森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、アジア新興国市場でいかにして売上を上げていくのか、その方法論について少しお話をしていきたいなというふうに思います。対象地域はASEAN、インド、中国などの…、中国は新興国じゃないですけど、いわゆる新興国市場をちょっと想定していただいて。FMCG、日用消費財、食品・飲料・菓子・日用品等がいつも通り例題、主題にはなってきますが、B2Bの製造業も参考になると思います。
どのように売上を上げていくのかということなんですけど、それこそがマーケティング活動であって、マーケティングとは売れる仕組みをつくること、多くの日本の製造業は日本でなぜ売れているかというと、もうすでに売れる仕組みがそこにあるからと。売れる仕組みがあると、今度は何をするかというと、営業力を強化するということをやっていくわけですよね。なので、日本だと、さらに売るためには営業力の強化とか、あと、新製品開発とか、そういうところにフォーカスが移っていくと。一方で、新興国市場は、日本国内の市場と比べるとどうかと言うと、いろんなことが整っていないわけですよね。例えば自分たちの知名度とか、信頼とか、商品ラインナップとか、あらゆるものが日本と比べて未整備の状態。つまりは売れる仕組みそのものをつくっていくという、そういうことが必要な市場なので、売れる仕組みがまだ脆弱なところにいくら営業力を強化してもね、もしくはいくら新製品を出したとて、それはさらなる売上拡大にはつながらないですよと。なので、新興国市場でまずやるべきは、売れる仕組みを、じゃあ、つくっていきましょうと。
売れる仕組みって、じゃあ、どうやってつくっていくんだということなんですが、基本的にはターゲットに対していかに4Pを最適化するか。4Pが最適化すると、4Cの観点で見れるようになるので、いかに4P・4Cをターゲットに対して最適化していくかと。まず、このターゲット、「誰に売るか」ということは、「誰と売るか」とか、「どう売るか」とか、「何を売るか」とか、そういったことよりも圧倒的に重要で。だって、この「誰」が変われば、「どう売るか」も、「何を売るか」も、「いくらで売るか」も全然変わってくるわけなので、まずターゲットを明確にするということはすごく重要で。特に、日用消費財の場合は、もうこれは中間層しかないんですよね。100円、200円、言っても数百円のものを売るのに、数が勝負なんですよね、日用消費財って、Fast Moving Consumer Goodsと言われるぐらい、いかにたくさんの人に、いかに早い頻度で、いかに繰り返し永遠に買い続けてもらうかということがビジネスモデルの肝なので。基本的にはもう中間層しかないので、ここの議論でまずは富裕層からとか、上位中間層からとか、こういうスタートを切ってしまうと、結局、実際スタートはそれでもいいんだけども、結局、中間層の本丸は狙えていないよねと。その狙えていない理由は、いや、自分たちはプレミアムなのでと、そこに行くと自分たちのブランド力が下がるのでということになってしまうんだけども。でも、ブランド力とターゲットってまったく別の次元の話なので、欧米の先進グローバル企業は中間層ど真ん中を狙っているけど、じゃあ、彼らのブランド力は低下しているのかと言ったら、そんなことはなくて、むしろ上がっていて。ブランドは品質が決めるのではないし、価格が決めるのではなくて、人々が頭の中にイメージするものがブランドを決めるので、基本的にはそこの議論は違いますよと。2軸の話なのでね、ターゲットをまず明確にしていくと。
ターゲットを明確にしたあとに、この4P、プロダクト、プライス、プレイス、プロモーションを4C観点で考えていく。4Pというのはメーカーの観点、どういう製品をいくらで売りたいのか、どこで売りたいのか、どう知ってもらいたいのか。一方で、4Cというのは、カスタマーに対してのバリューは何なのと、プロダクトはカスタマーバリューに置き換えられるし、プライスはカスタマーコストに置き換えられるよね。プレイスに関しては、カスタマーのコンビニエンス、利便性に置き換えられるし、プロモーションに関しては、カスタマーとのコミュニケーションに置き換えられる。こういう観点でターゲットに対してこの4つを最適化していくと。この4つが最適化、ターゲットに対して最適化すると、商品は売れ続けますというふうに、マーケティングの父、フィリップ・コトラーもずっと言っていて。これはいわゆる定説なわけですよね、マーケティングにおいて。ターゲットに対して4つが最適化されているのにモノが売れないなんていうことは物理的に起こり得ないので、売れていないとすると、必ず問題はここにあるので、ここを調整していくということになるわけですね。
