森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、前回からの続きですかね、販売チャネルの設計について今日はお話をするというふうに前回お約束をしているので、販売チャネルの設計についてお話をしていきたいと思います。
前回、どうやって売上を拡大していくのかということの中で、最後、終盤、販売チャネルの設計が結局は重要なんだよと、単なる営業活動、販売活動の強化なんていう単純なことではなくて、そもそもの販売チャネルを設計していく必要があるんだと。われわれのクライアントの9割は、もうすでに進出をしている大手になるので、設計を1からやるかというよりかは再設計に近いかたち、今ある設計を生かしながらどう再設計できるかという、そういうことになってくるわけなんですが。考えても分かる通り、たぶん日本の製造業、日本では販売チャネルがあるので、販売チャネルを0からつくる、あんまり想像しないのかもしれないですよね。とにかく、これは消費財、日用消費財の市場に限らず、日本の企業の海外展開においての最大の弱点は、突き詰めると販売チャネルなんですよね。もちろんターゲットに対する4P・4Cをどう最適化するかという、ここのマーケティング全体のこのパズル合わせというところはもちろんあるんだけども、それをグーッとさらにフォーカスしていくと、販売チャネルが著しく劣っていますよと。
この販売チャネルの設計とか再設計って、やっぱり重要なのは、ずっとこの番組でも言っている、基準値を持つということなんですよね。基準値って何かと言うと、自分たちはシェアを上げたい、売上を上げたいということはシェアを上げないといけないわけで。シェアを上げていくためにはね、これはひとりよがりじゃないですよね、シェアというのは。他人から、他社から1%のシェアを奪うから自分たちのシェアが1%上がる。近代小売、伝統小売、伝統小売のストアカバレッジを上げるからシェアが上がる。近代小売の棚のSKUを増やすからシェアが上がる。存在感を上げていくという。このシェアというのは他人から奪っていく話なので、やっぱり敵を知るということはすごく重要で。僕が言っている基準値というのは、ベンチマークをする競合の競争力、特に販売チャネルの競争力を100とした場合に、一体自分たちの販売チャネルの競争力がどれぐらいなんだと、多くの場合は80とか、70とか、20~30の差なんていうことはないんですよ。もう私がこの25年間で見てきたチャネルの開きってものすごく多くて、最低でも50とかね、彼らが100だったら、自分たちは50とか40、30、なんなら20、10という企業もいるぐらいに、本当に販売チャネルの競争力の開きというのは大きい。なんか気づいたらこういう販売チャネルになっていましたとか、いや、基本的にはディストリビューターに丸投げ、お任せですとか、あと、二次店をたくさん使っているようなんだけども、二次店に関してはもうブラックボックスで何も分かりませんとか、基本的には合弁でやっていますが、販売・マーケティングに関しては先方主導でやっていますとか、理由は特に考えたこともないんだけども、1カ国1ディストリビューター制でやっていますみたいな、管理が楽なのでとか、自分たちのディストリビューターが一体全体この業界内でどれぐらいの位置づけなのかということもよく分かっていませんと、そういうようなことは全然あって。本当に販売チャネルが弱い。
これは自社の営業に関してもそうですよね。例えば分かりやすいのは、基本的に業界の主要なプレイヤーは、ディストリビューター、1日にお店30件回っていますよと。自分たちは蓋を開いたら15件、半分でしたと。営業マンにヒアリングするんだけども、よく訳分からない言い訳をしますというような状態であったりとか。離職率もとにかく激しいと、せっかく定着したと思ったら辞めていくと。一方で強豪はどうなんだ。この直販ないし中間流通経由、ディストリビューター経由の販売チャネルそのものも見ていくと、そこの競争力には大きな差があって。ここを強化していくということをやっぱりしっかりやらないとね。だって、製品を開発して製品化するまでにものすごく努力を、血のにじむ努力をしているわけですよ。コストにだってそうだし。なぜチャネルに関して、いやいや、このディストリビューターに全部お任せなんですという、そんな安易なことをずっとやってきたんですかと。チャネルに関してだって、製品開発したのと同じぐらいに、コストを下げる努力をしたのと同じぐらいやらないと駄目じゃないですかと。プロモーションに関しては、いや、売れたらちょっと投資してみようと思いますって、そんなことを言っていたら一生売れませんみたいなね、そんな、前輪駆動もしくは左前輪、プロダクトだけ駆動みたいな、こういう状態になっているというのが多くの場合であると。なので、われわれはこの販売チャネルの再設計をしていく。
これも非常にノウハウの要る仕事なので、あまり競合がいないというのと、われわれもそんなに何社もお引き受けができないので、限られたお客さんと10年スパンでお付き合いしていくという、そういうスタイルにどうしてもなりがちなんですけど。でも、この販売チャネルのやっぱり設計って、高いビルを建てようとしているのに設計図なかったら建たないし、美味しい料理もレシピがなかったら再現性がないわけで。それと同じで、販売チャネルだってしっかり設計を持つべきなんですよね。その設計がひいては型になって、それがあるからどの国に行っても同じように成功が、体験つくれるという話なので。なんら設計図も持たずに、属人的に、この国、あの国、その国で販売チャネルをつくったって、そんな無駄なことはないので。本当にこの販売チャネルの設計というのはすごく重要。誰が設計するか、どう設計するか、これによってどれだけ高いビルがその上に建つかというのはまた大きく変わってくるので、すごくこの設計というのはうちの中でもデリケートに取り扱いをするという話かなというふうに思います。
もちろん設計するためにどういうことをしていくのかというと、市場分析とか、競合分析とか、それをベースにしないと販売チャネルの設計なんてできませんから。ディストリビューター戦略の設計をしたり、価格マージンの設計をしたり、実際の実装をしていくということを前提で設計しますから、ロードマップをつくったりするわけなんですけど。これもまた難しくて、設計して、はい、終わりというよりかは、その設計をどう実装させていくかというね、これのほうがやっぱり数倍難しい。数倍で済むのかな。なので、この設計と実装をしっかりと腰を据えて数年越しでやっていく。こういうところにしか、僕は新興国市場での勝ち筋というのはないんじゃないかなと。なんかラッキーで、良いディストリビューターに出会えました、バーン、はい、行きました、それは続かないですよね。良い商品出しました、ボーン、ブームになりました、ガーン、売れました、それも続かないですよね。万に一つそうなったとしてもね。やっぱりどうやって中長期的に持続的な成長を築いていくかっていうと、販売チャネルをいかに設計して、実装していくか、ここが大変重要だというふうに思います。
皆さん、今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。