか、みたいなことがなかなかぼんやりとしか見えてない。ここで戦っていくわけですよね。結局、日本の消費財メーカーが市場で何で負けているかと言ったらチャネルで負けていて、4Pで大きく負けているわけなんですけど、プロダクトとプライスはね、これは本気になったらなんとでもなる。チャネルが改善できないとプロモーションの改善はしようがないので、結局、チャネルでの解像度、ファクト、事実の分析が済んでいないので、ここが1つ大きな問題で。ここを変えていくと、「自分たちは何をやればいいのか」というのが明確になるわけですよね。時系列で、じゃあ、今年1年、来年、再来年、どういうところを目指してどうやっていこうというのがまず明確になる。これが明確になると、初めてTo Doが前に進んでいくわけなんですけど。とにかくね、なんか10年前と課題感が変わってない企業というのは、ずっとぼんやりしたままの状態、解像度が悪い状態でずっときていて、上も代わるし下も代わるので、なんとなくそれがずっと引き継がれてきていると。どこかでいよいよまずいなとなったときに、もうその市場を諦めるのか、どうするのか、みたいな話になってしまうんですけど。やっぱり解像度を上げるということはね、すごく僕は重要だなという。もう9割方、やっぱり見えてない。われわれより、まず見えている企業が過去に、じゃあ、25年間の私のキャリアの中でいたかと言うとね、1社の事例もないですからね。「もう完全に分かっています」と、「あなたたちよりよく見えています」みたいな企業はまったくなくて、「そこそこ見えているよね」という企業も数えるほどですよね。多くは、われわれが見えている景色の半分も見えていないという、そういうのがやっぱり非常に多かったので。じゃあ、われわれが見えている景色って、とてつもない解像度なのかって言うと、レベル高いんでしょうけども、でも、やってやれないことはないというか。お客さん自身も自前では無理ですけど、見れるレベル、何て言うんですかね、何かを透視して見てるような世界観じゃないのでね、当たり前の調査をしっかりとしたところと一緒にやっていけば、ちゃんと見ることができるような内容だと思うので、やっぱりそこが1つ大きな課題としては存在するなと。
もう1つが、それは過去にやったんだけども駄目だったというね。これは誰がいつどういうふうにやったのかによっても全然結果が変わってくるので、「伝統小売回ったんです。モノ置いたんです。でも、売れなくて戻ってきてしまったんです。だから、伝統小売やっても無理なんです」みたいなね、「おいおい。ちょっと待ってよ」と、「何年の、それは何年の時代に、伝統小売でどの製品を、いくらで、誰が、どういうふうに置いたの?」と。それね、まずそもそも売れる形態になっていない。例えば価格帯もそうだし、ばら売り、なんとか売り、入り数もそうだしね、グラム数もそうだし、そういうものが全部セットになって置いて初めてセルアウトするとかしないとか、もしくは伝統小売も、どの地域のどの店舗でやったの?と。何百店舗、何千店舗、何万店舗でやったの?とかね。どれぐらいのそのあと訪問をしているの?と。フォローしているの?と。やり方によって全然結果なんて変わるので、やったけど駄目なんだったんですということをわれわれがもう1回やってできたというケースがものすごく多い。というか、やるということは、結果が出ないとやらないので、やってみて結果が出なかったっていうのは1社の例外もないですよね。そういうケースは見当たらない。なぜならば、やっても出ないって分かっていたらやらないので。なので、それはね、1つ大きな問題としてあるかなというふうに思います。
だから、やっぱり解像度を上げるということと、上げた解像度で対策を考えられるわけですよね。勝ち筋を考えて、じゃあ、それを実行するというときに、誰がどうやるかの組み立て、これがまさに戦略だったり戦術だったりするので、ここは誰がやるかによって結果は大きく変わりますよというのは1つあるので、まあまあ、大きく2つ分けるとその2つになるんじゃないかなというふうに思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。