森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。前回に引き続き、輸出でやる場合の重要な2つのことの続きのお話ということで今日もお話をしたいと思います。対象は、食品・飲料・菓子・日用品等のB2Cの製造業向けになります。対象地域は、アジアに限らず新興国全般ということにしておきたいと思います。
前回、輸出でやる場合に、われわれが支援をする際に非常に重要とする2つの項目がありますよと。それは、1つはお客さんの商品を「どこで売るべきなのか」ということと、「誰と売るべきなのか」という、この2つを非常に重要視していますと。特にこの「どこで売るのか」「誰に売るのか」ということですよね。「どこで」というのはね、「誰に」というのは消費者だし、「どこで」というのはお店なので、B2Cの場合はお店で売りますよね、オンラインかオフラインのお店。オフラインだったら、近代なのか、伝統なのか。プラス、オンラインと。オンラインもね、今はただ単にEコマースというだけじゃなくて、TikTokショップ含めてオンラインの幅も広がっているので、「どこで売りますか」と。それが決まって初めて、じゃあ、そこに売ることを得意としている、そこに確実に売れる「誰」を決めていくという話を前回したよねと。今日はその続きで、この「誰」を選定するね、発掘選定することにしっかり予算を割いて、労力を割いて、時間を割いてやりましょうという話をしましたと。非常にここをね、「誰」を選ぶかによって、成功確率の7割は決まってきてしまいますよと。駄目な相手といくらやっても、それは永遠に駄目にしかならないし。例えばタイでね、セブンイレブンを獲らなかったら意味がないのに、セブンイレブンに入れたことのないディストリビューターといくらやったって、これはセブンイレブンと口座を開くのにまず1年2年、そういう時間軸になってしまうので、なかなか難しいよねということを前回お話をしたと。
万に1つね…。選択肢って、1カ国20…、最大で20~30なんですよね。もっと言うと、やっぱり10ぐらいのところからどこにしようかっていうのを決めていくというのはね、一カテゴリー、商材カテゴリーあたりね、それぐらいしかディストリビューターってないので。そもそも絶対評価をする以前に、こういうところは駄目っていうのでバッサリ切られている。その最大の母集団がたぶん30で、そこから絶対評価でバサバサ切っていって最終的に相対評価をしていくわけだけども。その中でね、なぜこの発掘選定にしっかり時間を取ってくださいと、たまたまいいところと出会えたっていうことじゃ駄目なのかって言うと、これね、再現性なんですよね。実はベトナムで、今、ビジネスをやっていて、たまたまベトナムは良かったと。良かったんだけど、そういう企業も確かにあります。でもね、一方で30年前からここ付き合っていて、そもそも向こうからのアプローチで、当時そんなに考えなくてとかね、あと、もしくは当時の海外事業部長がこことやると決めてきて、今、専務でなかなかそこを切り替えできないみたいな、こんな事例もめちゃめちゃ多いので。そういう状況で本当にそこがいいのか分からないと。今見たときにね、30年前は別にアジア新興国なんて大してマーケットとも思ってなかったからどこでも良かったと、ある程度しっかりしているところだったら、どこでも良かったけども、今そこでいいのかって言うと、絶対がないと。ただ、30年も一緒にやってきてしまったから、そう簡単に「はい、さようなら」にはなりませんみたいなね、こういうケースというのは非常に多いわけですよね。そうすると、やっぱりビジネスパートナー、モノを売ってもらうビジネスパートナーというのはね、そんなに「はい、さようなら」という話にもならないのでね。30年続いてしまったという、この積み重ねはやっぱり大きいし、国によっては販売店を保護するような法律もあって、なかなかすぐに契約解除できなかったりとか。あと、高いのれん代払って解除したりとかっていう例もあるので。やっぱりそんなことを考えたら、最初にちょっと費用を使ってしっかり決めておくというほうが効率いいですよね。費用対効果がいいし。
さっき言った再現性の話もね、たまたま成功、ベトナムで成功しても、インドネシアで成功できない、フィリピンで成功できない、タイで成功できない、その成功事例が型として社内に残らないので、再現性がないんですよね。どうやってはいけないかという、やってはいけない再現性、それだけでもしっかり社内に蓄積しないと、海外事業が強くなっていかないですよね。海外事業が強い会社って、やっぱり再現性をしっかり求めてやっていくので、どういう基準でやっていくと確率が上がるのかというね。絶対はないので、「このやり方をやれば絶対成功する」はないんだけども。結局、確率論ですよ。確率をどれだけ高められるか、もしくは失敗の確率をどれだけ下げられるか、成功の確率をどれだけ上げられるか。そう考えていくと、この再現性を極力持って成功の確率を高めていくということをやっぱり考えないといけないので。「たまたま」をなくそうと言っているわけなので。たまたま良かったらね、「今いいからいいや」って人間なるんですよね。今良ければなんとかこの先も明るい未来がって。でもね、いざ嵐の中に入ってしまったときにね、「昨日まであんなに晴天だったのに、急激に」ってなっていくので。やっぱりここは企業である以上ね、存続していかないといけないので、しっかりと再現性を求めるというね、そういうふうなマインドセットはしっかり持つ必要が僕はあるなというふうに思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。