森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDER INITIATIVEの森辺です。前回、販売チャネルの戦略、設計思想を持つことはすごく重要で、設計をするために何が必要かというと、基準値をつかむこと、基準値をつかむためには競争環境の可視化が重要で、この基準値というのは2つの意味がありますよと、1つはリファレンス・バリュー、1つはベンチマークという、そんなお話を前回してきたと思うんですが、今日はその流れで、じゃあ、実際に競争環境を見るときに何を見ればいいの?と、そういうお話をしたいと思います。
競争環境、競合調査、平たくいうと競合調査ですけども、競合調査をするときにね、あれもこれもそれも、いっぱい知りたい、いっぱいガーッと書いてこられるお客さんの要望を僕も何回も見るんだけども、結局、競合調査ってコストがかかりますよと。やることを絞るということはすごく重要で、湯水のように予算があれば何でもかんでも調べたらいいんでしょうけど、結局、何のために競合調査をやるのかということがすごく重要で。競合の実態を知ってふーんって思うんだったら、競合調査なんてまったく意味がなくて。じゃあ、得た情報を何にどう変えて、どういうアウトカムを出すの?ということはすごく重要なわけですよね。勝つためのね、競合に勝つための戦略設計をするために競合調査をするというふうに僕は考えているので、それ以外で競合調査なんてまったく要らないので。そうすると、やっぱり調べるべきというか、見るべきは、複数の競合ね、自分たちがこことこことここを調べないといけないという、強い競合のチャネル・ストラクチャーと組織体制、それからマネジメント体制、もうこの3つだけでいいんですよね。あとの情報なんて枝葉な話だし、そのうち見えてくる。徹底的に見ないといけないのはこの3つ。
チャネル・ストラクチャーってもうね、デザインなので、どういうデザインを描いているか、競合がチャネルをどうデザインしているのかということが、チャネル・ストラクチャーをパッと見たら、インドネシアでこの業種でこのストラクチャー、はい、シェア獲れていませんねとか、インドネシアでこのカテゴリーでこのストラクチャー、たぶんシェアこれぐらいだろうねって、それ見ただけで分かるぐらいすごく重要なもの、チャネルのストラクチャー。多くの日本の消費財メーカーは、これは消費財メーカーに限らずB2Bもなんだけども、そもそもチャネル・ストラクチャーの時点で大きく間違っている。なぜか理由なき1カ国1ディストリビューター制でやっていて、そのディストリビューターが本当にどこが強いのか、どこが強くないのかということを20年付き合ってきてやっとようやく今分かり始めたみたいなね、こういう状態の企業って全然少なくない。普通にたくさんいらっしゃる。そもそも設計思想なく、なんとなく大手で実績のありそうな、向こうから声をかけられて、ディストリビューターとして長年やってきたという経緯があるので、ストラクチャーがそもそも違う。強い企業のストラクチャーはね、やっぱりシェアの高い企業はなるべくしてシェア高いんですよね、もうストラクチャーが全然違うので。これと自分たちのストラクチャーを比べたら一目瞭然で、なるほどねと、もうこの時点で分かるし、このストラクチャーにはなぜこうなったんだろうと、今のストラクチャーがまだ成長途中なのか、進化途中なのか、それとも最終形態なのか、これね、われわれは歴史を追っていくんですけど、どういう変化形態を遂げてそうなっていったのか、そこには必ず理由があるんですよ。やっぱり欧米の先進的なグローバル企業も昔は失敗をしている、そこから今の形態になっていっているので。これは非常に面白い、勉強になるんですね。
次に見るのが組織体制なんですけど、基本的に例えば消費財メーカーなんかは、もう伝統小売のストアカバレッジをどれだけ獲れるのかということと、その店でのインストアマーケットシェアをどれだけ高められるのかって、もうこの2点の戦いなんですよね。これは近代小売でもそうなんですけど。これをどれだけ効率よく回すかという、もうここの勝負になってきますと。プロダクトの勝負でもない。プライスの勝負でもない。このチャネルを…。プロダクトとプライスが良いのがもう当たり前の大前提として、それが悪かったらそもそも売れないんだから、ここはもう大前提としてある。その上でチャネルの効率化をしていって、効率化されたチャネルにプロモーションを当てていくと、それが最大限回っていくという、こういう構造なので。その組織がね、まず人が足りないというのは、これはもう、とにかく数で負けているというのは日本企業の消費財メーカーの場合は多いですよね。じゃあね、数を同じにすればいいのかって、こういう非現実的な戦略を僕も言うつもりなくて。欧米の先進グローバル企業は500人、1,000人、1,500人単位で自社のセールスを突っ込んでいるところに、日本の消費財メーカーにそれと同じことをやってくださいって、絶対できないので、そんなことではなくて。ただ、最低限揃えないといけない球数というのはやっぱりあってね、向こうが1,000人使っているのに、こっち15人で何をやるんですかと、何をやりたいんですかという話になるので、やっぱり最低限必要な球数というのはあって、それがどういう人数なのか。また、日本企業の場合は、その1人1人の球がやっぱり強い企業に比べて非常にスキルセットが劣っている。うちはまだシェアが低いので、お給料が安いので、良い人材雇えないんですよと。いや、だったらずっとそうですねという話で、自分たちはシェアが低いから良いお給料を払えないのは自分たちの都合であって、雇われる側からしたらまったく関係なくて、やっぱり1ドルでも高い企業で働きたいと思うわけですから。そういう経済合理性を欠いた話をしていると、なかなかちょっと前には進まないという現状があったりとか。
あと、組織とマネジメントは常にセットなので、そもそもリーダーが悪いとか。あと、そもそもマネジメントの仕組みが悪いので、1日伝統小売を15件回っていると胸を張っていたんだけど、競合は25件回っていますよとか。あと、15件回っていると言ったんだけど、蓋を開いたら、これは10件じゃないとか。あと、15件回っているんだけども、オーナーに会えている確率って5%ないじゃないですかとか。伝統小売のオーナーね、ここに会わないと商談できないので、ただ回っているのは意味がないみたいな。こういうことを細かく細かく詰めていくと、ものすごく課題がいっぱい見えてくるんですよ。差異がいっぱい見えてくると。競合はここまでやっているんだと、なるほど、参考になるな。この差異を少しずつ埋めていく、短期でどうやる、中期でどうやる、長期でどうやる。それでひいては競合から5%、10%、15%奪っていくという、こういう構造になっているわけですよね。それを製品がどうだ、価格がどうだってやってもね、そもそもチャネルが圧倒的に4Pの中でね、プロダクト、プライス、プレイス、プロモーションだったら、このプレイスが圧倒的に日本の消費財メーカーは劣っているので、ここをやっぱり強化をするということが基本的にはシェア拡大に最も直結するパートであるというお話でございます。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。