東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:森辺さん、何か告知があるようで。
森辺:ツイッター最近がんばってやってましてですね、@kazukimoribeなんですが、海外に出張なんか行ったときに僕が見たり感じたりして面白いなって思ったものを写真付きでアップしたりしてますんで、ぜひリスナーの皆さんもツイッター併せて見ていただければと思います。よろしくお願いします。
東:ちなみにスパイダーの公式アカウントもありますので。
森辺:あ、なるほど。併せてよろしくお願いします。
東:じゃあ森辺さん、前回チャネル構築っていうところで、重要な要素をいろいろ教えていただいたと思うんですけど。そもそも、グローバルマーケティングとかチャネル構築とかグローバルチャネルとかいう感覚が、まだまだB to Bの企業さんには浸透していないのかなっていう、我々の力不足もあるんでしょうけど、っていう実感をまだ受けるんですけど。どちらかというとやっぱりB to Bの企業は前回言われてた、営業が強くて、マーケティングって言われても「学問なの、難しそうだね」って終わっちゃうような企業さんがまだまだ多いような実感なんですけども、その辺どう感じられますか。
森辺:B to Bも、特に下にいけばいくほど、マーケティングって言葉を口にするだけで毛嫌いする会社さんってやっぱり多くて、非常にその傾向は強いと思います。生産財のメーカーですよね、B to B。大企業であってもマーケティングとかグローバルマーケティングというものに対するアレルギーというか抵抗というのは非常に強いと思います。
東:ただそうは言っても、1つはたぶん、今5~60代の方が結構上の役職にいらっしゃって、今さらマーケティングって言われても、っていうことを思っていらっしゃる方も多いのかなという一方で、今の我々と同じ世代、3~40代は、そうは言っても営業だけじゃ難しいんだよね、っていうようなことに気づきつつ。このポッドキャストもおかげさまでたぶん3~40代の方が結構送っていただいて、マーケティングっていうのに反応していただいている方々多いと思うんですけど、そういう組織の中でのギャップも1つあるのかなって感じるんですけど。
森辺:そうですね。特に年齢が上になればなるほど、こんなこと言ったらあれかもしれないですけど、僕もマーケティングなんて嫌いなんですよね、本当はね。ただ海外で物を売るっていうことが僕のお客様に提供できる最大の価値であるという風に思っているので、そうすると海外で営業力をいくら駆使しても物は売れないんですよね。それを実感した10数年があるので、僕はグローバルマーケティングが必要だと言っていて。
特にB to Bの会社さんってB to Cに比べたら消費者の需要性とか購買行動ってそんなに頻繁に変わってこないじゃないですか。いわゆる産業とともに成長してきてるわけですよね。1つのイノベーションが産業に生まれて、こういう部品を使わなくなって、これで代替できるようになったから取引先が変わるとか製品が変わるとかってことが数年単位で起こっていくわけですよね。当然エレクトロニクスの業界だともっともっとそのスピードが速くなるものの、基本的には消費財メーカーさんに比べたら生産財メーカーは、そういう面ではゆっくり進んでいる。すでに直販の生産財メーカーも代理店を使うようなA to B to Bの生産代理メーカーも、いわゆる、きっちり出来上がったインフラの上で、顧客のニーズも変わらず、決まったものは決まったルートを通じて、決まった価格で、決まったタイミングで売られていくっていう、ここに慣れているわけですよね。
だからそれをフォローするルート営業みたいなものが進化していって、「今期きついんでちょっと在庫持ってください」とか「何とかしてください」っていう営業力で云々みたいなところはやっぱりあれしてて。僕自身も営業大好きだし自分は営業マンだって思ってるんですけど、海外出ると、その売る営業をするインフラがまず整っていないから、それを作るのがグローバルマーケティングなわけですよね。なのでB to B企業こそ、そこをやらないといけない。
東:なるほど。なんかマーケティングっていうと営業を否定してるみたいに捉えられる方もいらっしゃるのかなって思うんですけど、決してそういうことではないんですね。
森辺:ことじゃないですね。グローバルマーケティングを駆使してしっかりチャネルのインフラができちゃえば、営業はその上で活躍をするものなので、活きてくるわけですよね。ただ今、海外ってなるとインフラがないので営業が活きないでしょうと。線路がないところに電車が走らないのと一緒で、営業マンは電車なわけですよね。グローバルマーケティングは線路なので、その線路を先にひけってことを申し上げてるだけなんですよね。