日本企業の場合は、このプロダクトのところにどうしても、4Pを最適化と言うんだけども、プロダクトでっかちになってしまう。頭でっかちの意味なんだけど。(笑)プロダクトでっかちなんて言葉はないんだけども、分かるかな、イメージはね。「プロダクトが良ければ」というところにどうしても日本の製造業は頭がいってしまうので。でも、その良いもね、われわれ日本人が考える良いだったりするわけですよね。確かにインバウンドでは良いかもしれないけど、それは現地で、ローカルで戦う商品で考えたときに良いかっていうとね、そんなことなくて。皆さん、ハワイに行ったらね、決まってハワイアンクッキー買ってくるわけじゃないですか。ハワイで買うから、ハワイアンクッキー高くても買うんだけども。めちゃめちゃ高いですよね、あれね、最近ね。あれ、コンビニで売ってたら買いますかって、スーパーで売ってたら買いますか、日本のね。絶対、買わないんですよ。だから、そこも勘違いしちゃいけないんだけども。プライスね。プライスはね、結局、日本企業は、業界が変わるとちょっと安く売りすぎるというのはあるんだけども。でも、1円でも基本的には高く売ることはすごく重要なんだけども、言っても日用消費財なので、許容範囲というのが絶対あって。どんなにプレミアムだからと言ってね、そんな値段つけたら売れませんよという話なので、そこはやっぱり理解をしていかないといけない。また、プロモーションが、これは一体となっていかないといけないので、誰も知らないのに、品質良くて、値段は日本だから高いよと、でも、誰も知らないではやっぱり難しくて。高い理由をどうやって知ってもらうか、コミュニケーションして知ってもらうかっていうことはすごく重要なので。まあまあ、この3つのPがあって。特に日本企業はプロダクトでっかちになり過ぎていると。
一番盲点なのが販売チャネルで、プレイスですよね。コンビニエンスですよね。ここはね、目に見てどれだけ脆弱かが分かる。競合の販売チャネルの競争力を100とした場合に、日本企業の販売チャネル、自分たちの販売チャネルの競争力はどれぐらいかって、これをまず明確に理解している人や企業が非常に少ない。多くの場合は競合が100に対してね、一番強い競合が100に対して、50にも満たっていない、40とか、30とか、20みたいな、こういう状態の企業が非常に多くて。僕の経験から申し上げると、このチャネルをチューニングするだけで売上拡大、非常に早く直結していく。最終的にはここのチャネルの、4輪駆動で考えてもらったらいいと思うんですが、4つのタイヤが同じ大きさで同じ速度で前を向いていないと前に進んでいかないわけですよね。売上拡大が前にあるとすればね。前輪だけが速い、前輪の左のプロダクトだけが速いスピードで回っていて、残りのタイヤは非常に遅く回っていて、なんならチャネル、プレイスに関しては非常にタイヤ…、速度が止まってしまっていると。そうすると、プロダクトのタイヤだけ、左前だけが速く回っていますから、ずっと左回転してスピンしてしまうわけですよね。これを正していかないといけなくて。特にこのチャネル。チャネルを本腰入れて再構築していく。これは別にディストリビューターをすぐ替えましょうという、そういう単純な議論ではなくてね、チャネルを再設計していくということはすごく重要で。
われわれのここ6、7年の仕事は、このチャネルの設計、再設計です。基本的には大手の消費財メーカーでもうすでに出ている企業さんがクライアント9割ですから、基本的には今あるチャネルを評価して、再設計して、それを実装していくというね、これは設計だけしても、実装しなかったら機能しませんから。この設計をね、まずやっぱりしっかりやっていかないと、単に販売活動を強化しましょうという、そういうシンプルな話じゃないですよね。チャネルに鞭打って、販売活動を強化しましょうって。いや、そもそも駄目なチャネルにどれだけ鞭打ったって、それは無理ですよと。ここに気づけている企業はやっぱり早いですよね。トップが腹を決めてしっかりチャネルの再設計をしていく。だって、どんなに細い水道管に圧力をかけたって、それはたくさん水は流れない。そもそもこれは細すぎるんだから、詰まっているんだから、水道管をデカくしなきゃという話に近しいのかもしれないですが、販売チャネルの設計ということは非常に重要なキーワードになってくる。
次回、この販売チャネルの設計について少し深堀っていきたいなというふうに思います。今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。