東:その線路さえひいてしまえば、日本企業の営業力は強いわけだから、十分欧米企業にも立ち向かう可能性は秘めてるという。
森辺:あると思います。営業マンのレベルで言ったら、たとえば、日本の営業マンが新幹線だとすると、海外の企業の営業マンなんて、どっかの地方の単線ぐらいな話で。もしくは日本の中古の電車がアフリカで走ったりしてますけど、そういうぐらいのレベルの差は僕はあると思うんですよね。だからすごくもったいないなというのを思ったりします。
東:そうすると、B to B企業なんか特に、セットメーカーさんなんかは違うのかもしれないですけど、多くはセットメーカーがお客さんで、部品メーカーだったり、ティア1、ティア2と呼ばれる自動車の下請けになってしまったり。そうするとセットメーカーさんが海外に出て行けば、売り上げが海外で拙いっていうメーカーさんって意外と少ないと思うんですよね。そうすると前回言われた、日本企業と欧米企業、ローカル企業って言った時に、日本企業はいけてると。欧米もちょろちょろいけてる。でもいざローカルとなると、そこが戦略的にできてるかどうかっていうと、まだまだできてない企業さんもいると思うんですけど、その必要性をまだまだ感じてないのか、感じているけどどうしたらいいのか分からないのか、っていったらどんな感覚なんですかね。
森辺:後者だと思うんですよね。日系のたとえばセットメーカーに商品を販売している会社、もしくはセットメーカーがその最終製品を作っているメーカーに出してるケースってあるって思うんですけど、最終製造業、最終製品を作る製造業自体もグローバル競争の真っただ中じゃないですか、その中で使う部品を日系でずっとやれるかっていうと、当然そうではないわけですよね。どんどんどんどん変わっていかないといけないので。そうすると、今まで信じて納品してきたのに、「えっ」ていうことがもうすでに起きてるし、量が少なくなってきてるし。
たとえば自動車の部品だって15年ぐらい前にアジアで自動車部品まともに作れる会社なんて無いって言われてたわけですよね。日系企業がガーっと出て行って、今でもアジアでも部品作れる会社さんいっぱいあるわけで。そういう状況がいろんな産業セクターで起きてくるわけですよね。だからそれがじりじりじわじわ来て衰退していくのを待つのか、ちゃんと非日系への販路獲得に投資をするのか。
結局なんか僕、グローバルマーケティングとかチャネルって、5年10年先の自分たちの会社への投資だと思ってるんですよね。それを今やれるかやれないかで10年後、15年後の経営が大きく変わってくる。そういうものだと思っているので、ほんとに経営者の判断というか気づきというか、そういうものだと思うんですけどもね。
東:そうすると、ある程度、長期的な視野がないと、なかなか難しいと。
森辺:たとえば今までB to Bで日系企業にしか売ってないと。欧米・ローカル系には売っていないし、なんとなくこんな感じだっていうのはわかってるんだけど、そこから一歩進めない、やれる人もいないってこう考えられてる企業さんがいらっしゃってね。こういう会社さんが日系とおんなじように非日系にも売れるような仕組みを作るのに、3年くらいはかかるわけですよね。3年ぐらいかかるので、そこにどれだけ会社が投資をしていけるかっていうことが、すごく重要なわけですよね。
日系が今までみたいにグローバル競争でも勝ち抜いていくんだよと。自分たちが納めてるその会社さんがね、最終エンドメーカーが勝っていくんだということであれば、それでいいでしょうけども、必ずしもそうじゃないので、そこは非常に厳しいところですよね。
東:そうするとB to Bの企業もグローバルマーケティングってのを全部わかる必要はないかもしれないですけど、少しずつ分かっていかないと、どこかで行き詰ってしまうっていうのがありますよね。
森辺:グローバルマーケティングを分かっていくってすごい重要なんだけど、グローバルマーケティングを分かりましょうっていうとなんかお勉強しましょうみたいな風に聞こえるんで。僕よく使ってるのが、「戦略作りましょうよ」と。数字的な中期経営計画とか作るわけじゃないですか。その数字の根拠をしっかり詰めていくための戦略をきっちり作りましょうと。その戦略を作るためにグローバルマーケティングが必要で、その戦略の大部分がチャネルが占めていて、そのためのグローバルマーケティングなんで、戦略を持つということなんですけどもね。
東:わかりました。じゃあ今日ちょっとこの辺でお時間が来てしまったので、次回その辺の戦略をどうやって持ったらいいのかっていうことをお聞かせいただきたいと思います。今日はありがとうございました。
森辺:はい、ありがとうございました。